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愛月ひかるディナーショー『All for LOVE』総括

  「男役に完成はない」と言い切り、理想の男役像を追求し続ける愛月ひかるさんは、「古き良き宝塚」を現代に蘇らせて、「ご自分が男役の美学を追求される姿」を通して宝塚の魅力を伝え、今までとこれからの宝塚を大切に守ってくれる存在。愛さんが宝塚をこんなにも好きでいてくれるから、私も益々宝塚を好きになっているなぁと思う日々です。
 もう1ヶ月も経ってしまいましたが、そんな彼女のディナーショー『All for LOVE』の振り返り…というか思い出の結晶化を目的としたような、“好き”を詰め込んだ感想note。こういうものって時間が経つほど言語化しづらくなるけど(本当は東京公演始まる前に書きたかったんです…)こんなに沢山参加させていただいたディナーショーは最初で最後になると思うので、時間がかかってもどうしても残したかった。今夜はついにスカステで放送。ファーストランですね!

 スカステの番組表と公式Twitter、どちらも違う写真をアップしてくださって嬉しい〜!特にディナーショーは滅多に舞台写真を手に入れることはできないので、新しいビジュアル放出はもう五体投地レベルで有難いです。
 今回も安定の長文ですが、よろしくお願いします。

1.「宝塚が大好き」な愛月ひかるさんの魅力

 「宝塚という枠は飛び越えない」「品格」「男役の美学」…きっと相当な覚悟がないと口にできないであろう言葉の数々をファンになってから何度も見聞きしてきて、それらの根底には「宝塚が好き」という気持ちがあったからこそなんだ、と大劇場千秋楽のご挨拶でも印象付けられたばかり。ご自身が大切にされる要素がとことん詰め込まれたディナーショーでした。
 舞台の上に立つ愛さんを観ていると、「私、いま宝塚を観てる…!」という臨場感、高揚感に包まれることが多いです。クラシカルな魅力が持ち味の愛さんの姿を通して陶酔する「宝塚」の世界が大好き。勿論、男役として命を燃やされるその姿に惚れてるからこそ。
 今回の楽曲は、全て宝塚の曲。J-POPや、ご自分で作詞されたオリジナル曲も無し。生徒の数だけディナーショーの形に正解はあるけど、宝塚の曲を通して自分の全てを伝えようとする、その誠実な姿勢はものすごく胸打たれるもの。「東京公演でも、男役を追求する姿を通して感謝の気持ちを伝えられたら」というニュアンスのお話をされていたけど、彼女にならそれが実現できてしまうのではないか。直接言葉にできる機会も大切だけど、言葉なんてなくたって、舞台の姿を通して示してくれる。お茶会や入出待ちのないご時勢を恨む気持ちは未だにあるけど、そんな状況だからこそ更に響いたというか、そう明言されたことで気持ちが昇華された。

2.メンバーが最強

 ダンスのキレも歌唱力もピカイチ、何でもできてしまうひろ香祐さん。愛さんと同じく宝塚のオールドファンということで、一時停止を繰り返して1時間弱のレビューを何時間もかけて見終わったというあの「『ダンディズム!』観賞会」のメンバーでもあるという。愛さんとの出会いは、劇団の廊下で初めて話して、そこからご飯に行く様になって…とのこと。後述しますが、愛さんのコミュ力とんでもないな?と思うことが多くて…どうなってるんですか…?(真顔)学年や組を超えた交友関係が見える瞬間が好きすぎる。この観賞会も、当時星組生だったのがこりんさんだけだったのことで、彼女のコミュ力もとんでもない。
 ディナーショーの中で披露してくれた「初演『ダンディズム!』のハードボイルドの場面での真矢さん、紫吹さん、愛華さんの演じ分け」や「『モアー・ダンディズム』の初演と同じプロローグで礼さん瀬央さんと並んでポーズ決める愛月さんだけ顔の角度が違ってひとり獲物を狙ってる姿」の再現、もはや天才の所業。宝塚ホテル公演前楽でのMC「愛さんとやりたいこと」で『黒い瞳』の男の友情のハグを是非…と叶えてもらってたのも胸熱な光景でした。

