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【レビュー】Arlo Parks / Collapsed In Sunbeams (2021.1.29 発売)

音が漂う雰囲気と、音に潜む言葉の意味を、追いかけて探るうちに気付けばはまっていく。

ビート、ハスキーな声、メロディ、最小限な音飾、ミニマムな雰囲気、すべてがあまりに心地いい。
明るめの、でもどこかに憂いを感じる声と曲の雰囲気は、安定感があるようで何故か心にざわめきが残るような不思議な感覚。
そして、一定のテンションで曲が続いていても、絶妙な間やポエトリーディングによるフックで何度となくハッとさせられる。

2つか3つのコードからなる進行を一定のビートの下で繰り返していく。
ドラムとベースは人力で生っぽく、質感がある。ゆったりと踊れるようなテンポ、揺らぎのあるグルーヴィなリズムだ。
ギターやエレピなどの上物は音の抜き差しが絶妙で過不足なく、センスこの上ない。

1曲が3分ほど、フェードアウトで終わる曲が多く、いつの間にか終わり次の曲が始まっている感覚。アルバム全体でも40分弱とコンパクト。曲の心地よさを追い求めて、アルバム全体を繰り返し何回でも聴ける。

詩人とも言われるArlo Parksだけに、情景とフィロソフィーを感じる歌詞は味わい深い。

It's so cruel what your mind can do for no reason.
君の心が理由無しにできることはとても残酷なの。
"Black Dog"
(参照:https://www.youtube.com/watch?v=QCApYqCjfII )
Watched his world dissolve in his hands
Tried to roll a blem then put his head between his knees
彼の世界が彼の手に溶けていくのが見えた。
タバコを巻こうとしたが、彼は膝の間に顔を埋めてしまった。
"Caroline"
(参照:https://www.youtube.com/watch?v=54ATHbCzUPY )

気だるい朝にも、チルな雰囲気になりたい深夜にもよく合う。また、じっくり歌詞と向き合いながら音を感じてもいいのだろう。


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