5/5 NOW DRAMATiC 1stワンマンLIVE「Now and Forever」レポ
こんにちは!灰色です。
GWど真ん中の5/5、下北沢シャングリラ。
本日は激推しグループの一つであるNOW DRAMATiC(ナウドラ)初のワンマンLIVEに行ってまいりました!
というわけで、またまたレポ記事でございます。
なお、ナウドラは新曲二つを除いた全曲をアルバムにて配信しておりますので、記事のお供に是非以下からお聴きください!
とにかく捨て曲・飛ばし曲が一切ない名盤中の名盤で、並のグループが5年かけて出すベスト盤を結成4ヶ月でリリースしたみたいなとんでもないアルバムがこちら。あまりにも好きすぎて配信開始以降ずっと聴いているため、せっかくなので今回は全曲レビューを兼ねてやっていきます。超絶長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。
あ、最初に一言。
クソ熱すぎてライブハウスで初めて現金で水買ったわ!!!
100円とは言わんがせめてドリチケよりは安くしてくれたら助かるなーーー!!!
セットリスト
まずは本公演のセトリをどうぞ。
その数、実に20曲。
08.mizu-nomimasuはPSN共通の世界一カッコいい給水ソングなので除外するとしても、凄まじい曲数です。先日のシーオンワンマンが21曲でしたが、あちらは活動7年目に入ったところで、対するナウドラは結成わずか半年少々。単純比較はできないとはいえ、いかに楽曲が充実しているかは一目瞭然です。必然的にそれは、彼女たちが全曲をものにするために途方もない密度の鍛錬を積んでいることも意味しています。
何より、その全力を超えた捨て身とも言えるLIVEスタイルでこの曲数をこなすのは、ちょっと尋常なことではありません。凄まじいまでの体力と精神力です。
曲数に言及したので、本編に行く前に一つだけ。ナウドラはもともと様々なグループに所属していたメンバーが集まって結成されたということはこの日のMCでも語られましたが、私はいずれのグループについても一切の知見がありません。
楽曲の中には前身となるSHOCKiNG EGO時代から歌われているものもあるらしいのですが、生憎そうした背景知識がないため、あくまでここでは全曲をナウドラの楽曲として考察・記述することを御了承ください。
また毎回のことではありますが、こうした新参者がレポートを書くことに不快感を覚える方は、ここでウィンドウを閉じていただければと思います。
前置きが長くなりまして失礼しました。それではどうぞ!
前半戦
入場曲「Episode-0」で気合たっぷりにメンバー6人が登場すると、開幕はまさかの「ハジマリノウタ」!私がナウドラにハマるきっかけになった単独公演で初披露された曲で、悩みどころながら最も好きな曲でもあります。記念すべきワンマンの始まりに相応しいチョイスですね。
疾走感のあるロックサウンドもさることながら、ハジマリノウタでは私の考えるナウドラ楽曲最大の特色にして魅力が存分に味わえます。
その魅力とは、こだわりさえ感じるほどの完全均等な歌パート割りです。
アイドルグループで最も多いのは、サビを複数人(または全員)歌唱にするパターンでしょうか。逆にそれ以外の場合では、歌唱力のあるメンバーを中心として、見せ場であるサビや落ちサビを振り分けていくことになります。
しかし、ナウドラの楽曲は違います。ほとんど全ての曲において、徹底してメンバー6人が均等にパートを割り振られているのです。
最も分かりやすいケースであれば、1番サビを前後半に分けてメンバーAとBが歌い、2番サビを同様にCとDが、そしてラストサビをEとFが歌う、といった形になります。
何よりも我々ファンにとってこのシステムのメリットは絶大で、全員の異なる声質と歌唱法を大いに堪能できるのは勿論のこと、LIVE中の全曲で必ず推しに見せ場があることになります。今回はワンマンですが、曲数が限られている対バンでは特にこの恩恵を強く感じられます。しかもその歌詞が各メンバーにピッタリなのですから、ファンはたまりません。
言うまでもなく、この形式を可能にしているのは全員のハイレベルな歌唱力です。メンバー6人の誰もが見せ場で主役を張れる実力がなければ、明らかにトーンダウンする箇所が出てきてしまいますが、どこを見てもそれがありません。
後々触れていきますが、全員が違う方向に極めて個性的でありながら、アベレージでこれほど高いスペックを発揮しているグループはそうそういないはずです。特に声量は総じて高水準のため、誰がサビを歌ってもステージとフロアは超ハイテンションを維持します。
総論的な話に脱線してしまいましたが、ハジマリノウタ自体の話をもう少しだけ。この曲ではまず、私のW推しの一人であるキャプテン・美里に注目したいと思います。
スーパー戦隊さながらにメンバーカラーの赤が似合う、個性派揃いのナウドラをまとめるキャプテン。ちいかわ原作勢であることを知ってから、急速に彼女のツイートのアイドルらしからぬ面白さにハマっていったのですが、それ以前にも単独公演で見た際、MCで自然とリーダーシップを発揮する姿は印象に残っていました。
そんなキュートさとカッコよさ、さらにユーモアを併せ持つキャプテンは、いくつもの曲でリーダーらしく最後をビシッと締めてくれます。そして個人的にそれが最もハマっていると感じるのが、このハジマリノウタです。
落ちサビ後半からのラストサビはなんと6人全員が次々と交代していくという前代未聞の展開を見せるのですが、その最後を飾ってくれるお方こそがこのキャプテン!