 某あいこさんの胸キュン暴走トークが止まらない時に、同意を求めるように愛さんから「……ねぇ?」って目配せされていた姿が印象的なお姉様、「女咲」な音咲いつきさん。いーちゃんが「男咲」な男役時代の星組公演を沢山観ていた時期があるので、今回こんなに娘役としての魅力に浸らせていただけて嬉しかったな。デュエットの安定感…『美しき生涯』のラスト、いーちゃんが捌けた後に残る余韻まで素晴らしかった。
 愛さんとの出会いは、『アルジェの男』で恋人同士の役を演じるとの発表後、外部のコンサートを観劇した際偶然近くの席になり、終演後に愛さんから声をかけられて…という展開だったとのこと。第一ホテル東京公演初日に「愛さんに手を当てられて腰が抜けそうに…」とお話されるエピソードを聞きながら私も腰が抜けそうでした…テキパキしながらも乙女の気持ちを併せ持ついーちゃんが好きです。

 「あいこ、綿棒!」と愛さんに綿棒を差し出されたという衝撃エピソードが未だに頭から離れない、愛さんへの愛が止まらない「あいこ」さんこと小桜ほのかさん。愛さん曰く、今回の本公演中も舞台裏で愛さんの前をほのかちゃんが歩いている時は、数歩進んではニコって振り返ってくるとか…ほんと可愛い…こんな天使の笑顔でラブラブアタックされたら抗えないと思うんだけど…抗おうと(?)愛さんが終始塩に徹しつつたまにデレが隠せてないのが良すぎた。MCの中で何度も言われていたけど、ロミジュリの代役稽古では愛さんがロミオでほのかちゃんがジュリエットだったとのことで、代役公演なんて絶対望んではならないけど、2人が相手役として稽古していた時期があったというのは嬉しかったなぁ。


 (巨大な愛をそのまま直球でぶつけるこの姿、どうしても妃海風さんを思い出してしまう私でした。こないだ風ちゃんの星組観劇ブログにも「愛する小桜」って言葉が登場して嬉しかった〜!)
 愛さんとの出会いは、まだ同じ組になる前にエレベーターが一緒になって…とのこと。

 『ネオ・エゴイスト』でサングラスを外しながら熱いバチコンウィンクを放っていた姿が印象的な蒼舞咲歩さん。若さと熱さ、そして純粋さが本当に素敵で…本公演の『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!』でも毎回彼女の定位置を確認してしまう私です。他の3人はロミジュリの代役稽古で一緒だったり、普段から親交が深かったメンバーとのことだけど、「『マノン』のメンバーによる『VERDAD!!』のお稽古場見学会」で猛烈アピールをしていたさきっぽくんの熱量に胸打たれた愛さんが、今回のディナーショーのメンバーにとオファーしたとのこと。決まった時は家族に伝えて…と嬉しそうにお話されてたさきっぽくんの姿が、未だに脳裏に焼きついています。星組が誇る余興集団「エマエージェンシー」のメンバーでもあるという彼女が、被ってた猫を徐々に剥がされていく感じが大変愛おしかったです。ちょうど宝塚ホテルでの公演期間であった11月8日がお誕生日だったとのことで、後述する薔薇1輪を抱えての黒燕尾のシーンで、なんと愛さんはその日だけ特別に生花の薔薇を用意されたとか。(歌劇12月号、漣レイラさんの組レポより)
 愛さんとの出会いは、元号が令和に変わる前日の平成最後の日に自転車で通りかかったお店の中で、ちょうど当時の星組の皆さんと愛さんがいて、そこに手招きされて合流して…と。

 舞台の上の姿だけでなく、度々垣間見える生徒同士の関わりにとても萌えるタイプのオタクですが(おそらく「関係性」にめちゃくちゃ弱い)、4者4様の愛さんとの出会いのエピソードが素敵で、それぞれ組替え前から何かしらのご縁があったことが奇跡だなぁと思い、ここにも残させていただきました。いやもう、出てくるエピソードの数々がすごく温かいものばかりで…こんな世界がこの世にあるなんて…宝塚は厳しいだけじゃなくて、人の血の通った愛ある環境なんだなと改めて思わされた。

