夢を見た。喪失と安堵の夢を
夢を見た。
自動車を見失い探すところから始まったような気がする。
私にとって自動車は、現実に単なる移動手段だけではない。仕事でも、日常の生活でも欠かすことのできない、特別な場所を提供してくれてくれている。寝に帰るだけの自宅より、車で過ごす時間が多い日もあるくらい。
夢は唐突。高いビルの上層階にいる時に、その車がなくなっていることに、なぜか気づく。理由はわからない。なぜか気づくんだ。焦りながら、ただ車に向かう。駐車したのは、片側1車線の緩やかな上り坂。夢から覚めた時のその坂の印象は、中央線東中野駅南側の、上りければ山手通りに繋がる道。ずっと焦りながら、そこに戻ろうとする。とにかく、建物から下りようとする。しかし、走るわけでもなく、歩いて向かう。歩きは、ゆっくりとして、重い。
やがて、車を駐車した坂に着き。車を見つける。車の横に立つと、壊れていた。というか、何者かに、運転席側の扉が壊されていた。あり得ないことに、扉は車の内部にひしゃげた形で押し込まれていた。何がおこったんだ? その扉だけが、外からすごい圧力を受け、内部にドア枠と平行に奥に向かって30cmほど内部に押し込まれている。ありえない光景。破壊。
だが、その時、気づく。この車は、私のものではない。色は、白で同じだが。全く別の車種。べつの、外国製の車なのだ。
突然場面が切り替わる。坂を登る、中東のどこかの聖地のような、土くれた、白くところどころ黄土が露出した、山肌に刻まれた階段を登っている。私の他に、何人か、やはり中東の伝統的な衣装をきた人間がいる。皆、階段を登っていく。
車の喪失、目にした壊された車の記憶は、喪失感と呆然とした心理状態として、残っているだけ。
やがて、一つに丘に辿り着く。階段の風景の延長としての到達点。そこには、割れた円錐形の黒とグレーが混じった高さ5mほどの岩の塔がある。人工物ではない印象。割れた部分は、サザエの本体が入っている穴の外側のヘリの質感。割れた、ヒビの厚さは、30センチほど。ヒビは円錐の下から上に向けて、一条だけ円錐を斜めに切り裂いて、黒曜石のような黒い部分を聖なる光りで満たされている。
私は、他の人々が、円錐の塔の割れていない部分に右手を掲げるように抱きついていることに気づく。そして、同じように、岩に近づき。右手を頭の上に掲げ、手のひらで円錐に触れ、その岩の感触に癒されていく。癒されながら、右側にいる女性の顔を見る。右手を掲げ、身体の右側から聖なる岩に触れ、目を瞑り安堵の表情を浮かべている。
私も同じポーズで岩と対面する。すると私の中にも安心感が広がり、岩に触れた右側の体から、その安堵の感覚が全身に広がっていくのを感じた。
そこで目が覚めた。
夢と同じ右手を挙げ、身体の右側が寝床に触れた、まさに夢の中の姿勢。そして、安堵。
珍しく強烈な印象の夢を見た。喪失、そして安堵。喪失、喪失感からの離脱、彼の地への帰還。そして、夢から覚めたあとも続く、安堵の波。
夢を見た。喪失と安堵の夢を
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