子育てママはテレワークを手放しで喜べない
子育て女性が中心となって運営する会社の組織デザインを担当する紺野です。
私たちの会社は、子育て女性が徒歩や自転車で通えるように住宅街にオフィスを構えました。電車で来る方も、ほぼ一駅か二駅のところに住んでいます。
「オフィスは都心である必要ないじゃん」
「家の近くが便利だし子どものお迎えもラクだし」
という訳で、子育てファミリーが多いニュータウンの住宅街にオフィスを構えました。
でも、在宅勤務は禁止。オフィスに出社して仕事をすることにこだわりました。
少しの時間でも、子どもと離れ、仕事に集中する環境が大切だと考えたからでした。
同じ境遇で仕事に向き合っている人がそばにいて、家庭や子育ての相談にものってくれることが、ワーママにとってどれだけ励みになり、大切なことか。ママ友とも違う、新しい仕事仲間のコミュニティーだから、頑張れる要素があると思うのです。
しかし、コロナ禍。
さすがに私たちの会社でも在宅勤務はできないかという意見がでてきました。
席の並びをどのようにデザインするとコミュニケーションが活性化するか?とか、どんなレイアウトにすると生産性が高くなるか?とか、組織デザインに腐心してきた私にとって、在宅勤務は、本当に大丈夫なの?と思わないではいられませんでした。
そこで、社内のメンバーにヒアリングしてみました。
すると、意外にも、在宅だと仕事ができるイメージがしずらいという声が多かったことに驚きました。
一番の理由は、
「子どもがそばにいると、どうしても気になってしまうので、仕事がおろそかになりそう。」
「仕事と子どもの世話が、交互にやってきて、結局 出勤するよりも大変になりそう。」
「ずっと在宅だと、何か成長していけるイメージがわかない。シングルタスクをひたすらこなす単純ワーカーになってしまいそう。」
「今のままの賃金でいられるのか正直、不安。いろいろな役割をこなす今の働き方から、切り出された仕事だけを家でするようになると思うので、その分、賃金が下がることになるんじゃないかしら。」
仕事で出勤することは、ワーママにとって、じゃまされない「自分の時間」であり、「自分の成長の時間」でもあると思うのです。
確かにフリーランスや職種などによっては在宅勤務がよいケースもあるかもしれません。
が、
子育てママ=「在宅で仕事ができるのでうれしい」と短絡な図式で、コロナに便乗してテレワークによる子育て女性人材の活用を図ろうとしている風潮に、危険な香りを感じずにはいられません。
今の子育てママ向けの求人募集を見ると
「在宅OK テレワーク環境完備」とか、さも、在宅なら応募者が増えるでしょとばかりに浅はかな考えで募集している企業のなんと多いことか。
けっしてダマされてはいけません。一歩間違うと、単純業務を安い賃金でさせられるワナに陥るのです。
社内インタビューで、そんな在宅の危険なワナを感じ取っているメンバーが多かったことにほっとしました。
では、子育て女性にとって、どんなテレワークが理想的なのでしょうか?
けっして孤独にならず、タスクワーカーに陥らず、成長し合いながら仕事に真剣に向き合える働き方。
近所にサテライトオフィスがあり、通勤時間はかからないけれど、メンバーと一緒に過ごす時間を作れ、出社と緊急時は在宅仕事もOKにし、そのバランスを自己裁量で行える働き方が、今のところの理想です。
私たちの会社では、その働き方を目指して、サテライトオフィスの候補を探しています。保育園や幼稚園の空きスペースをレンタルさせていただくのが、一番理想なんだけど、そのような保育園はないかしら?
組織デザインの課題は、まだまだつきません。