3.完璧なセットリスト

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 「男役」としての見せ方に心底惚れているので、公演に通いながら日々惹かれている繊細な表現や、最近の私のお気に入りワード「全身が好き」をここまで堪能させてもらえることになるとは…。
 イントロだけでテンションぶち上がる【オープニング】の『望もうと望むまいと』でハットにファーコートなあの愛さんの姿が見えた瞬間超絶沸き…気怠げに舞台セットに片手添えてみたり、あのアンニュイな感じをまさか冒頭から拝めるなんて…研15の愛さんによるエロールを拝めて感無量なんです。
 【1st LOVE 宙組メドレー】では当時のトップさん達へのリスペクトが感じられるような構成…の中でも『NICE GUY!!』の「Yの法則」を「愛の法則」にアレンジしてオリジナリティ発揮してたのも好きすぎたわけで…「“ア”イの法則」、“ア”にドスを効かせてギラギラしてたオラつき気味の愛さんへの愛が止まらない…。来年星組での再演が決まっている王家に捧ぐ歌の『エジプトは領地を広げている』は、あえて愛さんが着替えで抜けるタイミングで4人だけの歌唱となったのも、愛さんにとっては過去の出演作ではあるけれどもう来年はそこには居ないんだという決別の気持ちや、残される組子へのエールのようにも思えて、ぐっときてしまいました。
 【2nd LOVE 主演作】は、ご自分のものにされてきた曲だからか、表情豊かにいきいきとされてたのが印象的。『SANCTUARY』とか、伸ばした指先から物語が伺えるような表現がとても好きです。不滅の棘の『フリーダ』で背中を見せながら歌ってくれたあの哀愁… 私も「さきほ」「あいこ」みたいにフリーダを言い換えて歌ってほしい…。
 ご自分のファン時代に好きだった作品の曲を歌ってくれる、というディナーショーだから叶えられる構成も好きでした。当時から星組ファンだったということで、星組で卒業されるのも何かの強い縁なのかもしれないなと。とはいえセトリを見ても目を引くのは【3rd LOVE My Favorite】がまるっと『花の業平』コーナーだったこと。「本当は『権力』も歌いたかった…」って、退団のタイミングで歌うのどうよ、って先生にツッコまれたエピソードまで(笑)ご自分のこだわりをとことん詰め込んでくださり、とっても楽しいセトリでした。(そして『銀河の覇者』の中でさりげなく「権力」という歌詞は登場してるのに途中で気づいて勝手にほっこりしていました。)『美麗猫』のにゃんこの手の衝撃も…あんなに惚れた男役の手でにゃんこだよ…もうどうしたら…(悶)
 限られた立場の人でないと歌唱すら許されないような曲を詰め込んでくれた【4th LOVE 愛を込めて…】。“if”の世界に想いを馳せて夢を叶えるというよりも、ファンからリクエストがあった(とエゴサ結果で把握してセトリに入れてくれた笑)とか、専科時代の『ロマンチックコンサート』をきっかけに歌いたいと思ったとか、その選曲に行き着くまでの心境を丁寧に伝えてくれたのも嬉しくて。曲が変わるたびに纏う空気までもガラッと変えてくる愛さんが好きです。巨大な愛が芽生えて苦悩する切ないトートからの、純粋に愛を求めるロミオ。この2曲の変わり様は鳥肌もの。『さよならは夕映えの中で』はレットバトラーのセリフ付きで、オレンジの照明の効果もあって情景が浮かぶのがとてもぞくぞくした。愛さんって舞台を降りてる時の声がとんでもなく可愛くて、ああ〜ギャップ…!!ってだいたい萌えて悶えているけれど、お腹まで落とし込んだずっしりした男役の低温を聞くと、また新たな扉を開きそうになりますね…底無し沼…。

 特筆すべきはやっぱり黒燕尾。薔薇を一輪持ち、愛おしそうな視線をやりながら、綺麗な手を添えて。そのまま群舞に移り、片脚に重心乗せた時のしなる身体が本当に好き。ここには書き切れないほど、とにかく男役としての魅せ方に対する“好き”が止まらない【6th LOVE フィナーレ】でした。「あい」さんと「あいこ」さんによる、ストーリー性のある愛に溢れたデュエダンも夢夢しくて…ツンとデレのミックスって何でこんなに中毒性高いんだろう。『愛!』の黒燕尾からの『この愛よ永遠に』のデュエダンは、私が個人的に大好きな『Amour de 99!!』のフィナーレの構成でもあって。いーちゃんの安定と迫力のカゲソロも素晴らしかった〜!
 サヨナラショーでも思ったけど、とにかくどこまでも「夢に忠実」な人。ファンが夢見た姿、ご自分が歌ってみたいと夢見た曲。愛さんとファンの夢が叶う、大劇場よりもずっと小さいけれど愛が充満していた空間。余談ですが、私は劇場以外で愛さんの姿を拝見するのは初めてだったので、第一ホテル東京公演初日は、まるで限られた人しか参加できない地下組織のイベントに来てしまったような感じがすごくて(笑)不思議な気分だった。ロミジュリで一気に底なし沼に落とされた私ですが、ついにディナーショーにまで参戦してしまいました。“好き”がもたらす原動力、そして自分で引き寄せた縁。何もかもが奇跡のような展開なんです。
 衣装も全部当たり前に素敵だった。冒頭、エロールの白のハットにファーコートでの登場はものすごくぞくぞくするし、ハットを取る瞬間に三白眼気味になるのも大変セクシーでした… コートの下が次の宙組メドレー仕様の白い衣装なんだけど、その開襟具合がなかなかに反則モノなので、開襟の上にファーコートという、もはや愛さんにしか着こなせないようなアダルトな感じに仕上がっていて(もうダメですね)… 【2nd LOVE 主演作】での濃紺のスーツも大正解。後ろを向いた時の背中が好きすぎるんです。そして『花の業平』コーナーから【5th LOVE 星組ショーメドレー】にかけてのピンクの衣装は、サヨナラ新調だったとのこと。今まで着ていなかった色。好きな色。ということで選ばれたモーブ色のピンク。劇団公式インスタでも、愛さんのシャンシャンは「エレガントなモーブ色のブーケ」と紹介されていたなぁ。

