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日野茜はアイドルになって何が変わったのか ~乙女「日野茜」の成長~

日野茜には変化が見られない?

日野茜は初期レア以来ほとんどのカードでそのパワフルな熱血っぷりをさまざまなシチュエーションで発揮してきました。

しかし一方で、気弱で引っ込み思案だった森久保乃々がやけくぼになってステージでロック曲を歌ったり、安部菜々が「声優アイドルになる」という夢を叶えたりするような劇的な変化は見受けられませんでした。

彼女らは努力によって長年の夢を叶えたりコンプレックスを克服したりすることで成長を見せていますが、「友情、努力、勝利」を愛してしてやまない日野茜はアイドルになってどういった面が成長したのでしょう?

日野茜のソロデビュー曲は「熱血乙女A」であるのは万人の知るところですが、この「熱血乙女」というキャッチフレーズはまさに的を射ています。

このうち「熱血」の面については多くのPの目に触れるためよく知られていますが、「乙女」の面についてはあまり露出せず、また注目されていても「熱血だけど乙女な面もある」といった定点的な着目にとどまることが多いです。

しかし何人かの日野茜担当Pや本田未央、高森藍子をはじめとする他のアイドルが指摘しているように、日野茜の乙女心は段階的に成長しています。

ここでは主に日野茜のカードのセリフから読み取れる日野茜の内面の変化を時系列順に並べて比較し、日野茜の乙女な面がどのような成長をしたのかを見ていきます。

初期:初期レア(2011)~暴走☆花嫁(2013)

ど、どど、どうしましょう!? プロデューサー!!!! な、なんだか胸がドキドキしてきました!!!! 風邪?風邪でしょうか!?
――モバマス 初期レア日野茜+ 親愛度MAX演出より
プロデューサー、ドキドキしっぱなしなので熱測ってくださいっ!! …ダ、ダメですっ!もっと熱が上がってきた気が…!!
――モバマス[全力熱血]日野茜+ 親愛度MAX演出より
プロデューサーは…熱い女の子はイヤ、ですか?
――モバマス初期レア日野茜+ 親愛度UP演出より


自分の気持ちがわからず、体が熱くなる

日野茜は自分自身の気持ちがよくわかっていないことが多いようです。

日野茜のセリフは全体的に熱く元気でポジティブなものが圧倒的に多いですが、初期レアの親愛度MAX時の演出セリフで「熱い女の子はイヤ、ですか?」弱気なセリフを口にしています。

よく知らないアイドルの世界でさえ「行けばわかる」と強気に構えているのとは対照的に、このセリフから自分の女の子としての魅力に対する特別な自信のなさが伺えます。

また初期レア+の親愛度MAX時の演出セリフで「胸がどきどきしてきた」「体が熱くなってきた」と言っています。上記の「熱い女の子~」と合わせて考慮するに、日野茜はPに少なからぬ恋心を抱いていると思われますが、この時点では本人は風邪だと思っており、自分の恋心には自覚がないようです。

なお「体が熱い」というセリフはその後もセクシーな衣装を着たときや「かわいい」と言われたとき、Pと一緒にいることを意識したとき、つまり恥ずかしくなったにしばしば見られます。


恥ずかしくなると逃げる

恥ずかしくなると体が熱くなるだけではなく、ときにはその場から走って逃げてしまうこともあります。

ソロCDのドラマではPから「かわいい」と言われたときに「体の奥が熱く…!」と言ったあと「こういうときは、夕日に向かってダッシュ!」と叫んだままコーナーを締め、マイクの向こうへとフェードアウトしています。

同様の描写は以降のセリフや描写でもたびたび出てきています。
アイドルの仕事を始め何にでも積極的な姿勢を見せている日野茜ですが、以上の通り自分の乙女心に関してはどうも消極的になっているようです。

成長期:バーニングハート(2013)~放課後トライ(モバマス2015/デレステ2018)


Pに対する意識の変化

私、思ったんですが、○○プロデューサーとお仕事してる時が一番幸せかもしれません! …あ…やっぱり食べてる時も!
――モバマス[暴走☆花嫁]日野茜 親愛度MAX演出
○○プロデューサーと一緒は楽しいですね!! ご飯よりも、走るよりもドキドキして…ドキドキ…して…うう、顔が熱いです!!
――モバマス[3rdアニバーサリー]日野茜 アイドルプロデュース 


