"南国ではなく淡路島であること"土地に寄り添った空間演出
はじめまして。グリーンディスプレイ 関西支店に勤めています、『佐々木』と申します。
関西でも屈指のリゾートとして最近何かと話題の淡路島にある『FrogsFarmピクニックガーデン』という施設で新たな「食」の空間創りのお手伝いをさせて頂きました。
今回はそのことについてお話します。
淡路島は北西部、北淡に当たるこの地域でバッドロケーションを標榜し、食を通じて新たな価値の創造を試みている施主様。
弊社は2500㎡に渡るこの土地のランドスケープを担当させて頂きました。
目の前には広大な瀬戸内海が広がり、
小豆島の向こうに日が沈み、
夕闇の中でカエルたちの合唱がこだまする
そんな情緒的な風景が1日を通じて目白押しのロケーション。
(小豆島に沈んでいく太陽)
しかし植栽にとっては必ずしも良い環境とは言えません。
近くには「枯木」という地名があるほど。
塩害に強い植物というとヤシとかソテツとか、カイヅカイブキや頑張ってクラピアとか。。。そんな剛健な植物達が繁茂していました。
付近の公園のシンボルツリーはウバメガシ。これも塩害に強い植物です。
海辺の環境は、潮風とその強烈な日差しで植物にとっては必ずしも良好な環境とは言えません。それ故海辺の植栽風景はあまり代わり映えしない空間になる事が多いのです。
一方で、
弊社は屋外の空間デザイン以外にも、ショッピングセンターのウインドウディスプレイなどのデザインと施工も行っています。
単に木を植えるのではなく、その商業デザインのノウハウや知見を活かして風景を考えられるのも弊社の特徴の一つです。
商業デザインはファッションに近く、流行に合わせて物凄いスピードで変化していきます。
ただ植物は生き物。
人間の感性の変化にまで対応出来ませんし、そこで今後何十年も生きるように設計しなくてはなりません。
その両方のバランス取る事が今回のコンセプトでした。
「南国ではなく淡路島である事」「自然である事」を常に意識して、植栽構成を考えています。
決して流行の植物ばかりを使っているわけでもありません。
空間の骨格となる大きな木にはウバメガシやサルスベリ、ウラジロガシ等使用し、緑陰を生み出しています。
林床にはヴィジュアルを意識した、樹形やカラーの低木達。
木漏れ日ってとても気持ち良いですよね。
人間が森で進化した名残で、日に照らされた葉の裏側を見る事で心地よさを感じるとも言われています。
また、この酷暑においても非常に有効な手段が緑陰を生み出す事です。
木漏れ日の下の方が屋根の下よりも体感温度が下がるとも言われています。
ここでは淡路島の幸をBBQ形式で大自然に囲まれながらの食事を堪能できます。
芝生広場ではポップジェットの噴水の周りでのんびり過ごす事が出来ます。
夜はファイアーピットを取り囲んで団欒。
素敵な思い出が作れそうですね。
ステンレスの格子が背景の風景を取り込んでとても幻想的な空間を体感できます。
メインのエントランスです。
コールテン鋼を使ったコンテナが映える建築です。
脇の階段を登れば大屋根の上から周囲を一望できます。
シマグミ。
照葉樹ばかりの空間において、キーカラーとなるように植栽。
ジャスミンのような香りの花がリラックス効果を高めます。
暗くなりがちな照葉樹達の中で異彩を放ちます。
ビオトープも作りました。
水の流れる音が心地良さを演出します。
ハーブや柑橘類、ポイントでニューサイランを植えたり、
樹形を活かしてウバメガシのトンネルを作ったり、様々な表情の風景を楽しめる事が出来ます。
様々な様式の変化が急激に訪れている今。
屋外空間でのアクティヴィティも様々なアイデアで充実させていく必要があるように思います。
その中で日本の風景を考え直すきっかけとしても、ディスプレイと風景が心地よくミックスされた風景作りを今後も続けていきたいと思います。
FrogsFarm、
この夏の思い出の一つとして、是非訪れてみては如何でしょうか。
それではまた。
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