新作ジブリ「君たちはどう生きるか」が旧エヴァだった件
導入
私は別にジブリ作品が好きではない。一応自分の映画館デビューは3,4歳の頃公開された「千と千尋の神隠し」だし、「トトロ」に「ポニョ」や「ハウル」など、有名どこをそれなりに抑えてはいるが、別にその程度。深い思い入れがあるわけではない。正直今回も全く興味はなかった。ジブリの新作が出るの自体、友人の呟きで知ったレベルである
ではなぜ見に行ったのか、評価を見た感じ滅茶苦茶「賛否両論」で「意味が分からない」と言われていたからである。 「賛否両論」マイスターであり、「意味が分からない」ものを愛するものとして見に行かないわけにはいかなかった
というわけで今回はそんなエンタメ好きの野次馬による感想である。
おそらく本当にジブリが好き、もしくはこの作品が好きだよ、という方が見たら気分を害する可能性が高い。 ご了承いただきたい。
あと「これでもか!?」ってくらいネタバレするのでそちらもご了承いただきたい
大枠の感想
本当に面白かった。マジで1ミリも意味が分からなくて
これに尽きる。正直世界観からよく分かってない。なんか最後エンドロールが流れてきて米津が悲しい歌を歌いだしたときはもうギャップで、食べたバター醤油味のポップコーンが全部出そうになるくらい笑った。声を出さないことに必死だった。
おそらく、わからない点、道理に合わぬ点まみれだからこそ、様々な考察をしている方もいらっしゃるのだろう。 その方々に言いたい
正気か?
この作品の不明点が解明できるならコカ・コーラの作り方を解明する方が利益になると思う。
自分はこの多分に含まれた謎を解明する気は起きないが「ツッコミどころ」として指摘をするのは好きなので、この謎を些細なものから大きなものまで、記憶の限り指摘していきたいと思う。
謎への指摘集
ずっと黙ってたのにでっかい声で「母の字だ!」と言う眞人
おそらく、新しい母親代わりとなるナツコに対しなんとなく受け入れられない気持ちを感じていて、眞人は映画序盤、ずっと黙っている。そのせいで心情が読み解きづらいのだが、それはそれで「そういう作風」ということで解釈していた。しかし、母の字が書かれた「君たちはどう生きるか」を見つけた途端
「母の字だ!」
銀魂バリのひとり言のでかさである。お前なら底辺配信者になれる。この眞人にまず凄く違和感を感じた あとついでに「君たちはどう生きるか」を読んでからナツコを大切にするようになるから、そういう成長を促す作品なんだろうけど、もうちょい「君たちはどう生きるか」がどういう作品なのかを教えて欲しかった あれなら別に「リゼロ」でもドラッガーの「マネジメント」でも良いじゃん と思った。
謎しかない鳥 「アオサギ」
初めから最後まで謎しかない鳥 それが「アオサギ」である
まずなぜか自分から塔の中に呼んでおいて殺そうとする この動機が今考えると微塵もわからない お待ちしてたんじゃねぇのか まぁ一応この世界の鳥は人を食うので「美味しいから」だとしよう
そして、こいつの羽の設定もてんこもりでよくわからんかった
「自分の羽を矢に着けられると一生追いかけまわされる」これは狙ったやつを追い続けるやつなん?それとも所有者の元に戻ろうとするん?
初めは「羽が消えてる・・・!?」とか言ってたのになんで羽拾えたん? 「おいらの7番(7番だっけ?)」みたいな羽に番号がついてるのはなんだったん?
こいつの羽根持ってるとペリカンに襲われない(押されてどっかに連れて行こうとはする)設定なんなん?
