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ゆるっと沖縄離島旅・自然大好きT君旅行記

 明るい太陽、エメラルドグリーンの海、時間がゆったり流れる癒やしの島……
 沖縄は好きですか?

 疲れが溜まっていく変わり映えのしない毎日から、南の島の楽園へ、できることなら今すぐにでも飛んでいきたい。
 わかります、そのお気持ち。

 沖縄と言えばリゾートホテル。
 リゾートホテルのビーチで、ゆったりと海に沈む夕陽を眺めるなんて最高ですよね。

 バブルの時代を体験した世代なら、山下達郎さんの曲がバックに流れていたりするのではないでしょうか。
 実際にビーチのスピーカーからは『高気圧ガール』が流れていて、灼熱の太陽にさえドキドキしたものです。
 若いっていいですね。

 リゾートホテルでゆったりするのも魅力的ですが、沖縄の離島には手つかずの素晴らしい自然があります。
 今回は、私の友人T君の、ちょっとへっぽこだけど楽しい沖縄の離島、八重山諸島の旅を紹介します。



1.旅のきっかけ

 T君が今回旅に行くことになったのは、航空会社のバーゲン価格に目が眩み、思わず航空券を衝動買いしてしまったのがきっかけだとか。
 きっと、心の中に八重山諸島に行きたいという想いがあったのでしょうね。
 その身軽な感じ、ちょっと羨ましい気がします。

 旅の主役のT君は、もともとルーズなところがあって、旅行に出発する当日の出発直前でも準備ができていなかったりする人です。
 フライトの時間ギリギリ、アクロバット的な慌て方で出発することがよくあります。

 今回も、せっかく余裕のある時間に家を出たのに、忘れ物をして出戻って、結局いつもどおり、飛行機の搭乗口にギリギリで滑り込んだのでした。
 それでも、なんとか無事に八重山諸島の石垣島に到着することができました。


2.石垣島で

 旅好きのT君、でも、あまり裕福ではありません。
そのため、日本各地どこへ行くときでも最短ルートよりも旅費節約がモットーです。

 宿泊もネットカフェを利用して宿泊費を節約します。
 今回は都会ではなく離島なので、さすがにちゃんと宿を予約したようですが。


 2-1 虫好き男子 バンナ公園の世界の昆虫館へ

小浜島の蝶

 石垣島にあるバンナ公園は、バンナ岳という山がまるまる自然公園になっていて県が保全しています。
 絶景展望台やトレッキングコース、サシバやカンムリワシ、蛍など野生生物にも会える大きな公園です。

 公園内には、40ヵ国、400種類以上の昆虫標本が展示されている「世界の昆虫館」があり、色とりどりの美しい蝶やカブトムシ、クワガタなどたくさんの昆虫が展示されています。
 昆虫大好きのT君は、さっそく昆虫館に直行しました。

 昆虫館の館長さんは優しい方で、蝶が大好きなT君のために少し離れた場所にある石垣島の貴重な蝶の飼育所も案内してくれたそうです。

 たまたま雨上がりで、お腹を空かせたたくさんの蝶が、花の蜜を吸うために飛び回る姿を観察できて、T君は感動したのでした。

「最初は蝶が逃げないように囲っていたけど、餌になる植物を植えておけば勝手に集まってくることに気づいた」と館長さん。
 餌になる植物を植えているだけで、蝶が自然に集まってくるなんてすごいですね。

「でも、館長さんの専門は細菌学者らしいよ」
虫好きのT君は館長さんとちょっと仲良くなったらしく、そんな会話もしたようです。
 人との出会いも旅の楽しみですね。

 2-2 石垣島事件簿

  レンタカー屋さん

 石垣島周辺の離島にも足を延ばす予定のT君、旅費節減のためインターネット検索で最安値のレンタカー屋さんを選びました。

 しかし、そのレンタカー屋さん、全部インターネットで処理するシステムで、やたらと手間のかかる手続きのみで完了。
 車を借りるときから返すまで、とうとう一度もスタッフさんの姿を見ることがなく、後でレビューを確認すると低評価の嵐だったそうです。

