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【まさに鎧を着た狼!?】防御と持久のハイブリットベイ・『シルバーウルフ』!!
どうも、趣味でベイブレーダーをやってる者、グレイッシュです。
皆さんはもうシルバーウルフ、使ってみたでしょうか?
使ってみて、弱いと思いましたか? 強いと思いましたか? どんなカスタムが良いと思いましたか?
きっと、使ってみた感想が人によって『かなり意見の分かれるブレード』だと思います。
発売から1週間後のG3大会でシルバーウルフ入りのデッキを使用し、準優勝までいった結果、色々とシルバーウルフの可能性が見えてきました。
この記事では、私がシルバーウルフについて研究・考察した内容をお伝えしたいと思います。(単純に『このカスタムが強い!』という内容ではなく、シルバーウルフの利点やカスタムの作用を考察することで、シルバーウルフの可能性を探ろう!という結構マニアックな内容です――)
この記事の内容が皆さんのご参考となれば幸いです。
【研究内容】
まず、私がシルバーウルフを初めて見て思ったのは――
(見た感じウィザードロッドより小さくて重そうだなぁ)
(ロッドよりスタミナは低そうだけど、ロッドより防御は高いって感じかな?)という感想でした。
で、実際使ってみた結果――
(なんかカスタム次第で化けそうな面白いベイだなぁ)
という感想から、徹底的にこのシルバーウルフを研究してみようと思ったのがきっかけでした。
そこで、いくつかのビットを試してデータを取ってみることにしたのです。
※なるべく精度の高い検証結果を得るため、電動ランチャーでパワーを固定し、ブレードとラチェットは同個体を使用しました。
『B(ボール)ビットの検証』
最初はウィザードロッドとの比較も兼ね、Bビットから検証を始めました。
Bビットを100回試した結果は下記のとおりです。
【平均持続時間】1:43
【持続時間】1:32~1:54
ウィザードロッドの場合、同条件で平均しても約2分は持続するため、この時点でロッドと単純なスタミナ勝負をするのは分が悪いと感じました。
『FB(フリーボール)ビットの検証』
次に、新ビットの性能テストも兼ねてFBビットを検証しました。
FBビットを100回試した結果は下記のとおりです。
【平均持続時間】1:49
【持続時間】1:31~2:03
単純な持続時間を見ると、Bビットよりも持続するという結果でした。
それでもロッドより平均して短いため、Bビットと同様に厳しい状況です。
『GN(ギヤニードル)ビットの検証』
新たな可能性を求め、3番目に検証したのが公式のスキルアップガイドにも載っているGNビットです。
GNビットを100回試した結果は下記のとおりです。
【平均持続時間】1:25
【持続時間】1:08~1:41
このGNビットを検証してみて思ったのは――
(あれ? ディフェンスタイプのわりに回るの長くね?)です。
そこで、他のディフェンスタイプビットも試すことにしました。
『ディフェンスタイプビットの検証』
GNビットの検証結果をきっかけに、ディフェンスタイプビット(N・HN・S・D)を検証しました。(え? MNがない? すみません・・・持ってないので来月発売のカスタマイズセットUで入手予定です・・・)
各ビットを25回ずつ、合計100回試しました。
どのビットも似たような数値だったので、平均時間はまとめています。
【平均持続時間】1:37
【持続時間】1:30~1:54
いかがでしょう。なんとディフェンスタイプのビットでありながら、Bビットに少し劣る程度の結果が得られました。
しかし、この検証はあくまでシルバーウルフを単独で回した場合の結果ですので、次は実戦でシルバーウルフを使用してみることにしました。
『G3大会にて実戦投入』
まずは10月19日(土)のG3大会、1on1での採用はさすがに厳しいとは思いながらも、シルバーウルフ5-60Dで出場しました。(Dビットを選んだのは、事前の練習で一番勝率が高かったのと、ディフェンスタイプビットの中で一番踏ん張りが効き、カスタムの影響が顕著に見えると思ったからです)
1試合目の対戦相手はウィザードロッドB、結果は4-0での勝利。
2試合目も対戦相手がウィザードロッドBでしたが、4-1での敗北でした。(やっぱり1on1は相棒のホエール君で出たかったなんて思っていません)
2日目、翌日の10月20日(日)にもG3大会があったので出場しました。
この日は3on3でシルバーウルフを試したかったので、1on1は相棒のホエール君を使用し、無事に3on3の準決勝まで進出しました。
そうして迎えた準決勝、シルバーウルフはファーストバトルに出しました。
結果はホエールウェーブを相手にオーバーフィニッシュを決められ2ポイントを取られてしまいました。(このときの敗因は明白で、シルバーウルフがすぐに中央へ陣取るようにシュートしてしまい、その結果エクストリームダッシュの餌食となりました)
