見出し画像

Overseas Korean(2) ドンの娘

Cocktail People : 人はみな、いろんなもので出来ている。
何かのベースにいろんな味がまざってシェイクシェイクしたカクテルのようだと思っています。

『Overseas Korean 10』では
Koreaベースだけれど、わけあって韓国以外の国で育ち
ある時期、韓国ソウルに集まった
Overseas Korean たちの話を綴っています。

=====

シルビア : 南米コリアン社会ドンの娘(1/3)

私がシルビアに初めて会ったのは、ルームメートのカリンと食事をしていた時だ。紹介されるや否やカリンに向かって、
「あんたはルームメートに恵まれてんなあ。私のルームメートなんかなあ、、、」と、延々と自分のルームメートをこき下ろしたのだ。 初対面ということもあったので、

ーめちゃはっきりしたねえちゃんやなあ。 これ、 ラテン気質っちゅうんか。でも韓国人も、 もともとはっきりしてるからなあ。 アジアのラテン人って言われてるくらいやから。そのコリアンがラテンの国で生まれ育つと相乗作用でこうなるんかなあー

とつぶやいたのであった。

韓国生まれアルゼンチン育ち

シルビアは韓国生まれ。 1才の時に家族がアルゼンチンに移民。 アルゼンチン生まれ育ちの兄弟はアルゼンチン国籍だが、 シルビア自身の国籍は韓国だ。アルゼンチンの最高学府であるブエノスアイレス大学卒業。

韓国以上に韓国的な家庭で育つ

彼女のお父さんは移民一世。アルゼンチン韓国人会の会長。おまけに、南米5ヶ国* (アルゼンチン、プラジル、パラグアイ、チリ、ベルー)の韓国人会の会長も兼任。韓国以外に住む韓国人にとって韓国人会会長は韓国社会のドンである。
それに、シルビアの父親はアルゼンチンのみならず南米韓国社会ビッグファイプの会長であることを鑑みれば、韓国人社会における影響力は言わんをや。

シルビアの言葉を借りれば、両親は『典型的韓国人』で、家の中では韓国語のみ。家具、調度品は全て韓国からの取り寄せで100%韓国ワールド。食事、祭礼も韓国式。常に韓国ドラマが流れていて、リアルタイムで韓国のトレンドにも精通しているらしい。

子供に対する教育はいかに。シルビアが外出するおりには必ず誰と何をしに何処に行くのか、を報告した上で、門限は午後7時。シルビアの友達から電話がかかってきた時も、必ずどういう関係の誰であるかを明確にしなければならないらしい。
デート、結婚相手は韓国人でなきやダメという家訓がある。

シルビアいわく、
「南米の韓国人社会はとても閉鎖的。結婚も韓国人社会でして、言語も習慣も韓国と同じ。いや、韓国以上に韓国かもね。定期的に南米5カ国に住んでる韓国人の若者集めて青年集会とかやってるけど、主旨は彼氏彼女探し、 結婚相手探しでしよ。 もちろん親の意向だけど、私なんてアルゼンチンのみならず南米5カ国の韓国社会の未婚男性のメンツぜ~んぶ知ってるわ。」
と、 豪快に笑う。

 韓国では、シルビアは当時29歳である。 ご両親は、 韓国人女性にしてはすでに晩婚の域に入っているシルビアを『案じ』、 南米の韓国人社会の男性がダメなら韓国本国で花婿を見つけてくれるよう一縷の望みをかけ、 本プログラムに送りこんだという。 ただ、当の本人はさらさらそんな気は無く、 毎週末、オーストラリアに住むイギリス人のボーイフレンドと電話で長々とおしゃべりしていた。

南米韓国社会のドンの娘、 アルゼンチン韓国社会では知らない人はいない。プリンセスとして韓国社会の中でどっぷり生活してきたシルビア。(2/3に続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?