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柵がないよ!
鹿苑の特別柵にいる鹿は一般に、「もともと農地を荒らした鹿で、捕獲されて特別柵に収容された」ことになっている。確か去年の秋に公益通報を受けて愛護会が「特別柵の鹿は農地を荒らした鹿」と発言したことから、マスコミでもそのように報道されるようになった。この言い方だと、特別柵の鹿は「農作物に害を与える悪い鹿」との悪い印象を与えることになり、駆除されても仕方ないよね、の流れにもっていかれやすい。
しかし本当にそうなのか?特別柵の鹿のうち農地の網にひっかかって捕まった鹿は、いることは事実だが、こういう鹿がすべてではない。実は、JR奈良駅周辺の公園や大学内の敷地で単に「鹿がいる」という通報を受けて捕まった鹿(別に悪いことをしていない、通報した人は単に鹿がどこかに行ってほしかっただけだったと思う)も収容されている。
さらにここ2,3年は、奈良公園の外に出てしまった鹿を愛護会が極力捕獲しなくなったので、特定の地域で捕獲される鹿が目立つようになってきた。特定の地域とは、8月5日の鹿苑のあり方検討部会で話していた川上町である。現在、鹿苑に送られる7割以上の鹿はこの地域でつかまった鹿である。
ところで、農作物被害を防ぐために鹿を捕獲するだけでは効果が薄いことは農水省のイノシシ・シカ侵入防止対策の手引きにも記されている。それによると、基本的な対策は、「近づけさせない」「エサ場をなくす」「囲いで守る」、それでだめなら「加害個体を捕獲する」と書かれている。
他府県では、十分な高さと強度を持つ柵を作ったとたんに、鹿の被害がなくなったという事例がたくさん報告されている。残念なことに、鹿をたくさん捕まえている地域では、柵が不十分であったり、全く柵がない場所さえ見られた。これではいつまでたっても鹿の被害は減らないし、捕まった鹿は次から次へと特別柵に送られてきて、劣悪な環境でたくさんの鹿が死んでいく、という悪循環が永遠に続く。そもそも農地を柵でしっかり守れば、農作物被害はなくなる。農家の人にとって、被害がなくなることが重要なのであって、鹿を捕まえることが本来の目的ではない。農地が守られれば、特別柵に鹿を送る必要もなくなる。そうすればC地区の鹿を駆除する必要はなくなるのでは?
これまでの悪い流れを断ち切ってもらうように県と市の担当部署にはがんばってほしい!