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カーボンクレジットの活用事例ー社会貢献の側面から
カーボンクレジットの活用方法としてはカーボンオフセットがほとんどを占めています。しかし、同じクレジット1tCO2でもその中身は森林由来や再エネ由来であったり多岐に渡ります。そしてその何を由来とするかは、「会社の魅せ方」に直接影響する重要なキーワードとなってきます。今回の特集では、オフセットだけにとどまらない、クレジットの種類別の魅せ方を森林管理、再生可能エネルギーの促進、国際援助という側面から見ていきます。
◆森林管理、保全の推進
日本の森林は、多くが人の手入れを必要とする人工林である一方、林業従事者の減少や林業が儲からないことから、近年、荒廃が進んでいます。その中で、森林由来のJクレジット購入は、森林管理を促進させる役割を持ちます。
◆森林由来クレジットの購入例
大分県にある田島山業株式会社はLINEヤフー株式会社と購入契約を結び、Jクレジットによる収益を生物多様性の保全や森林管理に充て、LINEヤフー株式会社はスコープ1、2排出量のオフセットにJクレジットを使用しています。
森林由来のJクレジットはオフセットに使えるのみならず、温対法への報告、SHIFTやASSET事業の目標達成や経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成など、多岐に渡って活用することができます。
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◆再エネの促進
また、クレジットの購入は全世界の再エネの促進にもつながります。実際に、カーボンクレジットを発行することで投資家は再エネプロジェクトへの資金提供を増やし、再エネの普及を加速させており、特に途上国において、この投資が顕著であるという結果も出ています。
◆国際援助
REDD+による国際援助
カーボンクレジットは国際援助という側面ももちます。REDD+由来のクレジットがそれの最たる例です。REDD+(途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強)由来のクレジットを購入することで、オフセットしながらも途上国の森林劣化の歯止めに貢献することができます。
クックストーブによる国際援助
その他にも、非効率で大気汚染をもたらす竈からクックストーブの導入を行うことで発生するクレジットを購入することで、途上国の家庭レベルの向上にも貢献が可能です。三井住友ファイナンス&リース株式会社傘下の航空機リース会社、SMBC Aviation Capital Limitedはクックストーブの導入を援助し、計53.3百万$のボランタリークレジットを調達しています。
◆まとめ
ある種類(森林や再エネ)のクレジットを購入していると宣言することは、オフセットを言うだけではなく、そのクレジット活動に貢献しているということを主張する手段でもあります。会社の情報開示が多く求められる現在、量だけではなくその質、魅せ方も重要になっていくでしょう。
◆Green Carbonの取り組み
Green Carbon株式会社は、「生命の力で地球を救う」というビジョンのもと、国内外で自然由来のカーボンクレジット創出に取り組んでいます。
中でも、水田によるメタン排出削減効果のJ-クレジット化に注力しています。国内では、水田由来のJ-クレジット創出を目的とした「*稲作コンソーシアム」を発足させ、全国の生産農家と連携して地球環境の保全と脱炭素化に努めています。2024年8月現在、稲作コンソーシアムへの登録面積は40,000ha以上、約900社以上の企業・農業法人が参画しています。これにより、全国に独自の農家ネットワークを構築しています。
*稲作コンソーシアム:
Green Carbonが運営する、「水稲栽培による中干し期間の延長」 によるJ-クレジット申請をまとめて実施するためのコンソーシアムで、個人農家、農業法人、企業、金融機関、自治体、メディアなどが参画しています。
◆Green Carbon株式会社
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区赤坂5-2-33IsaI AKASAKA607
設立 :2019年12月
事業内容 :カーボンクレジット創出販売事業農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業及びESGコンサルティング事業