パリ生活ゴ(28) 困ったコール
「パリ生活ゴ」では、語学テキストにはあまり登場しない
パリの日常生活シーンと、パリジャンがフツーに話している『パリ生活ゴ』を紹介。
（2002年〜2016年にフランスニュースダイジェスト誌面、サイトに掲載されたGDR執筆コラムに修正、加筆したものです）
が、ご注意を！！！
こなれた俗語が満載。
なので外国人の私たちが使うのはオススメしません。
失礼になったり、誤解されたりするリスク大です。
なので、聞いた時に理解できてOKというスタンスで眺めて下さいね。
また、スキットはGRDが全て作成したので、文自体はフランス人の口から出てきたネイテイブフレンチではない箇所もあります。
が、全てネイテイブチェックをかけています。
これらの文は、外国人フレンチだが、意味はバッチリわかる、という内容ですのでその点、ご理解下さい。
scène 28. 困ったコール
＜シーン 28 ＞
フランスでは「困ったら、困ったと叫ぶべし」。
冬のある日。失業中だった私はASSEDIC（失業保険支払い機関）に行った。
開門30分前なのに長蛇の列。生後数カ月の息子を抱いた私は困った。極寒の中、乳飲み児を抱いておそらく2時間は待たねばならぬ。うーん。
よし、困ったコール発動だ。失業で盛り下がっている仲間（!）の前でスピーチを打つことにした。
｢おはようございます。寒いですね。開門30分前に、もう長蛇の列とは驚きです。私は前から22番目。当然、皆さんと同じように自分の番を待つべきなんですが、この乳飲み児が静かに待てそうにないのです。お願いします、どうか前を譲って下さいませんか｣。切羽詰った私は窮状を訴えた。と、彼らは無言で私を最前列に入れてくれた。
エアフランスのチェックインカウンター。前日から絶不調だった私。｢具合が悪くて倒れそうなんです。出来れば横になれる席があったら助かるんですけど｣。係員は私の鉛色の顔を見つめ、ビジネスクラスにアップグレードしてくれた。
メトロのホームで、人身事故が起きた。遅刻する、とクライアントに連絡せねばならない。が、なんとその日は携帯を家に忘れてしまった。
｢すみません！！｣ 隣の男性の携帯を借りて事なきを得た。
普段はイケズなフランス人だが、切羽詰って『困ったコール』を発すれば、時に助けてくれるかも。
＜使えるパリ生活ゴ 28 ＞
A : (A 8:30, devant une agence de ①l’ASSEDIC)
8時半、ASSEDICの前で。
A : A la la. C’est pas vrai. Il y a déjà autant de monde?
あら? うっそ? もうこんなに混んでるの？
B : Ben, oui.
そうねぇ。
A : On ne ②rigole pas avec ③une allocation de chômage.
失業保険となるとマジになるよねえ。
Il faut absolument que tu te présentes le jour de ④la convocation, ⑤sinon, tu risques de perdre ton ⑥droit.
呼び出された日に絶対行かなきゃね。でないと、失業保険がパアになるかもしれないんだもん。
B : Ca ferait mal, hein?
そりゃ大変よ、ねえ。
〜解説 28 〜
① ASSEDICは「商工業雇用協会(Association pour l’emploi dans l’industrie et le commerce)」で、失業保険の支払いを行う機関だった。 (現 Pôle emploi.)
ANPE「職業安定所( Agence National Pour l’Emploi)」就職斡旋機関と合併してPôle emploi になった。
② rigolerは「ふざける」【plaisanter】。
形容詞はrigoloで「面白い、こっけいな」【amusant, drôle】。
名詞はrigoladeで「冗談」 【plaisanterie, blague】。
③ allocationは「手当」。
福祉国家であるフランスにはさまざまな手当てがある。
allocations familialesは「家族手当」。
allocation de logement は「住宅手当」。
外国人でも支給される手当も多い。また、手当をabuser「悪用する」人がいるのは残念である。
④ convocationは「呼出し（状）、召喚（状）」。
略はconvoc。役所から来る場合が多い。
⑤ sinonは「そうでなければ」（一語であること に注意）。
<同義語> autrement
⑥ droitは権利。
droits acquisは既得権。
❤️では scène 29 でお会いしましょ❤️