ある時期から日野茜のPに対する意識に変化が見られます。

[暴走☆花嫁]では一番幸せな時として「Pと仕事している時(≒一緒にいる時)」と「食べている時」を同列に扱っていましたが、[3rdアニバーサリー]では「食べているときより、走っているときよりもPと一緒にいる時のほうがドキドキする」と、序列ができています。

このように、日野茜の意識におけるPの比率がだんだんと大きくなっていることがわかります。


Pに対しての行動の変化

あのですね!そのですね!みんなで遊びに行こうと思うのですが、せっかくだしプロデューサーもどうかと思いまして!!!なんか、直球なお誘いをしてしまった!!!は…はっ…はぁぁ…恥ずかしくなってきましたぁぁ!!返事はまた今度ー!!!
――[バーニングハート]日野茜+ 思い出エピソードより

日野茜の変化は上記の一連の行動にも現れています。

このエピソードの重要な部分は、「日野茜がPに遊びに誘うものの、Pに対して直球のお誘いをしてしまったことが恥ずかしくなり、その場から逃げ出してしまう」という部分です。

今までの日野茜が恥ずかしくなるのは、Pから「かわいい」と言われたりセクシーな衣装を見られたりするなどの「受動的な要因」でした。

しかし、この「お誘いをする」というトリガーは、自分から行動した結果ついてきた「能動的な要因」なのです。

つまり、日野茜は自分の意思でPを誘うという行動に出ることができたのです。恥ずかしくて逃げてしまう点は変わりませんが、「恥ずかしながらも自分の意志でPを誘えるようになった」という点は成長という他ありません。


「二人っきり」というシチュエーションに耐性ができる

ふたりでラグビー観戦なんて楽し…ふ、二人っきり?! …ア、アハハハ!!
――モバマス[全力熱血]日野茜 お仕事(親愛度UP)より
いつもは人がいるのですが…今日はこの道をふたり占めですねっ
――デレステ[放課後トライ]日野茜 ホームより

もう一つ成長が見られる点があります。

[全力熱血]では「ふたりっきり」というシチュエーションを意識した途端恥ずかしくなって笑ってごまかしていますが、デレステ[放課後トライ]では自分から「ふたり占め」と言っているにもかかわらず、いつものように照れて体が熱くなったり逃げ出したりしている描写はありません。

このように、少しながらも「Pと二人っきり」というシチュエーションに耐性ができつつあることがわかります。

現在:軌跡のギフト(2019)


2019年9月5日、デレステ4thアニバーサリーガシャにてSSレア[軌跡のギフト]日野茜が登場し、日野茜担当Pをはじめとするすべてのプロデューサーに衝撃が走りました。

そこにある日野茜の姿は、いつもの元気に動き回る熱血の化身ではなく、「特別な時間」をゆったりと大切に過ごす、おしとやかな女の子の姿でした。

この姿は一見いつもの「体育会系熱血おバカ」という過去から脱却したものに見えますが、カード名の「軌跡」という言葉が指すとおり、このカードはいままで日野茜が通ってきた道、すなわち経験や思い出、そしてその道を通ってきたことで成長した日野茜の最先端を見ることができます。


照れてごまかさなくなった

私がプレゼントですっ。全身全霊で受け止めてください!
――デレステ[軌跡のギフト]日野茜+ ホームより
…そろそろパーティーもお開きでしょうか。あ、そうだ。来る途中にあったバラ園に寄って帰りませんか?とってもキレイでしたし、アニバーサリーにピッタリですよっ♪
――デレステ[軌跡のギフト]日野茜の特訓エピソードより
嬉しいんですけど、楽しいんですけど、それだけじゃなくて。上手く言葉に出来ないんですが……特別なんです。プロデューサーと過ごす……この時間が。
――デレステ[軌跡のギフト]日野茜 親愛度200演出より

特訓エピソードでは、Pをバラ園に誘い、そこにある花々をアイドルに例えたり(後述)して自分の気持ちを伝えています。

先程見たように、[バーニングハート]ではPを誘い出したときに照れて逃げ出してしまっていました。しかし、そうしたセリフも照れずに言えています。そして、「Pと過ごす時間は特別」と自分の言葉で気持ちをしっかり直接伝えることに成功しています。

