民主党の敗因と民主商工会

 今月初めにカマラ=ハリス民主党候補がトランプに敗れた。
 思い出されたのはこのデータだ。

 田舎では共和党支持に、都市部では民主党支持に傾きやすいと一般に言われているし、この図はまさしくそれを証明している。
 特に田舎の農民たちは「自分たちこそがアメリカ文化の継承者」という自負を持っているといわれ、農家出身の共和党政治家も多い。

 一方民主党は都市のブルーワーカーや労組を支持母体とする。アメリカ民主党はヨーロッパの社会民主政党とは毛色が違うが、支持母体は似通っている。民主党は、地方の農民や自営業者を得票する術を持たなかった。

 民主党は福祉の拡充と市場の規制に傾く政党である。
 対して農村では、会社員よりも農家などの自営業者が多く、市場の規制に反発する理由も頷ける。また地方を訪れればわかるが、かなり多くのメーカー系中小企業が工場と本社を構えている。そういった企業では、社長も営業したり生産を指揮したりと、自ら働いていることが多い。
 こういった農民・自営業者・働くビジネスオーナーは決して富裕とは限らないし、場合によっては社員並みの生活水準であることも珍しくない。こういった人々は雇われの身ではないが決してプロレタリア階級の敵ではないのである。

 さて、日本にはそのようなビジネスオーナーを労働者階級の戦線に包括する機構がある。民主商工会だ。
 民主商工会は日本共産党を支持する商工組織で、自営業者を中心としたビジネスオーナーの互助を活動目的としている。
 民主商工会は自営業者の互助だけではなく、自営業者などを労働者階級の前衛政党に包括し、プロレタリアートと歩調を同じくさせる意義を担っているといえるだろう。民主党も、このような自営業者の共同組織があれば地方での得票を伸ばせたのではないだろうか。

 さて、今の民主商工会は陳腐化が激しく、茨の道である。民商の刷新か、新たな代替組織が必要だ。
 新たな代替組織を設立する場合、険しい道筋が予想される。マルクス主義という力強いイデオロギーがあったがゆえについてくる自営業者がいたのであって、それと意義を同じくする組織にあっては同じ程度のイデオロギーの強さが必要だろう。マルクス主義というイデオロギーが退潮に向かう今から、処方箋が求められているのかもしれない。
 ところで、自主管理と職場民主主義はアナキズムの専売特許のようなものだ。自主管理を推し進め、その成果を共有して互助する組織が必要だ。
 なぜならば、そのような組織がなくアナキスト革命が成就した際、働くビジネスオーナーや自営業者もプロレタリア階級の敵として誤って処遇されてしまう危険性をはらんでいるからだ。彼らが誤処刑から免れ、彼らをプロレタリアートの友として新社会を共有するためにも、設立が不可欠なのである。


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