愛嬌たっぷりのビジュアルからは想像もつかないほどの迫力で「これが始まりなんだ」と歌う彼女を見れば、誰もがリーダーはこの人しかいないと思うに違いありません。ワンマンの幕を切って落とすのにこれ以上ない歌詞、これ以上ない人選、これ以上ない盛り上がりでした。
すみません、いきなり話が長くなりすぎました。続いては「シンデレラストーリー」。
ナウドラの曲はいくつかのパターンに分類できます。ハジマリノウタのように熱くヒロイックな曲が代表的なのですが、このシンデレラストーリーはイントロや間奏をはじめとして、サウンドもダンスもわちゃわちゃと楽しいタイプとなっています。
しかし単に大騒ぎの曲というだけでなく、その歌詞にはナウドラ全体に通じるテーマをいくつか見て取れます。そのうちの一つは、たとえば「過去」であり、「成り上がり」でしょう。この一部については、後々また触れていくことになりそうです。
3曲目は「被害妄想ルーザー」。こちらはシンデレラストーリーよりもさらにファニーに振った曲で、歌詞も「失敗なんて恐れないで いっぱい挑戦してみなって ありきたりだねso bad」「一生分の運使って 一発逆転狙わないで ハイリスクノーリターン」「言い訳は進歩の敵だけどやめらんない」などなど、わがまま全開なテイストです。
何より、LIVEではその振り付けが最高に楽しい!サビ前の「豪快にへこんでしまうよ 情緒が乱れてんだ」では、歌っていない5人がマイクを持ったメンバーの髪をわしゃわしゃと乱したあとに振り払われる動き。サビは全員でステージを左右に移動して、フロアと一緒に「alright」なら親指を立てる、「so bad」なら下に向ける……などなど、ナウドラのイタズラっぽいかわいさを満喫できる仕掛けが満載です。
1〜3曲目だけでここまでの振り幅を見せてくるのが、ナウドラの強さですね。
4曲目はまた一気にテンションがヒートアップ!アルバムの開幕を告げる曲であり、MVもある代表作「現在 過去 未来」。疾走感のみなぎる超高速のピアノワークに、否応なく心が高揚していきます。
この曲ではやはり、この人を取り上げないわけにはいきません。W推しのもう一人、キング・ユリアです。
少女漫画の登場人物としか思えないほど中性的で凛々しいユリアは、私がナウドラにハマるきっかけのメンバーであり、過去には彼女の生誕祭にFinallyが出演したりといった縁も。ちなみにその時の記事はこちらです。
中でも、同じメンバーカラー青のパワーボーカル・Megとは飲み屋をはしごするほど親交が深いようなのですが、しかし彼女の歌い方はMegともまた違います。
ひとことで言えば、「限界突破」。
漫画などではよく、人間には自分の身体を守るために力を制御するリミッターが備わっていると言われますが、真実はどうあれ仮にそうだとすれば、ユリアはそのリミッターが外れているに違いありません。
それほどまでに、彼女のパワーは規格外です。上の話ほど極端ではなくても、常人であれば喉のダメージを気にしてしまい、あの歌い方は絶対にできません。
ライブハウスの天井を破壊して空まで突き抜ける電撃のような、比類なきハイトーン。もはや声量がどうとかいう次元ではないその威力は、全員が全力疾走するナウドラにあってもなお別格です。生には及ばないものの、ユリアの実力のほどはMVや音源などでも垣間見られますので、一度は聴いてみることを強くオススメします。
また、この曲ではもう一人、ラスサビの締めを担当するリナ・マイフレンド(リンリン)にも注目です。キュートで優しげなビジュアルと鈴の音のように透き通った声を併せ持つ彼女は、いわば「フレンドリーできれいなお姉さん」のイメージをそのまま実体化したといってもいいでしょう。
ナウドラはアイドルグループとしては異色なほど、いわゆるイケボ系の歌声が多いのですが、その中でリンリンは声の瑞々しさを保ったままに熱唱するという離れ業を発揮し、グループ全体のハーモニーをまとめ上げてくれています。
より大きな視点で見れば、ビジュアルと歌の両面において幅広い層に訴求し、アイドルファンとロックグループ・ナウドラをつなぐのもまた、彼女が人知れず果たしている役割なのかもしれません。
続いてもパワーボーカル・ユリアが炸裂する「悲劇のエゴイスト」。ナウドラの曲でも最もハードな曲調で、先述の単独公演で初めて聴いたときには衝撃を受けました。2番の後の間奏がめちゃくちゃイカしてます。先の被害妄想ルーザーと同じグループが歌っているとは到底思えません。
こうした幅広さは対バンでの戦い方に直結もしており、選曲によってグループの印象がガラリと変わるさまはまるでプリズムのようです。
そんなことを考えていたからか、ステージはまた急展開!「大逆転」がかかります。だだだ大逆転♪と弾むテンポとダンスが楽しく、無邪気でちょっと幼いような可愛さがあるこの曲。エゴイストからの落差がものすごいです。
