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コネなし建築学生に贈る海外インターンシップ獲得戦略



主なコンテンツ

海外の設計事務所でインターンしてみたいと思う学生さんの役に立てればいいな~と思って筆を執りました。インターン受け入れ先を探すにあたり、私も多少苦労しました。経験を自分の中でだけ留めておくのはもったいないから誰かに役立ててほしいという精神です。

後半部分では私が集めた/作った資料を全開示しているので、有料に設定しています。
有料部分の内容は
・設計事務所の探し方
・欧州の設計事務所リスト (スプレッドシート共有)
・実際に送っていた申し込みメール・モチベーションレター (pdf)
・作成したポートフォリオ/CV(制作時に気を付けたポイント等を書き込みで解説しています)

の4点です。私が知っていること・やったことを全部をまとめました。

※こんな感じです

設計事務所リスト


ポートフォリオに差し込むCVの作り方

前半は主に心構えや獲得に至るまでの行動の概要、私の知る範囲での現地人のインターン獲得事情について書いています。

私について

コネなしかつ親族・友人含め海外でインターンシップをした人はいないので建築という範囲に限らず情報ゼロ。
一応欧州の大学院にいるので、インターンが決まればすぐにいつでも飛んでいけるという点では少し有利かもしれませんが、それは受け入れが決まったらの話。相手方にとっては外国人で受け入れが面倒という点では日本からインターンを探すのと状況はなんら変わりはありません。
留学している国内でインターンを探すことも考えましたが(学生として滞在許可があって諸々の手続きが楽)、国外でインターンをすると奨学金が確実にもらえるという理由から国外の設計事務所を探していました。
最終的にはフランスとラトビアの2つの設計事務所からインターンのポジションをもらいました。2か月くらい事務所を探したりモチベーションレターを書いたりメールをいろいろなところに送っていたりしたら、運よく引っかかりました。アクションを起こしたのは2か月ですが、それに至るまでにポートフォリオをちまちまと勉強の間に作っていて、これに3,4か月くらいかかりました。今は絶賛書類手続きや家探し中です。


インターン獲得までの過程

難易度:現地人>>>外国人

悲しきかな。外国人、特にアジア人というのは珍しがられはしますが、諸々の手続きのめんどくささから「働く」というステージに進んだ瞬間に立場が弱くなるのです。どこの国でインターンするのかによりますが、たいてい建築学生が海外インターンをしたいと思っている欧米では、まず現地人からの申し込みが優先されます。そしてその次に外国人。外国人の中でもアジア人等のEU外からの学生は優先度が低いです。

わたしたち外国人がやらなければいけない手続きは現地人に比べてかなり多いです。ワーホリや勉強目的で滞在許可証の発行が確定している場合以外、つまりインターンのみを滞在理由に海外へ長期間行く場合はインターン受け入れ先にイレギュラーな書類作業をお願いする可能性が高いです(各国のルールと期間によります)。そして保険やら奨学金応募やら…時間がかかります。
国内の学生もしくはEU内の国から学生を受け入れたらそんな面倒なことしなくてもメール数回のやり取りで済みます。かつEU内の学生はEUから給付奨学金をもらってインターンをできるので、受け入れ先にとっては費用の負担ゼロで学生を受け入れられます。労働力がタダ!
加えて、欧米はインターンと就職が密接に結びついています。インターンできない=就職できないかも…なので現地学生も渾身のポートフォリオを携えて応募をしています。

そんな感じなので、コネなし外国人がこの中に飛び込んでいくのはキツイです。設計事務所の方も「インターン=就活の第一選考」と思っているので、自分たちの期待するレベルに達していないと学生と言えど平気でインターンを断ります。その設計事務所に就職するわけではないしまだ実力は全然だけど知識と経験が欲しいからやる、という日本式インターンとは異なります。

以上①受け入れに当たってのイレギュラーな作業②インターンの位置づけの違い、の主に2点が外国人としてインターンをするのに立ちはだかっている大きな壁です。

とにかくメールを送る

そうすると海外インターンってだいぶ望み薄な感じがしてきますが、チャンスはあります。OKの返事が来るまで設計事務所にポートフォリオとメールを送り続けるのです。戦い続ける限り負けはない。ギャンブルと一緒。私も20通くらいのメールを送信しました。

