『ミケランジェロの暗号』映画レビュー

『ミケランジェロの暗号』を観ました。面白かったです色んな意味で。
ポスターはこんな感じ。

観た後だとこのポスターが既にちょっと面白いです。
そう感じてるのは私だけかもしれませんが。

以下ネタバレアリの感想

最初のシーン、真夜中に銃を持った幾名かが、上空を飛んでいた飛行機に向かって発砲、墜落します。

搭乗者は運転手含めて4人。スーツを着た青年と、隊服を着た人3名。生き残りは青年と隊服の2人。

青年は死にかけの隊服を飛行機から助けてこう言います。
「何でこいつを助けなくてはならないんだ」

その情報はドイツ軍に伝わっており
「飛行機が墜落。救助せよとのこと。その中には重要人物のユダヤ人が乗っています」
「ユダヤ人だと?」


この映画、1930年代のお話。そして主人公はユダヤ人。その家族もユダヤ人。まぁまたそういう話です。重っ苦しいヤツですよ。

物語の舞台はオーストリアで、主人公ヴィクトルのカフスマン一家は画廊を幾つか持っているかなり裕福な家庭です。ヴィクトルはドイツ人の使用人ルディとも仲良し。しかもヴィクトルのお父さんはドイツの署長にも顔が効くときました。アレ、思ってたよりも重苦しく無いのかも。

しかしそこはまだ序盤。ある美術家、モーリッツという男の絵を、カフスマン一家の画廊に飾ることになって何?お祝い?をしている時、たくさんのお客さんを掻き分けて1人のオバハンが何やら得意げな顔でヴィクトルにこう訊くわけです。

「若い才能も良いけれど、どうやらミケランジェロの絵画を持っているらしいわね」

とかなんとか。まぁこの時の顔がねぇ、殴りたくなります。
ですがヴィクトルは何を言っているのかという顔。するとお父さんが出てきて

「その事を知ってるのは私だけです。しかもその絵画はなんやかんやあってもう手元には無い」

と言うわけですね。もう無いんですってミケランジェロの絵画。

んでそのお祝い的なものが終わって、酒場でお酒を交わしながらルディがヴィクトルに訊くわけですよ。ホントに無いの?つって。

すると本当はあるんだよ、と
家の隠し部屋に保管しているんだよと自慢げに見せてくれました。ルディも「わーすっげぇ」みたいな

しかしこっから急変。
ヒトラーがどうも戦争したがってるご様子で、ミケランジェロの絵画が欲しいから寄越せって近々言ってくるらしい。

というのも、その絵画は元々ローマ法王の所有物。というか盗んでるんですね絵画。数百年前に。だからまだイタリアのモノってわけです。

んでイタリアと同盟を組みたいヒトラーはどうしても欲しいわけです。返して仲直りしようねというところでしょうか。

そんでヴィクトルは画廊に行ってみます。そしたらもうSS(ナチス親衛隊)が居るじゃないですか。しかも制服姿のルディも居るじゃないですか。やっべ。

当然おうちにもやってきました。隠し部屋のことも知ってました。ただここはお父さんが一枚上手。ヴィクトルにも知らせず別の場所に移しておきました。ただSSの偉そうな人は「明日来るから戻しとけよ」と。

そこで場面は移って美術家の部屋。何か描いてます。そしてお父さんもそこに登場。どうやらミケランジェロの贋作作成を依頼していたようです。本物含めて3枚あります。しかもかなり上手い。凄い。そんなに時間あったのかな?って思いました。

ヴィクトルは1人画廊の整理をしていました。そこへルディがやってきました。
実はあの後、絵が無かったぞって上官に怒られてるんです。だから絵はどこだってヴィクトルに訊きに来ました。
しかも何かSSに馴染んでる。

ヴィクトルは逃げる手配をしてくれたら教えると。
それをルディは上官に告げて了承します。

ところでヴィクトルには婚約者が居ます。ドイツ人のレナです。そしてカフスマン一家はレナに、この沢山の絵を家に置いて欲しいと。ユダヤ人の持ち物は全て没収されるから、ドイツ人であるレナに所有物として一時預かって欲しいと。
レナももちろん引き受けます。いやぁ賢い。

