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#好きな仕草 カウンターの向こうのバーテンダー


私の個人的趣味企画 #好きな仕草  現在募集中ですが、
ここでご賛同くださったクリエイターさんたちをご紹介します!

本当にありがとうございます!!素敵な作品ばかりで…♡。
書いていただいた仕草にときめいて刺激されましたので、私も投稿。


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飲み歩くこともなくなって久しいが、時々無性に、Kさんのバーでオーガスタセブンを飲みたくなる。
小娘だった私に、グレンロセスのエレガントな香りと夏のラフロイグソーダの爽やかさを教えてくれたのはKさんなのだが、
Kさんの店で飲むお酒を一杯だけ選ぶとしたら、私はウイスキーではなくオーガスタセブンを間違いなく選ぶ。
選ぶ理由に甘く爽やかな味は言うまでもないが、カクテルを作るKさんの仕草が見たいのだ。


オーガスタセブン。
パッソアにパイバップルジュースとレモンジュースで作る、甘くフルーティーなカクテルだ。
レシピによってパイナップルとレモンの比率は異なるが、私はパイナップルジュースが気持ち多めの甘い味が好き。
Kさんは私の好みを汲んでくれる。余計な注文をつける必要はない。

姿勢の良い背中を見せて棚からパッソアを取り出し、カウンターに置く。ジュースを用意する。
メジャーカップではかってシェイカーに入れる。

カップは人差し指と中指にはさみ、薬指と小指を添えて支えている。
指先だけでなく、肩先から肘の角度を軽く固定して安定させているように見える。
絶妙な角度をキープする腕と指は美しい。
手首をひらりと返して材料をシェーカーに移す。
無駄は一切ない、しかし優雅な動きだ。
目切りと言うメジャーカップを使わないやり方もあるのだが、私は断然に使う姿を見たい。

氷を入れる。トングが生身の指先のようにひょいひょいと氷を拾い入れる。まごつくことは全くない。
ストレーナー、一呼吸おいてトップをシェイカーにかぶせる。

振る。肩、ひじ、手首を柔らかく使って、空気を含むように。
最初はゆっくりと、次第にはやく。
カツン。シェイカーを止めた最後の音。一連の流れの読点だ。

これらの淀みない洗練された所作は、すべて美味しいカクテルを作るためのものだ。
私のための美しい仕草。
口に入れる瞬間を期待しながら、それをじっと見つめている私。
まるで茶室だ。

柔らかいピンク色のオーガスタセブンが、エルメスのグラスで供される。
その華やかな姿に心まで泡立つ。
クリーミーな泡と口に広がる甘酸っぱさは何よりの癒やしだ。口福口福。

こんな美味しい飲み物を出してもらえることがただ嬉しく、感謝を伝えるのにごちそうさまでは足りないといつも思うのだが、
堪能する私をみて、Kさんはひげの丸顔でニコニコしている。
その笑顔にまた癒やされてしまうのだ。


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手作りのほうれん草とチーズのキッシュ。
牛スジの煮込み、それから自家製ソーセージのサルシッチャ。
遅い時間に仕事帰りのヨレヨレでお店に寄ると、「食べてないよね?」とKさんが出してくれるちょっと多めのお通し。これがまた美味なのだ。
うちは飯屋じゃないからね〜と言いながら、サラッと絶品を出してくれる。
それをお供にワインやウイスキーを楽しむのは至福の時間だったが、やっぱりオーガスタセブンが飲みたい。
私のソウルフードならぬソウルドリンクだ。

今の住まいからKさんの店に行くには、日帰りでは難しいけれど。
宿をとって好きなだけ飲む中距離旅行も、年に1度くらいはいいのかもしれない。





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