自然電力主催、GREEN BUSINESS PRODUCERS 幕開け!
GREEN BUSINESS PRODUCERS 1期生40名は、2022年11月26日(土)に開講式を迎えました。
世界レベルで持続可能な社会の実現に向けて、地域で環境問題をビジネスで解決できるビジネスプロデューサーを育てる、実践型ビジネススクール&オーディション『GREEN BUSINESS PRODUCERS(GBP)』。
GBP生は、気候変動というグローバルな問題をローカルに落とし込み、ビジネスの力で取り組んでいく”グローカルリーダー”になるために、2023年3月まで約3ヶ月間、自然電力主催GBPプログラムに臨みます。
■ 公式HPはこちら:https://green-bp.shizenenergy.net/
noteでは、記念すべき1期生GBPプログラムの様子を5回に分けてお届け。今回は、GBP1期生であり、フリーライターの友(Yu)より開講式の様子をお伝えします!
GREEN BUSINESS PRODUCERSの幕開け
26日、東京都中央区、日本橋三越に程近いビジョンセンター日本橋にGPB1期生が集結しました。
9月末より応募が始まり、11月初旬にGBP事務局から合格通知メールとメッセージ動画が届いてから早3週間。GBP1期生がとうとうスタートをきる日です。
「日本に誇れるようなGBPを」運営責任者 瀧口直人さんのかける想い
「ようやく実物の皆さんに会えて嬉しいです。エントリーシートや自己PR動画を繰り返し見てきて、皆さんが思っている以上にすでに皆さんのことを知っているような気持ちになっています。」という一声からGBP運営責任者 瀧口直人、通称フェルナンドさんの話が始まりました。
「事務局メンバーからこれだけは約束しようということがあります。我々は徹底的にあなたたちGBP生を大切にします。予算も事務局人数も限られてはいますが、やれることは全部やる、徹底的にやります。」
「あなたたちにお願いしたいことは、ぜひGBPを大切にしてください。日本に誇れるようなGBP を一緒に育てていきましょう。」
グローバル規模の環境問題は一人では解決できません。”共に”乗り切らなくては、もはや解決は不可能。この繋がりがどのように実るかは未知数ですが、GBP生のシナジーが何より必要なのです。
さらに、GBP一期生の”合格祝い”に、フェルナンドさんより鬼十則(実際は鬼ではなく優しい十則です)のプレゼント。
フェルナンドさんがこの十則を出したのは、これまでの二十数年の社会人の中で過去2回。今日はその3回目でした。フェルナンドさんがGBPにかける想いが伝わってきて、会場内は次第に熱気に包まれていきます。
「自分のやりたいことを発見・実現するには」 自然電力共同創業者 磯野 謙さん
次に、自然電力創業者の一人、磯野謙さんがエネルギー事業をやろうと思い立ち、自然電力を設立したまでの経緯をお話してくださいました。
「一番始めに気候変動に気づいたのは、20歳くらいの時。ふと自分が生まれ育った長野の実家の雪が全然なくなっていると気づいたんです。自分が子どもの頃は2メートルくらい積雪があり、さらに母が小さい頃には家の2階まで積もっていたそうなのですが、今はほぼゼロです。その時は(それ自体が)問題だと思わなかった。何が起きているのかな、と思いました。」
磯野さんは、故郷である長野の積雪の異変を感じたことをきっかけに、23歳に世界中を巡ることになります。
「石油がたくさん採れる地域である南米のベネズエラに行った時、美しい島々が一つ一つなくなっているということを聞きました。なぜかというと、石油を掘るため。
僕がスノーボードをやるために自家用車で移動している行為そのものが地球の裏側を壊しているということを、僕はその時、情報ではなくて肌で感じました。」
カンボジアとタイの国境にある地雷原や、内戦が終わったばかりのアフリカ・エリトリアへの訪問など、今やSDGsで触れられている様々な事象に自分自身で現地に行き、現地の人が話していることを見聞し、肌で感じる旅をします。
しかし、その後、自分で気づき行動をしてみたものの、ほとんどうまくいかずに自分が何者かが表現できなかった20代を過ごすことに。会社もすぐに辞めてしまったり、屋久島に移住してエコツーリズムをしてみようにもうまくいかなかったり。
