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日本スゴイの次は「昭和スゴイ」 ジジイをフェラして稼ぐメディアたち

 丁度今記事を書いている私の隣で放送されているのが「石原裕次郎&山口百恵スペシャル」だそうだ。
 なんだよ、テレビが老人向けの番組しかやらないのはいつものことじゃん、とお思いになったかもしれないが、卑怯なところはそこではない。
 Z世代の男女アイドルが出演しているのだ。そして昭和に撮られたVTRを流している際も常にワイプに抜かれ、「浅丘ルリ子かわいい~~」「石原裕次郎かっこいい~!!」などとリアクションしている。

 本気でこんな風に思っているはずはないだろう。彼らは番組を見ている老人をキモチよくするためだけに呼ばれているのだ。こんな露骨にピンサロ嬢扱いされてしまっては、流石にZ世代の一人として不快感を隠しきれない。

 おっさん向けのなろう系アニメを見ている奇矯者でなければ、Z世代はズリネタとエンタメを完全に分けて考えている。理由は簡単で、容易にネットでポルノを閲覧できるからだ。
 しかし慣れないパソコンでポルノを見るしかない老人は両者を混同している。したがって、エロカワいいアイドルが出ていれば見るのである。そしてその子が自分の慣れ親しんだスターをほめていれば、もうギンギンに勃つに違いない。アイドルは裸ではないが、それでもフェラさせられていることに変わりはない。もしかしたら「彼と同い年の俺も、もしかしたらモテるかもしれないんじゃないか?」と思っていてもおかしくないだろう。長幼の序で自己客観視する能力が麻痺した老人にとっては、極めて危険な劇薬である。

 この類の番組の登場は私にとって印象的であった。というのも、以前から私は「日本スゴイは、昭和スゴイと言うくらい滑稽」と考えてきたからだ。日本スゴイが過熱したらこんなバカなことになるぞ、とツイートしたこともあった。それが実際にバカな番組を作るとは思わなかったが。

 自分の所属するコミュニティをスゴイスゴイと褒めはやす娯楽は、そのコミュニティが何であれ、幼稚でしかない。
 最も顕著な例が日本スゴイだろう。たとえ無職であっても、日本人であるだけでスゴいコミュニティの一員になれるとなると、それはそれは反り上がったエレクチオンを感じる。
 「そんなのテレビがやってるバカ向けのガス抜きでしょ?」と仰る方はYouTubeの最も愚かな視聴者層向けの動画群を知らない幸運な方だろう。老眼でも読める巨大なゴシック体で「日本をナメた〇〇が崩壊」と彩られたサムネの動画など、同じくジジイをフェラするメディアはインターネットにすら広まりつつある。同じくテレビの作り出した愚かな文化「スカッとジャパン」を併発しているところも文化の窮まりを感じてやまない。

 では、このピンサロ嬢が客を褒めそやす前戯のような愚俗が、エンタメだけに収まっている無視可能な低俗文化だろうか?私にはそうは思えない。
 同様の動画をYouTubeで見れば、すぐに保守系のインフルエンサーの「おすすめ」で埋め尽くされてしまうに違いない。
 日本がアメリカに次ぐ二番手の経済規模だった世界に慣れてきた世代にとって、中国とドイツに抜かれ、トランスジェンダーなど見慣れぬコミュニティが市民権を得てきた令和に反感を持ちうることは想像に難くない。
 実際Z世代でもセクシャルマイノリティを意図的に遠ざける友人関係を築く人間もいるだろう。そういった夫婦別姓の人間や、LGBTsの見えないコミュニティを作るのは自由だ。
 しかし夫婦別姓を取る権利や同性同士で愛し合う自由を、政治という権力を使って妨害しようとなると話は違ってくる。
 理解できないコミュニティや、老衰した共感力を自制するのではなく逆にそれを笠に着て、ヤフコメで若い世代の権利に苦言を呈するようになると目も当てられない。ヤフコメは老害が若い世代を合法的にハラスメントできる、唯一の場所なのだ。

 そうだよなwwとスクリーンの前で座っている中年~Z世代も他人事だと思ってはならない。
 Twitterで「Xを使う奴は文字ベースなので、Instagramを使う奴よりも賢い」的なツイートをRTしたりしていないだろうか?これもれっきとしたX民フェラである。笑顔でフェラしてくれる言説に絶頂した瞬間、愚かなアイデンティティポリティクスの入り口が開くのだ。忘れてはならない。彼らがフェラしてくれるのは、彼らがフェラを仕事とするピンサロ嬢だからである。
 いつか私だって老害になる。しかし老害でないうちは、開放的で理性的な文化に身を置きたいものだ。
 愚か者はフェラチオエンタメで勃つ。賢い人はポルノでシコるものなのだ。

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