ボーナス未払いでブラック企業を訴えた結果…厳しい現実に直面した!!
私は数年前、サービス残業をおこなっていたブラック企業を訴えたことがあります。それと同時に、ボーナス未払いについても訴えています。
ブラック企業と未払いボーナスをかけて、実際に戦ったらどうなるのか…ご存じない方も多いと思います。一言でお伝えすると、ボーナス未払いで会社と戦うのは「結構厳しい」という結論になります。
おそらく、なんでボーナス未払い分の請求が難しいの?と疑問に思われたのではないでしょうか。
「ブラック企業から逃げる方法」を教えてくれる情報はネット上にたくさんありますが、実際に法廷で戦った経験のある方はそう多くないと感じています。そこで、私が得た経験を皆様と共有したいと思い、noteにて内容をまとめることにしました。あくまでも一個人の体験した内容であり、絶対にこうなるという事ではありません。
ただ、今回私の経験から分かったことは、ボーナス未払いで企業と戦いたい場合、事前準備がとにかく大事だということです。もし頭の中に少しでも今の企業を訴えたい…という気持ちがあるのでしたらぜひ私の失敗談を参考にして欲しいと思います。グーグルの検索から出てくる記事では知りえない、私が事前に知りたかったことをや失敗した体験談をまとめております。
ブラック企業で苦しまれている方にとって、少しでも状況を有利に持っていけるような有益なお話ができればと思っています。
ボーナス未払いが起きた経緯
まず先にボーナス未払いの経緯についてお話します。前段階の話がやや長いですが、ぜひお付き合いいただけますとうれしいです。
私は約7年間ほど、残業代の出ないブラック企業に勤めてきました。
私自身、フリーターやニートの期間が長く、一般的な社会人よりも劣った経歴しかありませんでした。私が入社できたその会社には、たまたま運が重なり正社員として滑り込むことができた訳ですが、残念ながらそこはブラック企業でした。
経歴不足から将来に危機感を覚え、学習を始めた
私自身、年齢に対してスキルが低いことを自覚しておりましたが、社内には人を育てる仕組みなどはありませんでした。大した経歴のない私を正社員として雇ってくれたことは感謝したのですが、正直このまま勤めていても他社で活躍できるような実力は身につかないとも感じていました。そこで少しでもスキルアップにつなげる為、一か月に数冊のビジネス書を読む習慣を身に着けていきました。
その間にブラック企業らしく、人の入れ替わりも多くありました。人が多く去っていく中で上層部の人間も減り、そのおかげで私自身が会社のかじ取り?とでもいいましょうか、経営戦略に若干ですが関われる立場になりました。
そこで、本で溜めた知識から使えそうなものをあらかた試す機会に恵まれました。
ブラック企業がブラック企業である理由を知る
時間は少しかかりましたが私の策は功を奏し、私が関わる部署の売り上げが改善してきました。過去の社員を思い返しても、私のように常日頃から学習をしている社員はほとんど見ていませんでした。相手がビジネス書にあるような合理的な情報を持っているかどうかは、話をすればすぐに分かります。
直面している問題に対して、自分なりに根柢の原因を見つけてアプローチし、実際に会社の売り上げをを改善させたことは自信につながりました。私が長年にわたり身に着けてきた知識は、いつか評価される日が来ると信じていました。
しかし、私は上層部から全く評価されておらず給料は以前と変わりませんでした。せめて努力する姿勢だけでも褒めてもらえたらと思いましたが、何もありませんでした。逆に私が関わっていない部分に関して、なぜか理不尽な罵声を浴びたり、他の社員に対する暴言を耳にするなど、人として残念な仕打ちが続いたことで上層部に対する不信感と怒りが募りました。
ブラック企業がブラック企業のままなのは、上層部の考え方が腐っているからです。上層部が意識を変えない限り、ブラック企業はずっとそのままです。実際に上層部と関わる機会を得たことで会社のレベルの低さや腐敗具合を知り、もう見限るしかないと決断することができました。
転職を控えた私のボーナスは全部カット
そこで自分の能力を分かってくれる会社に行きたいと思い、意を決して転職しました。この時点では、会社に恨みはあるものの実際に残業代請求するかどうかは、正直迷っていました。しかし転職が決まって引継ぎをしている最中に、同僚同士の話から他の社員にはボーナスが出ていることが分かりました。
退職時期とボーナスの時期が近かったことは分かっていました。「ボーナスを受け取ってから退職する方が良い」というネット記事も見ておりました。しかし私が行きたかった企業との兼ね合いもあり、どうしてもボーナス時期に動かざるを得ませんでした。
驚いたのは、私に対してボーナスの説明が何もないままだったことです。あらかた仕事の引継ぎを済ませて退職するまで、何一つボーナスに関する説明が無かったことには、ほとほとあきれて言葉を失いました。
ブラック企業内の同僚や私の友達からは、ボーナス全部カットに関しては「ひどい企業だ」「これほど腐っていたとは」という声を口々に聞きました。これまでの経緯も加えてボーナス全部カットが引き金となり私の怒りが爆発。残業代とボーナス未払いで会社を訴えることを決めました。
退職者のボーナスカットは合法?違法?