羽の謎だけで無限に出てくる レインコードだったら死神ちゃんに手助けしてもらわないと解けん(レインコードは最近出た謎解きゲームなので暇な人は買ってね)というか普通あんな序盤に突然出てきた羽の能力後半再利用するだろ 後半こいつただおじさんになれるだけの鳥やん
んでひょんと家に来て、なぜか次のシーンには水汲む手伝いしてて、でよくわかんないけど喧嘩して、んで次にはいがみ合いながら嘴直しててそこで裏切る感じだすけど、次のシーンには「俺が引き付けるから!」みたいな 盟友みたいになってる(何も引きつけれてない 秒で囲まれる) でしかもインコに紛れて潜入までしてヘマした眞人を助ける で最後はお友達になる
女心と秋の空も呆れるぞ 好感度ジェットコースターの中でもビッグサンダーマウンテンよりだろ
これらすべてをまとめると要はこれである
なんだこいつーーー?
みんなの心の中にいるジョイマン池谷もニッコリである
あとインコとペリカンは外の世界に戻ると普通の姿になるのに、アオサギは外の世界でもバケモンのまま、ついでに考えると初めにアオサギと会話したときに出てきた魚とカエルも一応外の世界でもバケモンのもの達である
この差は何 アオサギだけ友達になれてズルいだろ 眞人に巻き付いてたカエルも友達になりたかったと思うぞ
回収されることのない墓設定
観た人のほとんどは忘れているであろう 「なんで墓に入った!!」みたいな ペリカンに押されて入ったシーンのアレである。あの「でけぇ墓」 なんか特殊なことして、「後ろを見るな!」とか怒られてたアレである。
あれが最後まで出てこない これめっちゃすごくない?
あってはならないこと
である いやあんなの伏線of伏線やん なんかあるやん 最後までどこにも出てこないってお前 嘘だろ 殺人現場に意味深にピアノ線が落ちていたのに、トリックの最後までピアノ線が出てこなかったら変だろ
でももっと振り返りまくっておばさんに怒られて欲しかった
異世界でペリカンが子供の源を食ってたアレなんだったん
「死んだ人の方が多い」だの「幻だよ」とか言ってたし、私はあのシーンを見た時(あぁ これは生と死を司ってる的な世界だったんだ)と思っていた わらわらとかいう赤ちゃんの源みたいな奴が登っていくことで、生命が生まれる的な
でもあの世界も普通に崩壊した
・・・え?もう子供生まれないやん 世界オワタやん
わらわらがもう、天空を舞うことはないのだから
もし考察するなら、これが日本の少子化の原因なのかもしれない
インコの王様大罪人じゃん お前のせいで俺の年金が支払われないかもしれねぇんだけど 許せねぇ
母さんの娘時代 1年間も何してたん というかその炎の能力なに?
母親である久子はあの場所になんのために1年間もいたん?
なんで炎の能力を使えるん?
なんで強いん?
この辺が作品を通してひとっつも紐解かれない
1年間のトレーニングで出来るようになったんだったらもうちょっといたら火拳のエースも越えられるんじゃね?
まぁ一応この作品の魔法のワード「当家の血を引くもの」を使えば説明できるけど、だったら同じく血を引く眞人も何らかの能力を使えて然るべきじゃね???