そして場面はおうちへ。ヴィクトルは絵を渡します。当然偽物のミケランジェロですが、ルディと上官は「おいおい触るなよ」みたいな感じです。まだバレてない。

そしてルディは約束通り、スイス行きの切符を渡します。一家はありがとうと言って一件落着かと思いましたが、ルディ以外のSSはカフスマン一家を取り押さえて収容所に。

なぜかと言うと、逃亡先のスイスからカフスマン一家が不当に所持品を横領したと訴えてくる可能性を考えて、という事です。卑劣ですね。

しかもお父さんは収容所に連れてかれたせいで死んでしまいます。

とりあえず一安心したルディはレナの元へ行きます。
色んな絵を見て色々言うんですが、どうも1番大きなお父さんの肖像画が気に食わないと画廊に移します。しかもレナはルディと婚約しちゃいます。あらまぁ。当然っちゃあ当然ですけど。

さてミケランジェロの絵画(偽)を持ってドイツはイタリアと交渉中。というかヒトラーが先に車から降りるかムッソリーニが先に車から降りるかで既に揉めています。
そこに鑑定士が現れました。本物かどうかを確かめに来ました。割と来るの早かったです。
拡大鏡で絵を眺めてこう一言。

「口論の最中申し訳ないが本物が見たい」

いやいや本物だよとドイツの偉い人。偽物だよと鑑定士。呆れるイタリア。帰るイタリア。焦る上官。
1週間のうちに本物を探し出せと怒られるルディ。

場面は変わって収容所。ヴィクトルはそこでお父さんの訃報を告げられます。他のものに希望を与えたと、安らぎの中にいると伝えられます。

そこへルディがやってきました。絵のありかを教えろと。ヴィクトルは父さんしか知らないと言います。そしてどうしても聞きたいならまずお母さんをスイスへ逃がせと。殺されるかもしれませんがヴィクトルは退きません。

そして上官はルディに、ヴィクトルをベルリンに連れていき尋問に合わせろと命じます。
そこで最初の場面、飛行機の墜落になるわけですね。
青年はヴィクトル、隊服はルディです。

ちなみに飛行機を落としたのは「パルチザン」と呼ばれる、当時ナチスドイツやファシズムなどに抵抗した非正規軍です。

怪我をしたルディを連れて、ヴィクトルは遠くに見えた小屋に行きます。

そこはどうやらパルチザンの拠点らしく、SSの隊服を着たルディはぶっ殺されます。そこでヴィクトルが、自分の服を与えると提案。捕虜のフリをしようと言いました。
ルディめちゃくちゃ元気になって隊服を大急ぎで脱ぎます。そしてヴィクトルに「隊服をどこかへ隠せ」と。ヴィクトルも大急ぎで裏の庭に隠しに行きます。
外からはもう足音が聞こえてきました。

ドアもドンドンしてとうとうぶち破られ、さぁどうなると思って出てきたのはSS。ナチス親衛隊です。
しかもヴィクトルはルディの隊服を着ています。

なり代わり完成です。ヴィクトルはルディのフリをすることに成功しました。しかもルディは何故か大尉なので下っぱへの命令が通ります。

ここから不思議とコメディ色が強まります。

なんと割と誰にもバレないんです。ルディがヴィクトル、ヴィクトルがルディ。ルディがユダヤ人。ヴィクトルが親衛隊。

上官は居ないので更に上の長官的な人が責任者なんですが、微塵も疑いません。

どちらも自分がルディだと言うので部下は戸惑うんですが、長官はオチンチンを見てルディを「間違いないユダヤ人だ」と判断したり。

ルディを椅子に座らせてるところを部下が見てしまい長官に報告するんですが「変わった尋問をすることもある、まあ良い見に行こう」と言って見に行ったら丁度よくヴィクトルがルディを殴っていて、何もおかしくはないと言ったり。

するとヴィクトルの元婚約者、現在ルディの婚約者であるレナの元へ面会の通達が。

まずいことになりましたねぇ。レナはドイツ人なのでここでヴィクトルの正体がバラされてもおかしくはありません。

さあ来ましたレナ。またまた尋問中の2人の間に連れてこられました。ヴィクトルも「あぁ…」みたいな顔。ルディは笑顔。

ですがレナはヴィクトルを裏切りませんでした。ルディに「大尉に感謝することね」と言ってヴィクトルに近づきました。愛ってすごい。

そしてとりあえず落ち着いたヴィクトルは長官へ報告。絵のありかが分かったと。長官も良くやったとヴィクトルを褒めてくれました。中々無能。

絵のありかというのはスイスの銀行。ヴィクトルとお母さんのサインがないと絵は受け取れないらしいです。

そしてそのお母さんの付き添いにレナが指名されます。監視人というところです。つまりここは味方と味方、ドイツは着いてこないので安心なわけですが、スイスに逃げようにも身柄を置く場所がありません。
そこであの美術家、モーリッツと連絡を取ろうと言うことで、基地の無線で助けを呼びます。