ネットで検索すると、退職間際でボーナスがカットされた事例がたくさん出てきました。実際私が経験したように、「これから辞める社員に余計な金は払わない!」という姿勢の会社は多数あるようです。
実際の所、ボーナスは過去の貢献と未来への期待の両方からボーナスを出すようですが、法律による定めがないのでボーナスを出すも出さないも企業次第のようです。
その一方で、例えばベネッセコーポレーション事件という退職者にとってうれしい判例もあったりします。内容をざっくりお伝えすると、ベネッセの退職予定者に対して「ボーナス82%カット」があったようですが、裁判所は「2割の減額までしか認められない」という結論を出したそうです。
つまりボーナスは将来への期待が2割で、過去の貢献が8割というのがベネッセコーポレーション事件での見解のようです。
事前にこういう情報を入手していたので、私の未払いボーナスも部分的に戻ってくるのではと期待をもって、弁護士に相談に行きました。
弁護士曰く、「ボーナス未払いの請求は難しい」
残業代請求とボーナス請求について、弁護士に相談して最初に言われたのは「難しい」ということでした。ボーナスの未払いに関しては全額勝つのは難しい、2割くらいしか取り戻せないかも…ということでした。
というのも、どうやら過去に「ボーナス8割カット」という判例があったようです。事前にネットで調べたベネッセコーポレーション事件と真逆の判例に私は驚きました。事前にネットで調べた事と、弁護士から聞く話が大きく食い違っていることに私は戸惑ってしまいました。
実際弁護士に、ベネッセコーポレーション事件についても話してみたのですが、ボーナスがどれくらい取り戻せるかは「相手企業による」ということでした。
ボーナス未払いで相手企業に勝てるかは、やってみないと分からない
具体的にどういう企業ならボーナスをきっちり取り戻せるのか、逆にどういう企業だと8割カットになるのか、という所までは聞けていません。しかし弁護士の口ぶりからは、よほどの大手やボーナスに関して明確な規定がある企業以外は、ボーナスを取り戻すのは難しいような印象を受けました。
とはいえ、裁判官がどのような判定を下すのかはやってみないと分からないということでしたので、私は当初の予定通り「残業代請求」「ボーナス請求」両方の件でブラック企業を訴えました。
最初はブラック企業側が雇った弁護士との間で数回のやり取りをしたのですが、両者の言い分は全くの平行線で、残業代もボーナスも払わないという結論のままでした。よって、こちらの弁護士から「労働審判」にかけるという提案があり、私もそれを承諾しました。
「労働審判」で未払いボーナス代を争うことに
労働審判とは、簡単に言うと「簡易的な裁判」のようなものであり、相互に和解を目指すためのものです。労働審判は3回までと、最初から最大回数が決まっています。3回で話がまとまらなかったときは皆さまがご存じの通り「裁判」になってしまいます。
経緯については省きますが結論だけ述べますと、私はボーナス請求については失敗しています。
最初は残業代請求がおよそ100万円、ボーナスが30万円くらいで訴えたのですが、労働審判の中で議論されたのは残業代請求だけです。私は労働審判に出席しなかったので、裁判所でのやり取りは分からないのですが、労働審判で決着がついた後に弁護士から話を聞いた限りだと、ボーナスについては全然論争にならなかったようでした。
ボーナス未払い請求が難しい理由
弁護士曰く、もしボーナスを請求したいとなった場合は、裁判並みの情報が必要になるようです。具体的に言うと、どのような仕事をしてきたのか、他の社員と比べてどう優れていたのか、どのように数字的な成果を上げてきたのか、という細かな情報をもとにボーナスの妥当性を探るそうです。
なら訴える前にそのことを言ってよ!と弁護士に怒りたくなる気持ちが沸き上がってきました。私は退職日の1か月ほど前からブラック企業を訴える意思を持っていたので、業務引継ぎをしながら弁護士に証拠を持って行き、事前準備を進めていました。
まだ企業の中にいる状態であれば、そういう証拠を集められたのかもしれません。ボーナスの妥当性を語る上でデータが必要、という情報は企業に勤めている間に聞きたかったです。
しかし事前にそういった情報が聞けていたとしても、勝手にデータを持ち出してもいいものか…?ということが問題になります。データを勝手に持ち出してしまうと、逆に相手企業がこちらを犯罪者呼ばわりしてくる可能性もあります。とはいえデータなしの場合、自分の記憶やメモに書いたデータを頼りに業務にまつわるあれこれを語ることになりますが、改ざんできるデータは証拠として弱く、ボーナスの妥当性を論じるには弱い気がします。
この辺りについては私の方では弁護士に確認していません。なにもかも全部終わった後であり、もう労働審判はこりごりだと思っていたこともあるので、データの取り扱いに関する細かい部分について聞くことができていませんでした。
ボーナス未払い請求は、事前準備がとにかく大切
これを読んでいる方で、本当に相手企業をボーナス未払いで訴えたいと思っている方は、弁護士の方と事前によく相談して、必要なデータ集めについてしっかりと協議してください。こんな大事なことを事前に伝えてもらえなかったのは、言葉は悪いですが…もしかしたら私が雇った弁護士の腕が悪かった?のかもしれません。
私の経験を参考にすれば、その弁護士が頼れる人なのか、事前に色々情報をくれる方なのかどうかが判断できると思います。人生を通じて、私が弁護士を雇ったのは本当に今回が初めてなので、私の方では弁護士の良し悪しを語ることができません。
私はボーナス未払いに関しては、ブラック企業に勝つことができませんでした。私の苦い経験が、これから戦おうとしている方に少しでもお役に立つと幸いです。
※裁判所の指示により、個人や企業が特定される内容は外部に漏らすことができません。よって企業や個人、具体的な数字関係については若干ぼかしながら文章を書いています。予めご了承ください。
ブラック企業に残業代請求をしたときの体験談はこちらにまとめています。
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