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毎週ショートショートnote【ひらめき膝」

 
 朝起きると右膝に鈍痛と腫れがあり、くの字のロック状態で脚が伸びない。今日は土曜日、整形外科は明日まで休診。二日間は様子見となった。
 幸いつま先立ちすれば歩けるし、足首は動くので運転もできる。手持ちの鎮痛剤を飲みながら、だましだまし仕事をして、月曜の朝に右膝はさらに腫れを増し疝痛も押し寄せ、ようやく受診にこぎつけた。
 
 レントゲン画像を見ながらドクターが何やら書いて、説明してくれた。
 「偽痛風ですね。症状は似てますが痛風にあらず。石灰分を含んだ水がたまって炎症を起こしてました」 シリンダーのような太い注射器で抜いた水には、白い結晶が照明にきらめき揺れていた。「その偽痛風になる原因は?」「まだよくわかってないんですが、しいて言えば老化です」
 
 老化は万能。にのくちが告げず、苦笑せざるをえない。治療を終えて帰る頃には、右膝のロックも解除され痛みもほぼ消えていた。一句ひねる。
〈きらめいて 揺れる石灰  偽痛風   膝も ひらめき  老化をお知らせ〉
 上出来!と膝を打ったら、大丈夫よと膝が笑った。


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