
漫画『昭和元禄落語心中』
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『昭和元禄落語心中』
著 : 雲田はるこ
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八代目有楽亭八雲、そして、
三代目有楽亭助六の一代記。
遂に終幕。
読了致しました。
人の営みから垣間見える人情・風情を
余す事なく詰め込んだこの作品は、
連載当初から知っておりましたが、
時を経て形を変え
私の大切な一部となったように思います。
先細る文化の行く末を見届けるという
この作品の大枠からは、
私自身の好きの意義が
問われるようでもありました。
天才「八雲」を救ったのは、
何処ぞのムショ上がりのチンピラ「与太郎」
だったことを想うと、
一心に想うことは尊いと思わざるを得ません。
悲喜劇で終わるかに思えた三人の人生も
最高の形で幕を閉じて、
『芝浜』や『居残り』が見せ場かと思いきや、
真に要の一席は『寿限無』と、
これまた感動いたしました。
最後の出囃子が鳴った時、
あの姿で高座に上がった場面は
漫画として屈指の場面だと思います。
最終話で主人公は二人いたことに気付き、
後書きでどれほどの物に支えられ
この作品の血肉が形作られたかを想った時に
ようやく物語の完結を実感しました。
捲った頁を戻しては…を何度も繰り返しました。
雲田先生
素敵な作品をありがとうございました。
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