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豊田市~猿投~香嵐渓~足助に新交通システム(AGT)を建設しよう

 富士五号への登山路面電車は結局頓挫してしまったが、惜しいところまで進んだ。しかし、富士五号よりもはるかに人が集まり、はるかに混雑が激化する場所がある。愛知県豊田市の香嵐渓だ。

造る合理性

混雑緩和

 香嵐渓の混雑は非常にひどいものだ。一時間たっても一向に進まないほどと聞く。特に愛知県民は原則自動車社会なので、林間の名勝であってもずけずけと自動車で乗り付ける。これを回避するためには、専用軌道の敷設が不可欠だろう。
 来客手段を集約することで、混雑緩和の地域輸送の確保を狙える

自然保護

 富士山の登山鉄道構想もこれが目的であった。香嵐渓は森林と渓谷美をなす名勝である。これを幾世代にも渡していくには、この保全が不可欠である。
 後述するが、この構想にはディーゼルAGTも考えている。しかしディーゼルであったとしても、来客を集約することで化石燃料を消費する無駄な機会を削ぐことを見込める。

豊田市の交通網の簡素化

 豊田市に乗り付ける鉄道は4系統あり、名古屋につながっているものに名鉄豊田線と名鉄三河線が、そこからの支線に猿投方面への三河線がある。この三河線の末端区間を新交通システムに代替することで、名鉄のコスト削減とダイヤの簡素化が狙える。また三河線を通じて名古屋から豊田へ直通する特急の設定を明言しているようなので、豊田市の宅地開発の機運を高めるかもしれない。
 さらに、名鉄東部交通というバス会社は、豊田市の林間部の各所へバスを運行している。その主軸に専用軌道を敷設することで、豊田市の各所へのアクセスを簡素化するとともに、速達化を目指すことが可能だ。

「名古屋」で降りる理由づくり

 これは何も豊田市だけが得をする構想ではなく、愛知県域で有益であると思う。なぜならば、河村前市長が「名古屋には新幹線を降りるほどの魅力ある名勝が少ない」と言われることを認めていたからだ。
 ネームバリューのある観光地開発を進めることによって、インバウンド収入を愛知県にもたらすだろう。

構想

 以前は巴川にも鉄道が走っていた。しかし香嵐渓に線路を伸ばすことは叶わず、架線も撤去され廃線になってしまった。復活には多少の工夫が要るだろう。それゆえに、私は安価に建設・維持できるAGT(東京ではゆりかもめが有名)を提案しているのだ。そして、AGTは技術的特殊性が少ないので、その「工夫」たちが講じやすい。以下、秋以外は需要の少ない巴川を走る専用軌道に講じうる工夫の余地を考察していきたい。

ディーゼルAGT

 足助は過疎地で、通勤需要はそこまででもない。観光需要のない季節であれば、わざわざ電気を供給してまで走らせるほどの乗客を集められないだろう。そこで市街地エリアが終わるあたりのエリアでディーゼル機関車に連結し、機関車にけん引してもらうことで電力の無駄を省けるかもしれない。あるいは蓄電池や水素機関車でもいいだろう。
 不可能な提案ではない。日本国内でディーゼル車両を作っている会社「新潟トランシス」はAGTの開発も手掛けている。試してみる価値はあるだろう。
 また、足助はある程度冬場冷え込む。寒冷地ではエンジンの排熱を室内暖房に利用するためガソリン車が好まれる傾向があるが、この路線でも廃熱を暖房に用いられるだろう。

単線AGT

 日本国内でのAGTのほとんどは複線である。しかし香嵐渓付近の末端部はそこまで需要がないので、伏線にする合理性は薄い。そこで末端区間は単線とし、各駅に交換設備を設けることで経済合理性を確保するとともに、末端部で駅を降りる機会を提供し、観光客が里山に足を運びやすいダイヤを組むことができる。
 AGTは法律上無人運転であることが定められているため、末端区間の上下の交換を見据えたダイヤを組みやすいし、実行しやすいだろう。

AGTの退避設備

 秋に香嵐渓に訪れる人々は、途中の西中金などに用があったり、途中で車を停めたりするだろうか?しないだろう。
 であれば、秋を中心に快速を設定して、香嵐渓・足助に速達する列車を設定したほうが便利だ。
 例えば神戸市のAGTであるポートラムは、神戸空港へ速達する快速を設定したことがあった。繰り返すが、AGTは無人運転なので、退避するダイヤを容易に組める。

夏秋と春冬で変わるダイヤ

 AGTはダイヤを組みやすいといったが、それによって、需要が集中する秋とそれ以外の季節でダイヤを変えることもたやすい。
 この付近の川にキャンプ場を作れば、秋ほどでないにせよ愛知県民が山林を楽しむ機会と需要を作れるだろう。

バス路線の集約

 最近建設される新線は、付近のバス路線の再整理を伴うことがほとんどだ。駅にバスターミナルを併設することで、駅の需要を創出することができるだろう。

デベロップ事業への進出

 なぜ日本では私鉄が稼げているかと言えば、駅付近に宅地を開発したり、スーパーを経営して周辺住民に鉄道移動の機会を提供したり、商業施設を立ててテナントを貸すなどし、駅に需要を作っているからだ。しかし日本の第三セクター鉄道は、こういったバスやスーパーの開発に及び腰で、いつまで経っても伸びない需要に難儀している。
 買い物困難地域に駅とスーパーを併設して建設することで、地域住民のQOLも上げ一年を通じて需要を創出することができるだろう。
 またこのような自然豊かな土地に老人ホームを建てれば、愛知県民が老後もQOLを保って余生を送ることができるだろう。

法人

 この路線の呼び名は、観光路線らしい日本的な名前がよいだろう。そこで呼びやすく親しみやすい「ころでん」はどうだろうか。
 社名はAGTの新技術開発に手を出すことも鑑みて、「挙母ころも交通開発株式会社」あるいは「挙母交通開発公社」がよさそうだ。

資金調達の目途

 これで得をする人は多いように思われる。魅力を増やせる愛知県、労働者の宅地を増やせるトヨタ自動車、新たな鉄道需要を造れる名古屋鉄道、インバウンド観光客を呼び込める豊田市などだ。特にトヨタ自動車は歳入の7分の一を稼いでおり、水素電車の開発にも参入している。彼らの協力を仰げば、実現は格段に近づくだろう。

駅設置案

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