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読書感想 「透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。」




ネタバレなし感想


まず間違いなく傑作。
「GA文庫大賞の大賞受賞作」という名に恥じない素晴らしい作品でした。
学生じゃなかったら特典を買い集めていたと思います。
それほどまでに良い読書体験ができました。

主人公とヒロインの心理描写が何度でも読み返してしまうくらいに綺麗なんですよね。
切実な想いがありありと伝わってきて、とても心打たれました。
あと、何気にリバーシブル仕様の表紙がめっちゃ自分好みでした、手触り最高。

志馬なにがし先生、raemz先生、ありがとうございました!



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ネタバレあり長文感想


ただただ作者さんの腕がスゴい。これに尽きます。
キャラクター、物語の展開、情景描写、心理描写etc
その全てが一級品。
志馬なにがし先生の技巧の上手さが伺えました。

特に物語の展開がめっちゃ良かったです。
ページをめくる手が止まりませんでした。
毎章末で「この後どうなるの!?」って思わせられるんですよね。
ただの一読者ではありますが、緻密に計算し尽くされているなと感じました。


小春ちゃんが可愛くて、健気で、めっちゃいい子なんですよねぇ。
ハンデを全く感じさせない、何事にも前向きなその姿がとても魅力的でした。
それでも、時々後ろ向きになってしまうことだってあって。
そんな一面も人間らしくて愛らしかったです。

この作品はかけるくんが主人公ではあるけれど、核にあるのは冬月小春という1人の少女。
彼女を支え続けた愛情と、彼女の生き様を存分に感じることができました。


かけるくんもいい主人公でしたね。
最初は無気力不干渉の青年でしたけど、小春ちゃんと関わることによって積極的になっていったのが素敵でした。
小春ちゃんとの接し方や、どうすれば元気づけられるのかに悩んだりする所に、彼の優しさを感じられて良かったです。
王道ではあるけども、主人公のこういう変化は大好物!


序盤、着実に距離を近づけていく二人にはニヤニヤしましたね。
特に3章での2人には悶えっぱなしでした!
そんな穏やかな日常に突如差し込んだ黒い影。
告白の結果はどうなるんだ、と思っていた矢先にあれがあったので情緒がおかしくなりそうでした。

それでも諦めず、お互いを心の支えとし、夢を、そして共にいる未来を諦めず、2人一緒に頑張ったからこそ起こった奇跡には涙を堪えることができませんでした。

最後、がんで亡くなったと書かかれているのを見た時は本当に胸が苦しかったです。
そこで悲しくさせてからの、「実はそこそこ長生きして幸せを享受していました」というのを知って、私の心は大歓喜どころの話じゃなかったです。もう、お祭り騒ぎでした。
そして、その後にボイスレコーダー。
……泣くじゃないですか、こんなの。
やっぱり物語はハッピーエンドでなくちゃですね。

最後にメインキャラ3人のその後が描かれているのも、「花火のように誰かの心に焼き付く生き方をしたい」というヒロインの願いが叶ったことを表しているのかなぁと思いました。


raemz先生の絵がほんとに美しかった、流石です。
どのイラストも綺麗で、物語を色鮮やかにしていて、この作品をグッと魅力的にしていたと思います。
何より、作品にめちゃめちゃ合ってました。

お気に入りは3章の挿絵です。
一目見た瞬間、叫びました笑


胸を張って人にオススメできる、とても素晴らしい作品でした!
読書家の1人として、この物語に出会えたことを誇りに思います。
ありがとうございました。

続巻(というか後日談?)の刊行も決定したみたいなので、とても嬉しいです。
楽しみにしています。



BGM

緑黄色社会 「マジックアワー」
BUMP OF CHICKEN 「Gravity」


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