この他にもPに対して直球なセリフが多々見られますが、以前のカードに見られた「恥ずかしくなり発熱したり逃げ出したりする描写」が[軌跡のギフト]では一切見受けられなくなっています。

こうした描写から、自分のPに対する気持ち(乙女心)から逃げずに受け止め、ちゃんと情熱を持って伝える姿勢が現れていると考えられます。


みなぎれ!ボボボンバーと「乙女心」

2018年5月23日、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 17 Nothing but You」のカップリング曲として日野茜2曲目のソロ曲「みなぎれ!ボボボンバー」が発表されました。

アップテンポな曲調と熱いコールアンドレスポンス、曲中の至るところに散りばめられた「燃える」というフレーズはまさに熱血アイドル日野茜を体現していました。

しかしこの曲には実はもう一つの一面があります。このパワフルで暑苦しい曲の中に、先に示した日野茜の乙女心の成長が隠れているのです。

1番のBメロにはラブレターを渡され、どうしていいかわからず結果として「運動しよう!」と結論づけています。これは恋がよくわからずに慌てた挙句走って振り切ってしまう初期の日野茜を表しています。

一方で2番のBメロではクラスの友達に恋バナの相談をされたとき、うろたえながらも「私に任せてください!」と言い放ち、「いつでも答えは一つ とにかくトライするのみ」と自信を持って答えています。これは恋をある程度理解し、とにかくトライ(行動)する成長期の日野茜を表しています。

その後のCメロではこう綴られています。

胸の打ちそっと秘めた私の乙女心 
色づいて 火がついて 
燃える情熱止められない
満開の花 咲き誇るまで 
種が小さくっても 君とだったら 
日野茜は無限大

自分の乙女心を自覚し、今まで外に出さず胸の内に秘めていたけれども、心が色づき、心に火が付いたため、情熱(文脈から言ってPへの、あるいはアイドル道への)が止められなくなったということでしょう。

ここで[軌跡のギフト]日野茜の特訓エピソードをもう一度見てみましょう。

いろんな花に囲まれて…なんだか事務所でみんなといるみたいですね!
――デレステ[軌跡のギフト]日野茜+ ホームより
ひとくちにバラといっても、いろんな色があるんですよね~。同じ形もひとつもないし……見てください、蕾もありますよ!へ~、なんだか私達アイドルみたいですね~。
(中略)
……私は、プロデューサーが思い描いていたように、ブワッと咲くことができているでしょうか?自分では結構咲けているつもりですよっ。ブワーッと!
お祝いのプレゼントは私っ、日野茜ですっ♪咲き誇った私を受け取ってくださいっ!私と一緒に、特別な日をバンバン作っていきましょうっ!

――デレステ[軌跡のギフト]日野茜の特訓エピソードより

日野茜はこのカードでアイドルを花に例えています。
それは自分も例外でなく、(アイドルとしての)自分も花に例えて、「咲けているつもり」「咲き誇った私」と言っています。

そしてアイドルとして花開き満開に咲き誇るまで、つまりトップアイドルになるまで、君(文脈から言ってP)と一緒なら無限の可能性がある、と解釈できます。

以上のように、このCメロに込められて一連のメッセージは、先に見た[軌跡のギフト]日野茜のセリフに通ずる点が多く見られます。

これらのことから、「みなぎれ!ボボボンバー」は日野茜の熱血な面だけでなく乙女の面も両方十分に表現した曲であり、初期から現在の日野茜を十分に表現した曲だといえます。

まとめ


アイドルになりたての頃の日野茜は恋心がわからず、自分のなかに勝手に湧く感情にとまどい、逃げ出してしまうことも多くありました。

しかしアイドルとして活動し、Pと一緒に過ごす時間が長くなる中で、自分の乙女心に気づきだします。その心にしたがって不器用ながらも自身の持つ情熱を武器にとにかく行動しながら、周りの助けも相まって少しずつ乙女として成長していきます。

そして、自分らしくまっすぐ行こうと、自分の言葉でPに思いを伝えることができるようにまで成長していったのです。

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