 ビジューのないシンプルな黒燕尾は、ごまかしが効かないからこそ繊細なディテールが際立つので絶品だし、後述するアンコールでは、サヨナラショーラストの白の衣装で登場。とにかく白が本当によく似合う。そして、どの衣装を纏っても「男役」としての説得力が素晴らしいんです。

4.癒しと衝撃の日替わりMC

 第一ホテル東京公演初日の「私、エゴサーチするんですけど…」で白目を剥いたオタクですが、そのエゴサのおかげで愛さんはロミジュリの死でトレンド入りした時に「愛ちゃんのトートを観てみたい!」というファンの声を拾ってくれて今回『愛と死の輪舞』を披露。「スカステでほのかちゃんが『例のもの(指輪)を…パカっと…』と言っていたのはどのお芝居の時?」ってファンが騒ついていたことまでチェックしていたから、今回ロミジュリ代役稽古の話と『いつか』のデュエットを。本人自らがファンの需要を拾いに行くとか、そんなことある?って信じられなかったけど(いや、過去のエゴサ発言は存じていたけれど…まさかここまでとは…)でもそれって、良い意味ですごく合理的で、客観的な視点を忘れない愛さんだからなのかな、と思ったり。そして「SNSを見てるよ」ってこうやって間接的に伝えることは、誰もが自由に発言できてしまう便利なツールが生む弊害への「牽制」の効果もあると思うんですよね。とても強い人。「私のエゴサーチの結果で構成されたコーナー」みたいに言っちゃってたけど(笑)、そんなチャーミングな愛さんが好きです。宝塚ホテル公演ではエゴサネタは一切封印されていたので、あまり引きずらず、次の話に移ります。
 その他、印象的だったMCを抜粋して残します。宝塚ホテル公演初日の、「宝塚の好きな作品」というテーマで各々が作品名を出して楽しそうに語る姿をものすっごい優しい視線を送りながら愛さんがにこにこ聞いていた姿が忘れられないけど、ミーマイが星組に回ってこないという話の時「そういう偏りあるから…」みたいに突然ご意見番みたいなテンションで話に割って入ってきたのが衝撃すぎて(笑)!突然上からカットインしてくるのがたまらなく好きです。「仕切り屋」であり「鼓舞師」であり…星組生として出演した本公演は3作だったとはいえ、ものすごい強烈な肩書きを持ってるのが、とにかくすごいなぁと。
 もう一つ、コミュ力お化けだわこの人…(惚)と思ったのが、宝塚ホテル公演前楽の、下級生とエレベーターに乗り合わせた時の話。

 毎日タカニュを番組最後までチェックしてることも、初対面の下級生とエレベーターに乗り合わせたら声をかけることも、何もかもが眩しい。自分の交友関係を広げることは大人になると難しくなるけど、それを平然とやっちゃうのがあまりにも好き。愛さんにとっては、組とか学年とか、もはやそれほど大きな括りではないのだなと思わされる。そして今朝放送されたカフェブレ… ご自分が下級生の頃に上級生にあまりアドバイスを聞きに行けなかった後悔、聞きに行きづらかった経験があるからこそ、今下級生に積極的に話しかけているのだと。神ですか…?「血筋がクレーマー(笑)」とかご自分で散々言っておきながら…(涙)大劇場千秋楽の時には涙を見せなかった愛さんが、宝塚ホテルでのディナーショー大千秋楽ではメンバーの涙に釣られながら自然と目に涙が溜まって溢れちゃってたのがもう…「尊い」という言葉で簡単に表せないほど、タカラジェンヌ同士の絆の強さを実感した瞬間。もうだめだ、お人柄にここまで惚れてしまうなんて。あと20日しかないのに、この巨大感情にどうやって決着をつけたら良いかな…。

