コーヒー牛乳が牛乳であることが許せない話
言いたいこと全部タイトルに詰まってんですけど、
許せます?皆さん?
だって、どー見てもコーヒーじゃないですか。あいつ。
でも、広辞苑引いたら「コーヒーを入れ甘みをつけた牛乳」って書いてるんです。
許せない。
幼い頃、日曜日のお風呂上がりとかに、あるじゃん。
ちょっとお風呂入り過ぎたな、って思ったら冷蔵庫にコーヒー牛乳があって。小学生で、コーヒーは大人の飲み物、カッコいいクールな飲み物だと思ってる私。いつもはお母さんから「あんたにコーヒーとかまだ早いわよっ」って言われて、飲めずにいる。でも、今日は酔っ払って上機嫌なお母さんが「飲んでもいいわよ」って言ってくれる。
私は喜んで、冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出す。溢してしまわないように、慎重にコップに注ぐ。鮮やかではない、明るくもない少し茶色い液体は、大人びた無表情で私を見ている。
ひとくち、口に含んでみる。甘い。けどちょっとだけ苦い。もちろん、中身はほとんど牛乳と砂糖で、コーヒーはちょびっとしか入ってない。でも、その少しの苦みは、私を大人の世界に連れて行ってくれた気がした。爽やかなカルピスも、あま〜いメロンソーダも、今は心惹かれない。コーヒー牛乳のスイートでちょっとビターが、火照った身体に染み込む。そして私は、今まで知らなかった新しい世界を、ひとくちずつ飲み込んでいった。
でも、私は知ってしまった。
私をあの世界に連れて行ってくれた、コーヒー牛乳。
私が飲んだ彼は、ただのコーヒーの入った"牛乳"だったんだ。
コーヒーが入っていたから、コーヒーを摂取したことは間違いない。でも、彼は、所詮はコーヒーの皮を被った牛乳だった。
私、ただの味付き牛乳を飲んで、大人気取りしてたってこと?そんなの認めない。
だって、彼はコーヒーだったんだもん。
私を見つめてくれた、あの大人びた無表情を思い出した。確かに彼は、私を知らない世界に連れて行ってくれたはずだ。
なのに、彼が牛乳だったなんて。
私は、絶対に許さない。