その後はセカンドバトルで相手が1ポイント、サードバトルで私が1ポイント、フォースバトルで私が2ポイントを取り、3-3の状態でファイナルバトルを迎えます。
ファイナルバトルは私がシルバーウルフ、相手はシャークエッジでした。
ここではシルバーウルフが相手の攻撃を耐えきり、スピンフィニッシュ。
ギリギリの戦いでしたが決勝戦進出です。
決勝でもシルバーウルフをファーストバトルに選出、すると相手もシルバーウルフを選出しており、シルバーウルフ5-60D対シルバーウルフ9-60HNという熱い展開になりました。
結果はスピンフィニッシュで相手に1ポイントでした。
その後はセカンドバトルで私が2ポイント、サードバトルで相手が1ポイント、フォースで相手が1ポイントを取り、2-3の状態で再度シルバーウルフの出番を迎えます。
この追い詰められた状態で出てくるのは? そう、あのベイです――
宿敵ウィザードロッド! 運命の対決です。
勝負は2度目の接触で起きました。
1度目の接触でお互いがエクストリームラインを走り、2度目の接触でシルバーウルフのカウンターが炸裂、ウィザードロッドをオーバーゾーンに弾き飛ばします。
しかし、ウィザードロッドはオーバーゾーンの奥に跳ね返って生還します。ですが、シルバーウルフもまだ終わりではありません。
オーバーゾーンから戻ってきたウィザードロッドと3度目の接触、再びシルバーウルフのカウンターが炸裂し、今度はオーバーゾーンの手前にウィザードロッドを追いやります。
そのままオーバーゾーンに落ちると思いきや、すんでところでウィザードロッドが生還、最後はあえなくスピンフィニッシュ、2-4で相手の優勝です。
(悔しかったけど白熱した良いバトルでした)
こうして大会の結果を振り返ると、残念ながら大活躍とはいきませんでしたが、ウィザードロッドB相手にもスピンフィニッシュでポイントが取れたり、土壇場で連続カウンターが決まりそうだったり、かと思えば全然ポイントが取れなかったりと、まだまだ改善の余地はあると思える内容でした。
では今回の勝敗は要因がどこにあったのか――
ウィザードロッド戦にフォーカスして要因を考察していきます。
【考察内容】
『シルバーウルフとウィザードロッドとの重心による違い』
それではウィザードロッド戦の勝敗について要因を探るため、まずはシルバーウルフとウィザードロッドを比べてみましょう。
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公式の製品ページでは両方とも『ブレードのメタルを外周に多く配分し』と記載されていますが、見比べてみると分かるように、シルバーウルフの方がウィザードロッドよりもメタル部分が内重心であることが分かります。
この重心の違いにより何が変わるのか、簡単にまとめてみました。
<内重心の場合>
・安定性:重心が回転軸に近いため、回転中の安定性が増し、特に水平方向からの外力に対しては強くなります。
これは重心が近い分、回転軸がブレにくくなるからです。
回転速度が十分に高ければ、遠心力で安定性が保たれます。
ただし、回転速度が遅くなると、特に垂直方向の力で軸が傾きやすくなりますが、これは回転速度が低下するほど発生しやすくなります。
・回転速度:重心が回転軸に近い分、回転させるのに必要な力が小さくなり、回転が高速になる可能性があります。
回転速度は高速なほど『ジャイロ効果』が働き、外力に対して強くなります。
しかし、低速になるほど『ジャイロ効果』が弱まり、外力によって簡単にバランスを崩すようになります。
『ジャイロ効果とは』
回転している物体をある方向へ傾けようと力を加えると、その方向とは違う向きへ傾こうとする、という現象のこと。
一般的には、物体が自転運動をすると(自転が高速なほど)姿勢を乱されにくくなる現象を指す。
<外重心の場合>
・安定性: 外周部に重りが集中することで、回転が安定しやすくなります。遠心力も強く働き、特に一定の回転速度を保つ場合に、長時間安定して回りやすくなります。
外力に対しても強いのですが、回転軸が一度崩れるとバランスを取り戻しにくく、崩れやすいという点が挙げられます。
・回転速度:重心が回転軸から離れているため、回転させるのに必要な力が大きくなり、回転が低速になる可能性があります。
<重心の違いから分かること>
上記の違いから、シルバーウルフはウィザードロッドと比べると回転力が高くなりやすく、時間が経過するほど回転力や遠心力が低くなりやすいことが分かります。
一方、ウィザードロッドはシルバーウルフに比べてピーク時の回転力は劣りますが、最後まで遠心力は落ちにくいことが分かります。
この違いはシルバーウルフのカスタム内容に限らず、実際に使用している方であれば思い当たる節があるのではないでしょうか?