速攻で長官にバレます。なんとか言いくるめます。
頑張れよ!って言ってくれます。いやぁ…

そしてお母さんとレナは無事スイスに渡れました。

ヴィクトルもルディの監視人としてスイスへ飛ぼうとするのですが、無線で助け舟を呼んでいたことに気付かれ、正体にも気付かれます。ルディはあの上官とハグ。

長官も「私は大マヌケか?」と気付きます。

そして再び立場が逆転し絵のありかを問われるんですが、ヴィクトルは本当に知らないと。しかもあと3時間で見つけねばならない。上官めっちゃ笑ってる。
そこでルディは勘付き、カフスマン家のおうちに。

ヴィクトルも失望の最中、ふと顔を上げてルディに訊くわけです。

「お父さんの絵はどうした?」

と。ルディは睨まれてるようで気に食わないので外したと言いました。
そこで閃きが走ります。

カフスマン一家が収容所に連れて行かれたあの日、お父さんは使用人であるルディの荷物を旅行バッグに詰めてくれてました。

その中にあるのではないかと。気づくわけです。

ありましたミケランジェロの絵画。あぁこれはマズイ。
上官とルディは大喜び。

そしてルディはヴィクトルになんやかんや言いくるめられて生かすんですが、その場で画廊と絵の所有物を譲るよう証明書を書けと言うわけです。



そして時は流れ戦後。

ヴィクトルはレナとお母さんと無事再会。ルディもちゃっかり画廊を所持して、オークションを始めるようです。
モチロンそれは「ミケランジェロの絵画」図々しいですね。

ヴィクトルも見に来ます。ふと2人は目が合いルディは償いたいだのどーのと。しかしヴィクトルは「お父さんの絵を形見として貰いたい」と告げます。ルディはまぁその絵が嫌いなので進呈し、ヴィクトル「じゃあな」とその場を後にします。

オークションはまだかと画廊は賑わう中1人の老人がやってきました。あの鑑定士です。またも拡大鏡で眺めて会場にいる人たちに向かってこう言います。

「この場でこんなことは言いたくないのだが、これは贋作である可能性が非常に高い」

なぁにぃ?とその鑑定士を見るルディ。沢山の富豪に詰め寄られるルディ。窓の外を見るルディ。

ドヤ顔のヴィクトル。

本物はお父さんの肖像画の中にありました。

本物を含めミケランジェロの絵画は3枚あったんでね。
観てた人だけが勘づいている。

評価

おもしろかったです。神映画とまでは行かないですが、お菓子食べながら見れる映画。多少ハラハラするシーンはあるものの、私としては楽しめました。

戦争のことを扱ってるこういうタイプの映画も珍しいと思います。一見の価値は分かりません。

さいごに

まずこの映画を見ようと思ったのはミステリーものっぽかったからですね。邦題に暗号なんてついてますし。

蓋を開けてみれば暗号とか1つも有りませんでした。どちらかと言えば「お父さんの暗号」ですね。

ユダヤ人とドイツ人のお話ということが最初にわかって、「シンドラーのリスト」とか「黄金のアデーレ」みたいな重苦しいモノを連想しました。

もっとも「黄金のアデーレ」の重苦しいところはメインではないんですけど。

ただこの映画はそう言ったものとは明らかに違いましたね。ナチスドイツ側、SSのみんながヤケに無能っぽく描かれてる事からも、製作者側の意図が何となく汲み取れます。実際彼らヒトラーを妄信しているので無能と言っても過言ではないというかなんというか。

そして全体通してルディの小物感が凄いんですよね。
反面カフスマン家みんな賢い。レナも凄い。

1930〜40年代のユダヤ人を描いた作品でこうもコミカルに進む映画も他には無いんじゃないでしょうか。起きることは起きてるのでアレなんですが、気負わずに見れるという点では良いですね。


それと映画のレビューを書くのもこれが初なんですが、いやぁ大変ですね。ホント大変。

もしこの記事を見てくださった方、読んでくださった方、ありがとうございます。感謝いたします。

それではまた



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