お腹に優しい言葉を綴りたい。
noteには、大タイトル? 通しタイトル? っていうんですかね。各記事のタイトルではなく、ブログ(メディアと言うべきなのかな)全体にかかるタイトルを入れる箇所がないんですね。いや、あるのかな? すみません、もしかすると見落としているだけなのかもしれませんが。。
ぼくにとって、
「ぶえんぷろべーちょ。」
この言葉が、それにあたります。
はてなブログを始めるとき、なぜこのタイトルを付けたのか。振り返ると、その理由をちゃんと書いたことがない。なので、どーでもいいことですが、ぼく的には意外と思い入れがあったりすることなので。備忘録的に記しておこうと思います。
「Buen Provecho」
調べればすぐにわかることですが、これ、スペイン語です。
かれこれ25年以上前。大学3年を終えて4年に上がるとき。ぼくは大学を1年間休学して、北米〜中米〜南米大陸を1年かけて旅した。いわゆる“バックパッカー”的な旅。
はてなブログにも何度か出てきますが。
30歳を迎える少し前まで。小学5年生くらいからずっと。ぼくは「冒険家」と呼ばれるような人になりたかった。
そんな職業、実際はないんですけどね。スポンサーが付いて、プロの冒険家? みたいな可能性は、なくはないと思いますが。そんな自由のきかない冒険家像は、まったく考えていなかったので。つまるところ、自由に旅して、自由にモノでも書いて、所持金が減ってきたらどこかの国で小銭稼いでーーそんな、生涯旅を続けながら暮らしていけるヒトになりたかったんだと、客観的に思います。
ま、このあたりの「旅」話は、今後も折に触れて書いていきたいと思いますが。
そう、「ぶえんぷろべーちょ。」です。
中米のグアテマラに、アンティグアという町があります。
中米や南米は、ビックリするほど英語が通じない。スペイン語が喋れないと、ひとり旅は相当ツライ。
ニューヨークを出発、グレイハウンドで2カ月近くアメリカをまわり、ロスから南下。メキシコはなんとかやり過ごしてグアテマラに。旅の疲れが溜まってきていたことと、スペイン語の重要性を痛感していたところで、アンティグアという町の情報を入手。なにやら町の至るところにスペイン語学校が点在し、ホームステイしながら激安で学校に通えるという。
「これはいい。旅の疲れを癒しつつ、まだまだ始まったばかりのスペイン語圏の旅。少しでもコトバを学ぼう」
およそ3週間。旅に困らない程度の会話力がつくまで学校に通った。
その3週間。家族の名前は忘れてしまったけれど。お世話になったホストファミリー。ご夫婦と、たしか小学生くらいの子どもが2人。
その後、25年以上経ったいまでも覚えているのが、ホストファミリーが使っていた「Buen Provecho」という言葉。
食事をとるときの、いわゆる「いただきます」「召し上がれ」的な意味。その背景には、農家や、あるいは食材となった生き物に対して、食事ができることの感謝の意、そして信仰する神への祈りが込められている。
なんだけど、その家族が使っていた「Buen Provecho」のニュアンスは、ちょっと違った。もちろんその意味も含まれていたのだろうけれど。
ある夕食のとき。つたないスペイン語で、ぼくはご夫婦に聞いた。「Buen Provechoってどんな意味なんですか?」と。
食事をとること、水を飲むことで、じつのところ、健康や身体を害する恐れがある。貧しい国、貧しい家庭。不衛生な食材や水。たとえば子どもがお腹を壊し、心もとない医療体制ゆえ、最悪の場合、死に至ることもある。そのような現実があることからーー
「Buen Provecho」には、「お腹に優しい食事でありますように」「健康でありますように」という意が込められていると、ご夫婦は言った。
その説明を聞いたぼくは、「Buen Provecho」という可愛い言葉の響とともに、なんだか無性に愛おしさを感じるようになった。そして、奥深い優しさを持つその言葉が、大好きになった。
そんな思い入れがあっての、「ぶえんぷろべーちょ。」というタイトル。
「“お腹に優しい雑記”って何だ?」と思われるでしょうが。
これから、このnoteに言葉を綴っていく中で、
「Buen Provecho」が持つ深い優しさを自分の中で意識しながら。
少しずつ言葉を重ねていければいいな、と思っています。