風邪を引いて病院に行ったら、ちょっと楽しかったお話
年始早々風邪を引いた。
「よし。病院着いたぞ。」
(令和ロマン ケムリ風)
近所のこじんまりとした病院だ。
開院と同時に行ったからか、患者は私だけ。
私は1つ恐れていることがある。
ずばり、鼻に細い綿棒を突っ込まれること。
しかし、ここ数年では、鼻水を提出するだけで簡単に検査ができる。
医療の進化に天晴れだ。
今回もきちんと鼻水を提出できるように、あえて鼻水をかまないでおいた。
準備万全だ。かかってこい。
待合室で待っていると、風邪の症状についてヒアリングを受けた。
診察室に呼ばれるのをしばらく待っていた。
次の瞬間、私は自分の目を疑うことになる。
医院長らしき人が遠くから迫ってくるではないか。
全身白いつなぎを着ていて、左手には例の細い綿棒を持っている。
全く不意を打たれた。患者がいないからといって、ここ(待合室)でやる気なのか!?!?
逃げ場はない。私は覚悟を決めた。
この場に及んで「鼻水提出ではダメですか?」なんて言えはしない。
私はもう立派な成人なのだ。
細い綿棒が徐々に私の鼻の穴を目がけて近づいてくる。
ウゥ...!
すごい顔をしていたと思う。
無事に終わった‥
とホッとしているのも束の間、もう片方の鼻の穴にも綿棒が向かってくるではないか。
しかも、綿棒の向きを変えずに。
「これって片方だけで良くないか?」と内心ツッコミながらも、私は再度覚悟を決めた。
ウゥ...!
またもやすごい顔をしていたはずだ。
私は達成感を感じた。今ならどんなことでも乗り越えられるはずだ。
5分後、先ほどの医院長らしき人が歩いてきた。
今度はあの恐ろしきモノを手に持ってはいない。
「検査結果は陰性です。」
私の免疫はコロナやインフルエンザに打ち勝ったのだ。
そして私は細い綿棒に打ち勝ったのであった。