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Four Tet『Three』(2024):ただ音楽

通算12枚目のオリジナルアルバム。
フォーテットは、今やエレクトロニカの代表格と呼べるミュージシャンである。
本作は、エレクトロニカを基調としながらも、ブレイクビーツ、アンビエント、ダンス、フォークトロニカ、ミニマルテクノ、ダウンテンポ、シューゲイザーなど、多彩な音楽的要素で彩られた、一大音楽絵巻のような作品となっている。
これだけ様々な音楽的要素を取り込むと、取り散らかったアルバムになりそうなものだが、ドリーミーでメランコリックなイメージで統一された広大なサウンドスケープとなっているのが秀逸だ。
音楽に能動的に深く潜って聴くこともできるし、BGMとして流して聴くこともできる。とても懐の広いアルバムとなっている。
音楽として、とても純粋な有り様だと思う。
フォーテットの音楽は、いつも聴き手に押し付けない。自由に聴いて心地よい音楽が鳴っている。
それは、フォーテットが、作品を「ただ音楽」であることを美徳としていることに他ならないのではないだろうか。
私にはそう思える。
本作は、そのような「ただ音楽」を、自由で豊穣な響きをもって聴かせてくれる、最高傑作と称しても良い程に、美しいアルバムである。


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