それでも、「次のエネルギーをやるべきだ」と思った瞬間があったと続けます。エネルギーの仕事をする父を持ち育ってきた歴史(環境)と世界中を旅した原体験が、次世代のエネルギーに磯野さんの意識を持っていったのです。そうして、磯野さんをはじめとした3人の歴史・原体験が合わさって誕生した会社が、「青い地球を未来につなぐ」ことを目指す自然電力でした。
自分自身の感性に訴えかける原体験とこれまで生きてきた歴史が、自分が何者かを形づくり、行動し続けるとあるべき方向へ進んでいくことを、今、自然電力という会社の先陣を切る磯野さん自身が証明しています。
GBP生は、GBPという原体験を作り自分の歴史と折り重なって、自分が何者であるかに気づくきっかけが提供される、またとない機会です。これから始まる3ヶ月間、一人ひとりが様々なことを見聞きして肌で感じ、何者かへと変化していくのでしょう。
そのほか、質疑応答形式で自然電力の風力発電事業や日本と欧米のエネルギー業界の現状など、40を超える事前質問に網羅的に答えていただきました。
「目に見えるところではなく”本質”を捉えるプロデューサーの極意」umari代表 古田 秘馬さん
次に、プロジェクトデザイナー古田 秘馬さんによるローカルリーダー概論の講義です。
一本のペットボトルから始まった地域プロデュースの極意。「このペットボトルをみて、どう思いますか?」という秘馬さんの問いに、あなたなら何と答えるでしょうか。
会場内の回答(一部)
「プラスチック」▷「青いラベル」▷「軟水」▷「液体」▷「飲み物」▷「天然水」「燃えないゴミ」▷「工場で生産された」▷「容器」▷「井戸水」▷「火を消せるもの」▷「飲みかけ」▷「喉を潤すもの」▷「二日酔いの時に彼女が渡してくれたら嬉しいもの」▷「循環の源」etc…
問いかけに対して始めは、目に見える内容を回答するばかりだったのですが、次第に情報が尽き始め、目に見えない内容に回答がシフトすることに。
「今から話すことって、情報を伝えたい訳ではない。地域の話もそうなんです。みなさん、地域を見に行った時に、同じように地域にある情報やラベルだけを釣ってしまう。」
「GREEN BUSINESS PRODUCERSにとって必要なことは、その先にどういう物語があるのか、または、今見える先の現象に何を想像すべきなのか。実はこここそ(を捉えるの)がプロデューサー。」
日本の地域で日々、自分の目の前で起こる様々な出来事に対して本質を捉える視点の必要性があると秘馬さんは説きます。
「たとえば、海辺のボロボロの小屋。グローバルな不動産価値は全くないんだけど、サーファーにとってはめちゃくちゃ価値がある。山の上のボロボロの小屋。登山家にとっては、めちゃくちゃ価値がある。」
「まさにインターネットの世界でAmazonがやったことっていうのはロングテールですね。別に全員にやらなくていい、この人さえ買えばいい。同じように地域においても、今全方位で地域にって(気持ちで)、全部に向けて何かやってしまうからこそ、なかなかサービスも行き届かない。」
「どっちかに特化してしまう方が、サービスとしてすごく集中できるものになります。だからこそ小さなビジネスではなくて、そのコミュニティが持っている本質は何なのかが重要です。」
誰にとってのどんな価値かがサービスとなるわけですが、秘馬さんはある企業や行政がサービスを作って担うのではなく、共助=コミュニティでサービスを作って担うべきだと続けます。
では、なぜ共助が求められているのでしょうか。
今、日本の多くの地域で起きていることは、人口減少。人がいなくなれば、学校の統廃合・大企業の撤退・商店街の消失など、教育や交通、医療、商業の機会損失やマーケットの縮小と、あらゆる場面が縮小の一途へ向かい、しまいにはその地域がなくなることも考えられます。
「そうなったら、どうするんですかっていうときに、誰かに文句を言うんじゃなくて、誰かがやらなくてはいけない。これを地域の共助でやるべきじゃないか。そして、共助がものすごく可能性を秘めた時代が来ている。」
行政も縮小となっていく時、地域にあるのはそこにいる人たち。地域の人たちが手を取り合わなくてどうするのか、他に術はあるのかと問われているわけなのです。
磯野氏×古田氏×菅原氏のトークセッション