「逆転」「成り上がり」はナウドラを形作るテーマの一つですが、この曲はそんな考察よりも一緒に頭を空っぽにして踊るのが合っていますね。
こうしたテイストが一番合うのは、やはりメンバーカラー・ピンクのカポネでしょう。
ユリアや後述するタッキー&綾華がナウドラの中性的なカッコよさを象徴するならば、指ハートを飛ばしまくるカポネは声もビジュアルも王道美少女的なキュートさの塊!衣装とあいまって妖精にも見えてくる彼女の存在が、アイドルグループとしての死角を完全に無くしています。
PSNの長尺LIVEではおなじみ、スタイリッシュ水飲みことmizu-nomimasuでほんの一瞬の休憩を挟んだあとに来たのは「無常スパイラル」。エゴイストと並ぶナウドラロックの極北で、アルバムでは2曲連続してハイパー高カロリーゾーンを作っています。
四字熟語を駆使したエゴイストの詩的なリリックと比べると、より等身大の感情を剥き出しにしているのが印象的。あがいて、もがいて、それでも「こんなとこで終われない」と立ち上がる。これこそがナウドラです。
何よりもサビの終わりでの超絶ロングトーンが3回も繰り返されるのがスパイラル最大の魅力で、私も単独で聴いたときには度肝を抜かれました。このレベルの伸び披露できるのが複数人いるグループは異常すぎます。
しかし、今回はあえて別のポイントにも着目してみましょう。
それは、タッキー&綾華(タッキー)の歌声です。
ハスキーボイスをアピールするアイドルはしばしばいますが、彼女ほど特徴的かつ魅力的な声質の持ち主には出会ったことがありません。いわゆるキャピキャピ系とは全く異なりますが、タッキーの声はそれ自体が表現力を帯びており、聴くものの情感を強く刺激します。
そんな彼女の個性が最も活かされるのは、心からの葛藤や苦悩、渇望を叫ぶときです。無情スパイラルであれば、短いですが「いつまでこの場所に立てるのかわからない」というパートですね。
表情使いも重なり、ダイレクトに胸をつかまれるようなインパクトを持つパフォーマンスは、まず忘れることができません。誰にも真似できない無二の歌声が、ナウドラのステージに格段の分厚さを加えています。
ここからはまたギアが切り替わり、一気にしっとりと聴かせる曲のゾーンへ。まずは「アステリズム」です。
熱血系の曲があまりにも強すぎるのでついそちらに目が行きがちですが、彼女らの地力の高さをもってすれば切ないミドルテンポの曲もお手のもの。これらの系統は是非、LIVEでそのダンスや表情による表現を含めて観ていただきたいと思います。
「ねえ これは奇跡でしょう?」という言葉の重みがあるからこそ、後に続く「サヨナラなんて嫌だ」がどうしようもなく胸に刺さります。
こうしてアステリズムの物語が別れを受け入れられないままに終わると、アルバムと同じく次は「グッバイフレンド」。ストーリー性を強く感じる流れです。
君がいなくなって一人で不安だ、という気持ちは比較的よく歌われている気がしますが、この曲はその真逆です。
わがままに振り回されてばかりで、自分と離れたらやっていけるか心配で仕方ない。
「君」のそんなキャラクターは、この後に歌われるとある曲とも共通しているようにも思われます。
いつも困らされてばかりいたはずなのに、いざ最後に話そうとしたら楽しい思い出ばかりが浮かんできて、涙が言葉を邪魔する。
そんな大好きな相手との別れを、「僕」はそれでも「君が決めたことならしょうがないか」と、最後には受け入れます。
LIVEでは、ラストサビでのキャプテンとカポネの(違っていたらごめんなさい!)涙ぐんでいるような歌声が特に印象的でした。
アステリズムとグッバイフレンドの2曲で綴られた、ナウドラならではの別れの言葉。この日のワンマンとは直接関係のない話ではありますが、アイドル業界は形を問わず出会いと別れのサイクルがとても短い世界でもあります。この日立ち会ったファン=ドラマチストの中にも、もしかしたら自身の思い出と歌詞を重ね合わせた人がいたかもしれません。
そして、エモーショナルな楽曲のメドレーとなったこの流れを締めたのが、この後に奏でられた「Destiny」です。
穏やかなAメロからそれ以降の迫力ある展開への、ダイナミックな変化が特徴的なこの曲。加えて歌詞も、Aメロでは「悔しくって眠れない夜は どうしても考えてしまう」「嫌になって逃げ出したことが 今となっては良かったと思える」といったありのままの気持ちを歌うところから入り、サビでは「革命前夜」「G線上のアリア」など、詩的でビビッドなワードチョイスへと変わっていきます。
そして以前から曲中で……というか、アルバム収録曲の中でもトップクラスに好きだったパートが、ここの落ちサビでのナナティック(なーたん)の絶唱!
