ジェネリック医薬品の負担額が増える制度と恩恵を受ける候補企業について(東和薬品)
Noteを開設してから一か月。
少し経ってしまいましたが、初めて個別銘柄について紹介します。
こんな感じで気まぐれに、銘柄についての分析記事を書き込みますが、私のために分析している内容をついでに公開するだけであり、投資を推奨するものではありませんので、ご参考までにご覧いただければ幸いです。
もちろん、いいねをもらえたら励みにはなりますので、もしそのように思っていただけたらぜひ!
【企業名】東和薬品 (東証プライム・4553)
東和薬品 (towayakuhin.co.jp)
大手ジェネリック医薬品専業メーカー。
770品目超のジェネリック薬品をラインアップ。循環器系に強いとされる。
CMでは黒柳徹子さんを長年起用されていて、ご存じの方も多いかもしれませんね。
近年は羽生結弦さんも加わっているようですね。
私は、どこかで大きく下げ相場が来ると思っているので、証券会社に入れていた資金のうち過半を現金化し、ポートフォリオを見直していますが、その中で残している銘柄の一つです。
医薬品銘柄でありディフェンシブ性が高いこと、下記のカタリスト欄で書いたことや、実質賃金が下がるほどにジェネリックの切り替えが進むであろうから、同社株はある程度は値が保たれるのではないかと思っています。
(とはいえ、過去の●●ショック時にはそれなりに影響を受けていますので、注意は必要です。)
【カタリスト】 ジェネリックにしないと負担が増える制度が始まったこと。
・ジェネリックへの切り替えによる医療費抑制は大きな国の方針があります。
なかでも10月1日から、患者への負担を求める施策が始まったことが大きいと考えています。
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養制度というものが、10月1日からひっそりとスタートしています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html
ざっくり言えば患者が後発医薬品(つまりジェネリック)があるにもかかわらず、先発薬(新薬)を希望した場合に自己負担が増える制度です。
先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金の負担を求められるようです。
やや複雑なので誤った情報をのせたくないので、ここでは詳細説明までは割愛します。
下記の専門家の記事がわかりやすいかと思います。
【10月1日から】ヒルドイドなど医薬品の負担増・何が対象?いくら上がる?なぜ?#専門家のまとめ(市川衛) - エキスパート - Yahoo!ニュース
私自身も高脂血症治療薬の先発品を飲んでおり、先日薬局で初めて聞きました。
私自身は医師の指定で先発品を処方されているので、以降の負担は増えないと思うのですが、自身の意思決定で先発品にしている方も多いと思います。
継続的に薬を飲み続けないといけない人ほど、ジェネリックにすることの動機づけになるとみて、東和薬品への投資を開始しています。
実際に、長期収載品選定療養制度の開始初週で後発医薬品率が4.41%pt上昇しているという報道も出ています。
https://www.fnn.jp/articles/-/770449
(harmoおくすり手帳を入れている人が母集団なので、限定的な母集団と考えられる点は留意すべきですが)
自己負担が増えるとなると薬を飲み続けないといけない人ほど、ジェネリックにするか、ということの動機づけになるとみて、東和薬品への投資を開始しています。
以降、長いので、東和薬品に興味を持たれた方は続けて読んでいただければと思います。
【その他材料】
12月に2型糖尿病治療薬や抗凝固剤などの大型新製品の投入を予定している。
水がなくても口の中で溶けて飲みやすくなるOD(口腔内崩壊錠)を展開
認知症対応でも先行している模様。(今年7月に同社は国立循環器病研究センターと、健康食品成分を用いて認知症予防機能解明を共同で研究する「認知症先制医療開発部」の設置。本年度内にタキシフォリンを用いた臨床試験を開始し、研究成果の創出を目指す模様)ジェネリック薬品業界は品質不正や異物混入などでやや信頼を落としているが、同社には特段そのような情報は出ていない(ように見えています。)
薬価改定は今後も続くはずなので、右肩上がりに株価が上がるというよりも緩やかに上昇を続けていくようなイメージでいます。
【割安性】 2024/10/11時点
PER 11.8倍、PBR0.9倍と十分に買える水準
グレアムのミックス指数PER×PBRは11.0倍。
(グレアムによれば22.5以下が割安とされる。ただし、日本だともう少し厳しく見たほうが良いとされるが、十分に合格点でしょう。)
(参考情報)四季報業界地図に記載の32社で住友ファーマ(直近期赤字)を除く投資指標
PER PBR(倍) PER×PBR
平均値 29.3 1.5 45.9
中央値 18.7 1.1 16.5
こうみても割安には見えます。
(が、先発品メーカーとは異なるのでこの比較は参考情報)
【成長性】
売上高は着実に成長できており、加速している。
営業利益が物足りないが、EBITDAでは順調に伸びてきている。
CAGR 売上高 営業利益 EBITDA
3年 +13.7% -4.0% +5.4%
10年 +14.0% +8.6% +10.5%
営業利益の3年平均成長率がマイナスなのは、2023/3、2024/3期で工場新設、企業買収、研究開発等の積極投資を行っており、償却費負担が大きいためです。