 何かあったらトラブルに発展しそうで、シニアの私にはとても無理っていう感じです。


  格安沖縄そば屋さん

 沖縄はどこに行っても、沖縄そばの店があります。普通の食堂でも食べることができます。

 地元の人は普通「そば」としか呼ばないので、他府県の人はそば粉で作ったそばだと勘違いしてしまうかもしれません。

 沖縄そばの麺は平べったい中華麺という感じです。麺も平べったいもの、縮れ麺、丸っぽいものなど店によって違います。

 出汁は豚骨ベースやかつお節ベースで、店によって味にこだわりがあって、地元でも人によってそれぞれ贔屓の味があるようです。

 石垣島で食事をしようと探していたT君、最近の物価高で外食も高いなか、劇的に安い沖縄そば屋さんを発見しました。

 まだまだ暑い10月初旬の沖縄で、クーラーもなく扇風機の回るそのお店は、年配のおじさんがひとりで切り盛りしていました。

 値段の安さに惹かれたT君は、ソーキそばのセットを注文して食べ始めます。

 T君はグルメではありません。安ければそれなりだよね、と納得して食べる人です。

 ですが、このそば屋さんの料理はT君でも美味しいと思えない味で、わずかに麺の上に盛り付けているソーキ(豚の骨付きあばら肉)の煮付けだけは美味しいかなと思った程度なのだそうです。

 美味しくないと感じるものを食べるのって、けっこう辛いですよね。そうやって食べているうちに、観光客らしきお客さんがお店に入ってきました。

 平和主義というか小心者でもあるT君は、この新しいお客さんが食事をする前に大急ぎで店を出たのだそうです。

 料理の味へのクレームで揉めそうなレベルだったので、巻き込まれるのが怖かったのでしょうね。

 レンタカーも沖縄そば屋さんも、T君の安物買いが原因ですよね。
 T君には、いい薬になったのではないでしょうか。


3.いざ! 天然記念物の島・西表島へ

西表島のマングローブ原生林

 石垣島の昆虫館で大好きな蝶や昆虫たちを満喫したT君、旅の2日目はさらに大自然が残る西表島へ上陸しました。

 西表島と石垣島の間には、石西礁湖と呼ばれる国内最大のサンゴ礁がある美しい海が広がっています。

 内陸部は、マングローブ原生林の茂る川や、特別天然記念物のイリオモテヤマネコ、カンムリワシも生息するジャングルがあります。

 西表島は2021年7月に世界自然遺産に登録された、亜熱帯の大自然が残る素晴らしい島なのです。

 T君は昆虫だけでなく、生物が大好きで『わくわく動物ランド』『どうぶつ奇想天外!』は、T君が子どもの頃大好きなテレビ番組でした。

 その番組に出演していた生物学者の千石正一先生が、西表島の爬虫類・両生類を紹介していたので、西表島はT君にとっては憧れの島なのです。

 「ゴミも全然なくてとても綺麗だった」と、手つかずの自然を満喫したようです。

 

4.癒やしの小浜島 『ちゅらさん』の島

小浜島

 3日目は小浜島へ渡りました。石垣島からフェリーで約25分、けっこう気軽に行けそうですね。

 小浜島はNHKの「連続テレビ小説」『ちゅらさん』の舞台となった島で、世界有数の素晴らしいサンゴ礁にかこまれた、昔ながらの家や道が残るのどかな雰囲気の島です。

 でも、この小さな島には大きなリゾートホテルが二つもあって、観光客の数に対して小さな島のキャパは追いつかないようです。
 海を漂って浜に漂着するゴミと観光客の残していくゴミの処理が間に合っていないようだったと、T君はちょっと心配していました。

 美しい自然を残すために、観光だけでなくゴミの扱いにも気をつけないといけないですね。

 ゴミ拾いツアーなどがあると良い方向にいけるかもしれませんね。離島のゴミ問題は難しいものがあるようです。


まとめ T君の旅で思ったこと

 沖縄旅行といえば夏、海のレジャーを楽しむのが定番ですが、今回のT君の旅は、離島の自然を満喫することに目的を絞ったものでした。
 自分の一番したいことをする、シンプルに楽しい旅だったようです。

 いつもギリギリ、ピンチが多いT君。
 旅の途中でイレギュラーなことがあっても、ピンチに慣れているせいか、なんとか乗り越えることができたみたいです。それも楽しい旅の思い出。

 贅沢ではないけれど自分の心が喜ぶ旅、それが一番なのかもしれませんね。

 そして、考えさせられたのはゴミのこと。

 素晴らしい自然が残る小さな離島は、住んでいる人が少ししかいません。島の子どもたちも掃除をしたりして努力していますが、少ない人数の住民では力が足りないようです。

 癒される素晴らしい自然や観光地を守るためには、旅をする私たちがゴミを持ち帰ったり、ゴミ処理がちゃんとできる場所へ持っていったりする心遣いが必要だと思いました。

 美しい自然がいつまでも残り続けますように。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 また、次の記事でお会いしましょう。
 








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