では次に、ビットがどう作用したのかも考察してみましょう。
『ビットがもたらした作用』
まずはウィザードロッドによく採用されるBビットと、今回私がシルバーウルフに採用したDビットの特徴をまとめてみます。
<Bビットの特徴>
・安定性:軸先の接地面が小さいため、回転時の摩擦が少なく、スムーズな回転が期待できます。
ただし、接地面が小さい分、外力に対して影響を受けやすくなります。
・動き:丸い軸先は滑らかな動きをするため、回転中の振動が少なく、摩擦の変動も少ないため、安定した動きをします。
<Dビットの特徴>
・安定性:突起が複数あることで接地面が増え、回転時の安定性は向上しますが、摩擦によって持続力が落ちます。
突起が均等に配置されている場合、よりバランスが取りやすくなりますが、複雑な形状によるビットの個体差や、Dビット自体が摩耗しやすいことから、結果としてバランスが悪くなりやすいと推定されます。
・動き:突起が地面に引っかかることで、回転中に微妙な振動や揺れが発生することがあります。
これにより動きが複雑になり、予測しにくい動きをすることがあります。
また、複数の突起が摩擦力を強め、踏ん張りが効くようになります。
さて、ビットの特徴がシルバーウルフにどのように作用したのか、大会のウィザードロッド戦を基に考察します。
<大会初日1戦目の1on1>
この対戦ではエクストリームフィニッシュとスピンフィニッシュで勝っていますが、シルバーウルフの内重心とDビットの特徴である複数の突起が地面に食い込むことで、ウィザードロッドを支点として利用し、外力を与えやすくなるという作用が働いたと想定します。
<大会初日2戦目の1on1>
この対戦ではスピンフィニッシュを1回は取っていますが、相手にスピンフィニッシュを4回も取られて敗北しています。
敗北の要因としては、シュート後お互いぶつからずに旋回しており、Dビットの高い摩擦が自身のスタミナを削り、シルバーウルフの回転力が高いうちにウィザードロッドへ外力を与えられなかったことが想定されます。
(相手のシュートパワーはそこまで高いように感じなかったため、ウィザードロッドを支点として利用できるほどの力が旋回中になくなってしまったことも要因の1つでしょう)
スピンフィニッシュを1回は取れていることから、シルバーウルフの利点やDビットの特徴を活かして早めに相手の体勢を崩せるようにシュート位置を調節していれば、結果は違ったかもしれません。
<大会2日目の決勝戦、ファイナルバトル>
この対戦では2度のカウンターで相手を弾き飛ばすも、オーバーゾーンに決められないという結果でした。
対戦相手のシュートパワーは見るからに強力(良い筋肉してました)だったので、シルバーウルフの内重心とDビットの特徴を活かし、相手の力を利用する絶好の機会だったのですが、シルバーウルフ自体の回転力を上げるためにシュートパワーを意識してしまいしました。
その結果シュート位置が悪かったのか、1回目の接触でお互いがエクストリームラインを走るという状況をつくりだしてしまいました。
お互いがエクストリームラインを走ったことで、利用できるはずの相手の力と、自身の回転力が少しそがれた状態で2度目の接触をし、カウンターが決めきれなかったのだと思います。
考察してみると、勝利した場面ではシルバーウルフの内重心とDビットの特徴を活かして回転力が高い状況で相手を崩せたのに対し、敗北した場面ではいずれも相手との接触が遅く、Dビットの摩擦力で逆に持久力がそがれてしまうという、シルバーウルフの利点やDビットの利点を活かせなかったことが要因だったと分かりました。
『まとめ:シルバーウルフの可能性』
今回の考察により、シルバーウルフは元々あるフリー回転ギミックで相手の力を受け流すだけではなく、相手の力を利用して外力を与えやすいということが分かりました。(さながら相手の攻撃をいなし、相手の力を利用して戦う合気道のように!!)
また、ウィザードロッドを相手にする場合は、前半の回転力が高いうちにどれだけ相手を崩せるかが重要だということも分かりました。
今回はDビットで考察しましたが、他のディフェンスタイプビットでも応用ができ、例えばNビットの場合はDビットと比べて摩擦が少なく持久力が上がり、先端が尖っていることにより地面に食い込むことで相手を支点として利用し、外力を与えやすくなるという作用が働くと想定できます。
(他にもバランスタイプのビットですが、接地面の大きいHビットでは、回転力の高い前半は相手を崩し、回転力が落ちて姿勢が崩れやすい後半をHビットの姿勢保持で耐えるといった戦略も考えれるかもしれません)
ただし、Dビットとは形状が異なることから、それぞれのビットで外力に対して強い方向と弱い方向も異なり、ビットや戦略に合わせてシュート角度やシュート位置、ラチェットの選択などを考える必要があります。
このように、シルバーウルフはカスタムの内容次第でまだまだ戦略の幅が広がりそうなので、今後新しく出てくるビットによっては、その影響を一番受けるかもしれません。
【あとがき】
以上が私の考察でしたが、いかがでしょうか。
この考察内容からも分かるとおり、シルバーウルフはウィザードロッドと比べると、気軽に使って強いとはいえないかもしれません。
ですが、この考察を読んで、少しでもシルバーウルフを使いこなすヒントになれば嬉しく思います。
こんな感じで、また気に入ったもの(すでには来月発売される緑のものが気になっています)があれば、考察記事を書いてみたいと思いますので、よろしければまたご愛読いただければ幸いです。