※当たり前ですが、メールを送るときただ「インターン募集してる?」とだけ送るだけでは無視されて終わりです。建築系ならばCV・ポートフォリオをメールに添付することは鉄則です。たまにですが、モチベーションレターを求められる場合もあります。その時は面倒ですが御社仕様にカスタマイズしたモチベーションレターを書きましょう。これらすべてについてどうすればいいかわからない方向けに、後々解説しています。

ここで慎重派の人は「もしかしたら2社以上からインターンシップokの返事が来るかもしれないし、そうすると行くとこ以外には断りのメールをいれなきゃいけなくなるから気合を込めた書類数社だけにしておこう…」と考えるかもしれませんが、よほど優秀な学生でない限りインターンのお誘いが何件もくるなんてこと現地人でもあまり起こりません。就活や受験を想像してください。別に行きたい場所じゃなくても滑り止めを用意しますよね?インターンも一緒です。要らぬ心配は捨ててメールの文面を使いまわしてポートフォリオを送りつけ続けましょう。
たとえwebサイト上に「インターン受け入れしてます」の文字がなくてもとりあえず「インターンやらせて貰えませんか?」と送ってみましょう。なんなら私の体感ではインターン募集を大々的にしていない設計事務所の方がメールの返信率が高かったです。実際にインターンのオファーをもらった2つの事務所どちらも公には募集していませんでした。
外国人として私がインターンポジションをゲットするまでにした行動はこれのみです。文字にするとだいぶシンプルですね。

おまけで現地人のインターン事情も記しておきます。
(M1 ランドスケープ)
ランドスケープのデザイン系事務所でインターンをするため国内のデザイン事務所にメールを送りまくったが、返信なしか「今はポジション募集していない」の返事がほとんどだったそう。ようやく1社決まった事務所と時期を調整してインターン開始。それで働いてみて気づいたらしいが、自分がインターンとして入る数日前に1人インターン生がいなくなったらしく、自分がインターンしている間に他のインターン生が辞めたらすぐに新しいインターン生が入ってきていたとのこと。彼が考えるにそのデザイン事務所はインターンに応募してきた学生を順にリストアップしていて、誰かが期間終了したらリストの一番上にいる学生を呼び出すことを繰り返しているんじゃないか、と。
ヨーロッパの大学はインターンを行うことが卒業要件に入っていることが多いのでこのような仕組みがある場所は学生にとっては助かりますが稀です。

(B3 建築デザイン)
学期半ばにとある建築設計事務所にインターンの申し込みをするも「今は募集していない」とすっぱり断られる。しかし学期終わりの設計課題講評会に、断られた事務所の所員がゲストクリティークとして登場。そこで作品を見てデザインの方向性とかなんやかんやが気に入られたらしく、一度断られたにも関わらずインターンokと言われたそう。3か月インターンした後そのまま採用されて、今は仕事と学校を両立しています。
これはかなりラッキー。だけど、最初断られているということは「いま募集していないから」という理由で送ったポートフォリオは見てもらえてなかったんだと思います。実力があっても空き席がなかったら断られるので、運も大事なファクターです。
断られても、自分がへたくそだからだ…と悲観しない方がいいです。

お役立ち資料集

いろいろと書きましたが、やっぱりメールを送付できる前の状態に持っていくのがいっちばん大変なんですよね。時間かかるし。
なので以下に
設計事務所の探し方
・欧州の設計事務所リスト(googleスプレッドシート共有)
・実際に送っていた申し込みメール・モチベーションレター(改変・コピペok pdfファイル貼っています)
・作成したポートフォリオ・CV (制作時に気を付けたポイント等を書き込みで解説しています)
等すべて残しておきます。有料にはなりますが、かなり時間をかけたのでその価値はあると自負しています。


設計事務所の探し方

行きたい設計事務所のアテがすでにある人もない人も、第一希望が叶わなかったときの保険としていくつか他の設計事務所に申し込みをしておくのがベターです。その保険となる設計事務所の探し方です。

①google検索
googleで「国名 architect (urban design, landscapeでもやりたい分野の英語名) studio」を入れて検索するのが一番簡単です。しかし大きな欠点が、規模の大きい有名事務所にしかたどり着けないことです。感覚的にわかる通り、日本人でも知っているようなデザインスタジオは現地民からしても有名スタースタジオなことが多く倍率が高いです。
しかし、次の2つの方法に進むためには必要なステップになってくるのでとりあえずググって、いくつかのスタジオを書き留めておきましょう。

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