5.究極のラブレター『熱愛のボレロ』

 「命の限りあなたを 熱く熱く愛したい」という終盤の歌詞が印象的な『熱愛のボレロ』。最後に「アイラブユー」を3回、そして「ジュテーム」で締まる、こんなに愛の言葉を我々に浴びせてくれるこの曲は…?と宝塚ファン歴10年未満のアラサーには分からなかったので、この少なすぎるヒントにも関わらずフォロワーさんが曲名を突き止めてくださった。究極のラブレターのようなこの曲は、専科時代に出演された「ロマンチックコンサート」で紫苑ゆうさんが歌われていたことがきっかけで、この機会にと選曲されたとのことだったけど、こんなに熱くて心が伝わる曲があるのかと震えた。愛さんのラストの絶唱も素晴らしくて…この空間をそのまま感じたかったからオペラグラスを持たなかった日もあった。ここでいう「あなた」には勿論ファンも含まれているだろうけど、「宝塚」への気持ちも含まれているんだろうな。舞台に立つ姿を通して気持ちを届けられる人なんだと本気で思ったし、こうやって愛さんを追いかけることによって、宝塚の歴代スターが残された財産に触れることができるなんて、本望なんです。彼女が愛する宝塚を同じ時代に一緒に愛せるなんて、こんなに幸せなことはない。また、愛さんが歴代OGの皆さんのことを「上級生の皆さん」と呼称されていたことがかなり印象的。退団しても、在籍期間が被っていなくても、先輩・後輩の関係が続くのが宝塚なんだなと改めて思った。宝塚歌劇そのもの、そして歌劇団の歴史を作ってきた皆さんへの彼女自身の愛とリスペクトの気持ちに圧倒された。

6.「宝塚の男役」としての愛月ひかるさんへの恋

 ディナーショーの中ではっきりと「組替え」や「専科時代」は辛かったと言葉にされていたからこそ、順風満帆とは言い切れない15年間だったことは、ファン歴が浅い私でもわかる。酸いも甘いも経験された上で、それでも「宝塚が好き」と何度も強く言えることは本当に凄いこと。愛さん自身がそう発言され、品格を重んじられていることで、今までとこれからの宝塚の品格も守られていくのだと思う。
 完璧な男役といえども等身大の女性としての可愛らしさがとってもチャーミングで、清々しいほど裏表のないお人柄も「沼」そのものではあるけど、ここまで「舞台に立つ姿」から全てを受け取りたいというまっすぐな気持ちで追いかけたのは、実は初めて。一貫して「恋」でした。愛さんが徹底した男役でいてくださるからこそ、私も徹底して愛さんに「夢を売るフェアリー」への恋心を抱きたかった。勿論、素敵なお姉さんに対する憧れみたいなものも、スカステの番組等を視聴しながらむくむく湧いてくる今日この頃ではあるけれど。私にとって愛さんは、宝塚の舞台に立つ姿が全て。宝塚の枠からはみ出さず、どんな役でも宝塚の中で限界まで表現され、宝塚にしかない「男役」に完成はないと言い切り、それでも最後まで追求されるその姿にとことん惚れた。誰よりも現実を見ている人が、虚構の存在として舞台に立ってくれている期間は引き続き夢を見ながら、そしてもうじきその夢が終わる現実とも向き合いながら、しっかり東京公演もお供したいと思います。宝塚を愛し、宝塚に愛された愛月ひかるさんに、今まで以上に愛と敬意、そして感謝を表して。最後に、せっかく退団公演中に間に合わせるようにディナーショーの様子がスカステで放送されるので、ここまで読んでくださった皆様にぜひ『All for LOVE』の放送もご覧いただけたら、私が喜びます!


 宝塚を愛する皆さんとこういう形で繋がれて、私もとても幸せです。出演者(特に愛さんかな)のファンの方々を中心に構成されていた客席の一員になれて、劇場とはまた違った贅沢な空間で、完璧な男役が放つ魅力を浴びて、一生分の美味しいフルコースをいただいて、宝塚ファンとしてこの上ない思い出となりました。宝塚ホテルでの大千秋楽の日は、客電が点いてからも拍手が鳴り止まず、もう一度愛さんたちを呼んでしまうほどのあの会場の熱さが忘れられません。私は今とても良い距離感で、宝塚歌劇が、そしてタカラジェンヌが大好き。この気持ちを永遠に大切にできたらどんなに良いだろうか。「星組生として3作」と終わりを決めていた愛さんに続こうと、実は大劇場公演に通いながら考え始めて、ディナーショーが終わったあたりで決心に変わりました。私も最後まで楽しみます!

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