深夜に眠れないから部屋の片隅でトゥームレイダーをプレイした
深夜1時
………
寝れない。とにかく寝れない。
定期的にこういう日がやってくる。大体は0時前後にやってくる眠気がいつまで経ってもこないし、かといって元気はつらつというわけではなく。
こういう弱っているときにあれは現れる。
床が軋む音の中に、シャワーを浴びる暗闇の中に、カーテンの隙間に、
そこから何かが、こちらを覗き見ている。
見ている。
でももし見ているのが
古代都市の秘宝を守る守護霊だったら？
太古の昔に失われたアーティファクト
その在り処のヒントを握っているのが姿なきガーディアンなら…
挑むしかないわね
何故なら私は
Lara Croft
TOMB RAIDER ～地縛霊の秘宝～
カチカチカチッ………
────どうやらここにも大した情報は残ってないようね。
奴らのアジトにならヒントが残っているかと思ったけど…。
奴ら…秘宝を手にして世界を我が物にしようとしている秘密結社の連中が古文書を奪うために私の屋敷を襲撃したのが1週間前。ここを放棄したということは既に場所を特定したということかしら…。
…スッ
…！！！
ギャヒィィ～～！！！！！！！！！！
ダダッ！！！
ダダン！！！
チャキッ
随分な挨拶ね。
でも丁度ルームサービスを頼もうと思っていたところだったの。
さあ話してもらおうかしら…遺跡の場所を。
貴方のボスが何をしようとしているのかを。
もう遅い…教主様は既にハイツ約束の地へと到達した…！
秘宝の力をもってあのお方は清浄なる世界を創造されるだろう！
教主様万歳！！！！！！
ｶﾞﾌｯ
…
ハイツ約束の地…
ここがハイツ約束の地…
見た目は寂れているけれど…内装は築浅物件並に保たれている…
遥か昔、世界を支配できるだけの文明を築きながらも
一夜にして滅びたという伝説…
一体なぜ彼らは滅びたのか…
ファッファッファッファッファ…
今更やってきたところで遅いわ墓荒らしめ！
偉大なるハイツ約束の地は新たな主人を定めた！
もう誰にも我が安寧を崩すことは出来ない！！
…その姿で全ての合点がいったわ
この遺跡は『事故物件』！
そして貴方は自らが物件の地縛霊と融合することで支配を試みた…
わかったところでなにになる？
繊細な古代人とは違って霊感のない私は受け入れられた！
こんな良物件私が自由にリノベーションしてやるわ！
神に逆らう愚か者め！消え去るがいい！
バリィィ！！！！
うぅっ！！
確かに圧倒的な力ね…
でも…
疑問には思わなかったのかしら
これほどの力を得てどうして文明は滅びたのか？
近所にはコンビニ、薬局、最寄り駅まで徒歩3分…
おまけに安い事故物件なんて
貴方みたいな鈍感な人間にとっては都合が良すぎるわ
それら好条件でも解決できないほどの問題があったと今、確信できた！
これで終わりよ！！
壁ドンドンドンドンドンドン！！！！！！
うるっせぇーーーーぞボケ！！！！！！！！＞
ガンガンガン
なにしとんのやおら！！！！！！！！！！！！＞
ガンガンガンガン
おい聞いてんのかあぁ！！！！！！！！！！＞
ドガッ！！！！
ぐおおおおおおぉぉぉぉぉ…！！！！
オオオォ…
”見えざる闇を恐れぬ者は鈍感な愚者か野蛮な破壊者のどちらかだ…”
見えないものにこそ注意を払え
注意深く観察すればわかったはずよ…
目の前にあるものが自分にとって都合がいいのなら
なぜ都合がいいのかまで疑うべきだった
事故物件の霊は宝を守っていたのではなく
宝に潜む脅威から人々を守っていたのだから…
さぁ帰りましょう
私の屋敷へ…
せっかくの古代遺跡だったけど、誰にも知られないまま朽ちていく方がよさそうね。知るべき歴史もあれば、知られるべきでない歴史も存在する。
それに…
世界にはまだまだ眠ったままの宝が待っている
未知の秘境が、忘却された歴史が、過去からのメッセージが
私を待っている！
これからも冒険を続けましょう！！！
なぜなら私は！！！！
Lara Croft
うるっせぇーーーーぞボケ！！！！！！！！＞
ガンガンガン
今何時やと思ってんのやおら！！！！！！！！！！！！＞
ガンガンガンガン
おい聞いてんのかあぁ！！！！！！！！！！＞
ドガッ！！！！
END
皆さん、夜は大人しく寝ましょう。