推論(スイロン/オシロン)
押しに会いに行く。それはただひたすらに、僕自身がこの目で推しの姿を見たいから。
叶うことならこの耳で推しの声を聞きたいから。
それ以上でもそれ以下でもない。
ただ、僕にだって少しだけ打算はあるんだ。
推しに気づいてもらいたい。
あなたの姿を見るために、ほんの少しだけでもあなたと会うために、僕は今日もここに来たのだと気づいてもらいたい。
推しがそれに気づいてくれれば、僕はとても嬉しい。
気づいてもらったからといって、僕と推しの距離は変わらない。僕はあくまでただのファンだ。たくさんのファンの中の一人にすぎない。
ただ、こんな風にも思うんだ。
もし僕がここに来ることで、推しが「遠くから会いに来てくれる人がいる」と思ってくれるなら、こんなに光栄なことはない、と。
僕が通うことで彼女や彼が少しでも励みに思ってくれるなら、世の中でそれほど嬉しいことはそうそうない、と。
いろんな要素をやりくりしながら通う理由は、「推しに喜んでほしい」「推しの励みになりたい」。
ただそれだけ。
だから、彼女や彼の笑顔を見たら、それだけでも僕はかなり幸せだ。
もちろん推しと言葉を交わすことができれば、それはとてもとても嬉しい。
叶うことなら少しでいいから目の前で話がしたい。声が聞きたい。
でも、そこにも節度を持たなきゃね。
推しがたくさんの人に愛されている姿を見たい。
推しがたくさんの人に見せる笑顔を、少しだけ離れたところからそっと見ておきたい。
僕の推しには、それだけの価値と魅力があるんだ。