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#毎週ショートショートnote【バールのようなチワワ】


 大工の熊吉がご隠居に尋ねた。バールのようなものでシャッターをこじ開けて宝石店に泥棒が入ったというニュースを聞きましてね。のようなものってバールなのか、そうじゃないのかと。ご隠居は答えた。女のようなものと言えば、女かい?違うだろ?男だ。なるほど!じゃあ、道具箱にあるバールを警察にとがめられた時にそう言えばいいんだと安心した熊吉はなじみの小料理屋に行き、お目当てのお姉さんにデレデレと酒を飲んで家に帰った。女房にはとっくにバレていた。 
 「またあの女に会いにいってきたんだ」「なんでそれを・・」
 「私の目は節穴じゃないよ。どういう関係なんだい?白状しな」
 熊吉はまるで警察の取り調べを受けているように感じた。
 「小っちゃくて目がくりくりしてまるでチワワ。おいらの心をやすやすとこじ開けた・・バールのようなチワワだ」
 「女房の前でぬけぬけとよく言うよ。お前さんってホントバカだね」
 熊吉はシャベルのような女房の手でひっぱたかれて失神した。
                                                            
                            (了)

 

 自作イラスト、チワワのようなネズミですね(笑)
 立川志の輔さんの落語「バールのようなもの」を聴いて、
 参考にしました。


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