作中でもそういった異能を使いこなすことが出来るのは久子ただ1人である。(まぁおじさんが眞人を部屋に呼んだりしてるのは異能なのかもしれないけど)
眞人は最後までなんの異能も使えない。強いて言えば石を見極められるだけの激キモアオサギと友達の青年だ
この差が1年間にあるのかもしれないが、結局1年間もなんのためにいたのかはあまりにもわからない この辺考えたい人はどうせいっぱい他に考察あるから他所を見てくれ 俺には分からん
ナツコさん 何しに行ってたん
ナツコが映画でしたことをまとめると、塔に入った後、ただ石の上で寝て、新しい息子に嫌いと言って、おびただしい量の紙に顔を巻きつかれただけである 何をしとるんやこの女
ちなみに眞人とナツコが紙にまとわりつかれ散らかしている時、筆者は爆笑した。こいつらシリアス顔で何してんの?w紙まとわりついてるだけじゃんw ってめっちゃ笑った
まぁ紙にはおそらくお得意の「当家の血を引くもの」だけに効く特殊な作用でもあるのだろう
ナツコの部屋に眞人が入るのは禁忌だったらしいので、ナツコは何かの儀式に使われていたのだろうが、供物じゃないだろうし、子供をあの世界の後継者にしようととかしてたのかな? 結局「ナツコ」の真意がわからんけど
そしてどんな思いがあろうがしたことが紙巻きつかれただけのおばさんなことに変わりないけど
いや上も下もおじさんのとこに繋がっとるんかい
インコの王様が階段を次々と切り落とし眞人の侵入を阻むシーン。まぁまずそもそも「登る階段切り落としたら次入る時どうするんだよ」って感じなんだけど 眞人一人のために塔一つ使えなくするなんて贅沢な王様である
・・・と、思いきや!そもそも下もおじさんの世界の入り口に繋がっていたのだ!
塔一つ丸々使えなくしたのに・・・インコの王様のメンツ丸潰れである
多分下も繋がってるのはまた魔法のワード「当家の血を引くもの」があるのでおじさんが呼んだ結果下からも行けるようになったとか、何とでも説明はつくんだけど、そんなん血引いてるのはインコも知ってるんだから想像つくだろとか
あのインコたちは世界が壊れなかった場合、インコ達がおじさんに会う時どうするつもりだったのかとか
謎は深まるばかり 早急にコナン君の脳みそが必要である
石を取らない世界の選択
石を積み上げることで世界が作られること自体よくは分からないがそこは目をつむるとしよう。石を取り世界の支配者になるか、現実世界に戻るかという選択、「そもそも眞人にとって2択になってなくね?」という点が引っ掛かった
この世界。インコが人を食って、インコがめちゃくちゃに幅を利かせていて、眞人も何度も死ぬ思いをした最悪な世界である。
そりゃ現世に戻るだろ。この世界がもともとおじさんが言う素敵な世界だったならまだ分かるよ?戦争もまだ続いていて、母も新しくなってしまい、学校にも馴染めていない眞人にとって、良い二択になると思う。だが、インコがこんだけ権力持ってる世界で、「お前がより良い世界を作れ!」ってそりゃ断るだろ あぶねぇし 普通に戦時中でも元の世界の方が安全、インコに食われるよりマシやろ
こういう一番の根幹がよくわからないの 控えめに言って「最高」
最後に 自分なりの「答え」
まぁ他にも母の久子は大事におじさんの元まで運ばれてなんで同じく血を引いてる眞人は食われかけるのかとか、いやインコの王様の尾行、あんだけアオサギキョロキョロしてたら気づけるだろとか、塔降ってきた設定って結局なんなん?とか、馬鹿みたいにツッコミどころはある。だがそれは本当に枚挙にいとまがないので、私はここまで謎に対する答えを出さずに話を進めていたが、最後に一つ、これはどういう作品なのかという大きな謎に対して私なりの答えを出して、締めくくろうと思う。
この作品は
「長年連れ添った鳥に親を殺された人が、熱にうなされながら見た夢を描いた物語」
なのだ。これならすべての理屈が通る。夢だから当然伏線は回収されないし、世界観も統一されてないし、道理も通らない。そして、よほどの鳥に愛情と憎悪がないとこの作品にはならない。アオサギはバカキモいおじさんスタイルになるし、ペリカンは赤ちゃんの源みたいな奴食うしインコはムキムキで人を食う こんなの、まともな人間は夢でも見ない。これらを要約すると、「長年連れ添った鳥に親を殺された人が、熱にうなされながら見た夢を描いた物語」これしかありえないのだ。
この世のこの作品に対するすべての考察に泥をかけるような結論だが、私はこれでこの作品に蓋をして、次のエンタメに興じようと思う