性産業公有化この道しかない #AV新法
以前、一時期AV新法の創設が議論を呼んだ。
反対派では、「AV業界はコンプライアンスの強化に注力してきた」というナラティブを強調し、同界隈内では事実として扱われている。
このナラティブが正しいか否かはSNSの風評や報道よりも学術界での検証に期待したいところだが、私は悲観的に見ている。
AV業界の問題というより反対派のコミュニティの問題として言及するが、AVの地下化を危惧する声は「AVは困窮した女性のセーフティーネットである」というおじさんの加齢臭が匂ってくるナラティブを前提として展開されている感があるからだ。
いうまでもなく真のセーフティネットは政府の社会福祉プログラムとNPO法人などであり、労働し給料をもらう関係ではない。
AVに出演する女性は、数多ある選択肢から「AVに出演した方が楽しい」と選択できる余裕のある女性に限られるべきであり、貧困からの脱却と引き換えに不本意な従業へ斡旋する枠組みを前提とした体制自体、元々不健全だと言えるだろう。コンプライアントでもなんでもない。
かといってAV新法に賛成なのかというとそうでもない。
乱交、性器の画像、同意した2人の性交の配信など、誰も傷つけていない行為を禁じている不可解な法を再整備した方が、業界の健全化の強い礎となるであろう。
私はそれよりもより抜本的なアプローチを採るべきであると考えている。
あらゆる性産業の事業団体を、セックスワーカーの労働組合が所有するよう義務付ける
オランダでは、売春は国営事業となっている。「よくわかんねぇ連中に運営されるくらいなら、国が責任を持った方がマシだ」という考え方だ。
日本のセックスワーカーが搾取されている理由は、単純に資本主義の理屈に則って、男が株主や経営者として労働者階級たるセックスワーカーの生産を搾取しているからである。
セックスワーカーが主体的な性表現を創作するためには、自らの生産手段を自主管理する以外にない。
つまり、あらゆる性産業の企業の株主はセックスワーカーが組織する労働組合に排他的に所有されるよう義務付ける。また、労働組合及び企業内で家長~部長といったヒエラルキーは出来る限り作らず、運営方針を評議会によって稟議して決定すること。そして意思決定の際にどうしてもリーダー的立場の設定が避けられない場合は、そのリーダーを投票によって選出するようにする。
このように運営される企業は前例がないかのように聞こえるかもしれないが、スペインのモンドラゴン協同組合企業のように世界を見れば前例がある。株主資本主義によって搾取が成り立っているという現実を、株を逆にハックすることで健全化するのだ。
真の表現の自由は、労働者自らが作りたいものを作ることだ
資本主義の発展は労働者の声にキャンセルを重ねて成し遂げられたものだ。ヒエラルキーによって、株主、社長、部長とボトムダウンで降ってくるタスクに、労働者は恭順することを求められ、拒否する権利を解雇への脅迫でキャンセルされてきた。月給の元を資本家に握られ、彼らに膝を屈することを強いて資本主義は成立している。この国において経済の自由とは、資本家が労働者に、自分の命令に従わせるために鞭を振るう自由なのだ。
真の表現の自由は、労働者自らが作りたいものを作ることだ。AV業界の自主管理義務化こそが、寧ろAV表現の自由を拡大する手段なのだ。
まぁいくつか反論が出るだろうから、私の見解を述べておきたい
「それって社会主義じゃない?」
ヤクザが株主になるよりもマシです
「今の風俗店オーナーが失業する!」
苦しむのは資本家であり労働者階級に悪影響はありません。よって問題ではありません。
「ビジネスオーナーや経営者から反発される!」
性産業が完全禁止されるよりもマシだろ