最後に、磯野さん、古田さん、一般社団法人Green innovation代表理事 菅原聡さんを加えた3人のトークセッションです。
GREEN BUSINESS PRODUCERSの人物像とは
菅原:「改めて、GREEN BUISNESS PRODUCERSの基礎的な人物像とは何でしょうか。」
古田:「新しいものを生み出そうではなくて、本質的に共通であるものは何なのかを見れるかがすごく重要。自分でどうやりたいというよりかは、その文脈をどう引き出していくのかが、人物像として必要なポイントになってくる。」
古田:「そのためには、時間もかけなくてはいけないし、長くその地域に暮らすことが重要かもしれない。ソリューションを提供するのでもない。その人たちと一緒に向き合うんじゃなくて、(プロデューサーが)どういう目線で地域を見れるかがポイントかなと思います。」
磯野:「”これ”が理想じゃなくて、”これ”やっちゃいけないは結構ある。地域の過去の文脈を理解しなくてはいけない。あとは人間関係。誰もがひとりで生きているわけではなく何かしらの関係性で生きているので、そこを理解する。
でも誰の話が地域の発言なのかわからなくて結構難しいんですよ。大企業でも同じで、人の集団になった時に、ひとりが言っていることだけを聞いても、実は全体を捉えられない。この人が言ったことは、実はマジョリティの人は大反対みたいなこともある。」
古田:「まずは地域で自分が楽しむことは大切。その地域で”遊んで過ごす”と地域が何を大切にしているのかがわかってくるんですよ。これは行政から聞く話では全くない。そのコミュニティを大切にして理解していくかが重要。」
磯野:「自然電力の一番ユニークな考えに、Enjoy the planet というのがある。自分が好きなところで仕事に活かせれば、世界中どこに行ってもいいっていうのが、会社のコンセプト。だから世界中に広がりました。好きっていうのは結構大事。」
GBPが生み出していくビジネスとは
菅原:「自然電力がやっているGBPですから、地域の課題を見つけたとして、エネルギーの関わり方が全く異なるビジネスになってしまうと違う話になるな、と私は思うんです。例えば、地域の課題を解決するたこ焼き屋さんを(再エネではなくて)”プロパンガス”でやる、とか。
どういうプロジェクトが生まれてくると、よかったなと言えるところなのでしょうか。」
磯野:「最初の質問とリンクするんですが、環境問題の解決って今は地域に求められていないんですよ。絶対に人類がやらなくてはいけないことをどうローカルに落とし込むかが大事だと思う。なので、環境問題があるからこうあるべきと言っても、ほとんどの人が賛同してくれない。だから、他の価値をつける、他付加価値にしなくてはいけないなと思います。皆さんと(コミュニティにとっての価値を)見つけていく過程を、一緒にやりたいなと。」
磯野:「あと僕はカルチャーとコミュニティとインフラのアップデートの掛け算が大事だと思う。特に自然電力はインフラの分野に強みがある。インフラっていうのは、大きな資金投資が必要なビジネスなので、大きな投資をする事業のやり方を学べるのは価値だと思う。アセットビジネスもノウハウがごろごろしている訳ではないので、そこも学んでいただいて、ソフトとハードを両方同時にうまく変えていくためのやり方に着目していただければいい。」
古田:「僕は逆にいうとたこ焼き屋をやってほしい。だけど、それをなぜ地域のGreen Businessとにつながるのかを紐解けることが重要。コンテンツの意味づけ。もしかしたら不耕起栽培で作った小麦といりこの出汁で作った、まさにその地域をカタチにした究極のたこ焼きになるかも。一次産業を守りながらも、かつプロパンじゃなくて自然エネルギーで。今見える部分と大元の(本質的な)部分とがつなげられるかが重要。」
GBP第一期の開講式は、自然電力代表 磯野謙さん、古田秘馬さん、運営事務局が込める本気かつ本物の想いを見聞きすることとなりました。
次回の活動はオフサイト研修。古田秘馬さんがプロデュースする実践の地、香川県三豊市へ。40名全員で訪れ、共助の最前線を見聞きし、肌で感じることになります。第一期生は、一体どのような展開を迎えるのでしょうか。次回をお楽しみに!
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