国策に沿っていることから、大外れする心配はしていないですが、これらの積極投資が功を奏すかは見極めが必要かもしれない。
有利子負債・固定資産を大きく増やしている。
【株主還元】
事業投資に積極的に資金を活用しており、還元はまだまだこれからの印象。
ジェネリックやバイオシミラーを作る機会があるうちは緩やかに還元性向を上げていただければと思っています。
1株配当推移
2013/03 25.00 円
2014/03 25.00 円
2015/03 31.67 円
2016/03 31.67 円
2017/03 31.67 円
2018/03 31.67 円
2019/03 35.83 円
2020/03 44.00 円
2021/03 44.00 円
2022/03 60.00 円
2023/03 60.00 円
2024/03 60.00 円 実績配当性向18.3 %
2025/03(予) 60.00 円
配当利回り
実績配当利回り1.94 %予想配当利回り1.94 %
(データ:マネックス銘柄スカウターより)
【成長株発掘のCANSLIM】
オニールでいう成長株というものにはさほど当たらない感じではあります。
まあ、ディフェンシブ性とテーマ性を見ているので、やむなしかなと。
【C】 = Current Quarterly Earnings やや甘いが〇
- 現在の四半期の収益:現在の四半期で一株当たりの収益(EPS)の高い成長。少なくとも年間25%の増加を目指す。
直近当期純利益は15.7%の増加なので微妙とは言えるが、その前の4四半期とも最低でも前年比+39.9%。
直近営業利益は38.5%の増加で、その前の4四半期は最低でも+111.1%。(営業利益の会社側2Q累計計画(68.0億円)に対する進捗率は83.4%と高水準。)
【A】 = Annual Earnings Increases ×
- 年間収益の成長:企業の収益成長が一貫しているかどうかをチェックします。過去3年間でEPSの複合年間成長率が最低25%。
当期純利益過去3か年は+14.0% -86.2% 634.8%とバタついており×。
おまけしてEBITDAのCAGRでみても+5.4%で×。
オニールでいう成長株というものには当たらない感じですね。
【N】 = New Products, New Management, New Highs △
- 新製品またはサービス:新しい製品、新しい経営陣、または新高値に達した株式を持つ企業を探します。例えば、業績を牽引する新製品を導入する企業や、業界の大きな状況変化を経験し、市場シェアが増加する企業などがあります。
新高値という面では年初来高値まであと少し、上場来高値も視野に入れる水準まできています。ただし、これについてはもう少し様子を見る必要がありそうです。
新製品という言葉には到底当たりませんが、医療費削減という流れの中で着実にジェネリックの流れが来ております。
現行の後発医薬品の使用推進について、数量シェア目標80%以上は継続され、新たに金額シェア目標値が2029年度金額シェア65%以上と設定されている。(2023年調査では56.7%)
また、上述の後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養制度があることから、開業医向け、循環器・呼吸器系などに強みがある同社にとっては追い風があるとみています。
【S】=Supply and Demand △
- 株式の供給と需要:需要が高く供給が限られた株式に注目します。株価が上昇するにつれて取引量が増加する株を探し、小さなフロートと継続的な株式買い戻しを行う企業を考慮します。
経営陣が保有している株式の割合が大きいと(大企業だったら最低1〜3%、中小企業なら3%以上)、株の値動きが経営陣自らの利害につながるため、企業としての株価上昇に対する努力が期待できます。つまり、良い候補銘柄となります。
(株)吉田事務所が39.0%を抑えており、浮動株は5.4%しかない。
但し、出来高があまり増えておらず、人気化してくるのを待つ必要がある。
【L】 = Leader or Laggard 〇
- リーダー企業に投資する。
業界の時価総額トップ企業はいまだ沢井製薬ですが、年商では東和薬品が上回っており、企業としては東和薬品に勢いを感じます。
沢井製薬は数年前に信頼に関わるトラブルがあったこともありますし、薬剤師調査などでみても評判は良さそうで、個人的にはリーダー企業なる資質が十分だと思います。
【I】=Institutional Sponsorship 〇
- 機関投資家による支持:機関投資家に好まれる株。過去数四半期、その株を保有する機関の数が一貫して増加している場合、良い兆候。
日本マスター信託口やBNYメロン、日本カストディ信託口が保有しているため、機関投資家にはある程度評価されているとみています。
願わくば、特定のPEファンドがついてくれるともっといいですが。
【M】 = :Market Direction △
- 市場の方向性:全体の市場が上向きの傾向にあるときに株の購入を検討
あまりここで語りませんが、今は微妙な時期にあると思っております。
一方で、ジェネリック医薬品業界は比較的ディフェンシブ銘柄と言えると思っており、ある程度投資しています。
なお、リーマンショックの頃、ブラックマンデーなどのショック時には比較的下げている点は注意は必要かもしれません。
とりとめもない記事でしたが、ご参考になれば幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。