ストリート系・ダメージ系の衣装が抜群に似合う、クール&スタイリッシュなギャルといった雰囲気のなーたん。しかし、LIVE音源かと思えるほどに感情を剥き出しにした、鬼気迫る彼女の慟哭の熱量は、他のアイドルの音源では到底考えられません。
実を言うとこのレポートが全曲紹介の様相を呈しているのも、Destinyのなーたんパートを語りたかったという理由がだいぶ大きかったりします。
音源でさえ凄い迫力なのですから、この日のLIVEでもとても楽しみにしていたのですが、結果はもちろん期待以上!
歌詞的には、あるいはしっとりと歌い上げる方法もあるかもしれませんが、サビへのつなぎなど考えずに全てを投げ打つようななーたんの様子、そこに「あらゆる感情が揺さぶられる」という歌詞が完璧にリンクするのを生で見ると、やはりこの歌い方しか、なーたんしか考えられないという気分にさせられました。ワンマンに来て本当によかった……。
さて、感傷刺激しまくりの時間帯もここでひと段落。ここでMC……とともに、謎の茶番企画・「コール&レスポンス王決定戦」がスタート!
要するに誰が一番観客を沸かせられるかという対決だったのですが、簡単に振り返ると……
カポネ・なーたん: ガチ恋釣り上げ
キャプテン・タッキー: 正統派
リンリン: 詰め込みすぎて自爆
という感じの大変とっ散らかった個性豊かな結果に。進行&ツッコミのキャプテン、本当にお疲れ様でした。
そして、ナウドラの煽り担当といえば勿論この人。またまた我らがキング・ユリアです!
普段からドスの利いた声でワルっぽく煽る姿が爆イケなユリア様。今回もその貫禄を存分に見せて……
ユリア「夢じゃない〜あれもこれも〜♪その手でドアを開けましょう〜♪祝福が欲しいのなら〜♪悲しみを知り一人で泣きましょう〜♪ そして〜かーがやく〜?(ここでマイクを向ける)」
フロアとメンバー「Ultra soul!ハイッ!!」
いや、それは反則じゃない?
最終結果はカポネvsユリアの決選投票を経てユリアが優勝。感想を聞かれ「いつも通り」と煽り担当の貫禄を見せるようにドヤっていらっしゃいましたが、全然いつも通りじゃないだろ!メンバーも言ってたようにB'zの力だろ!
このように、大変ゆるく楽しいインターバルになりましたとさ。ナウドラちゃんは本当にみんなかわいいですね。
後半戦
しかし、この茶番イベントも実は次曲への伏線(?)でした!会場があったまったところで、満を持して予告していた新曲の初披露へ。
その名も「純正マーヴェリック」!ちょっと今は手元で聴けないので記憶を辿るしかないのですが、ひとつ前の新曲「DAYDREAM」よりもさらにグッと勇ましさに寄せた、とてもカッコいいロックナンバーでした。
若く青い衝動に突き動かされるままに歌っているようなステージングで、「ジタバタあがいていたいよ」「もっともっと抗っていたいよ」といったリリックの飾らなさが印象的でした。これからたくさんLIVEで観たいですね。
ここで既に14曲目となりましたが、まだまだ終わりません。お次も私の大好きな「ドンマイ クレイジーガール」!大逆転やルーザーのように明るく踊れるテンポとクラップに乗せて、アイドル讃歌とでもいうべき歌詞が愛らしくも一癖あるキャラクターを描き出します。
破天荒ながらも輝きを増していく「クレイジーガール」を歌ったこの曲ですが、「君は会うたびにぐっと 綺麗に 綺麗になってく」「規格外の存在だね 傍若無人なスタイル」といったリリックからは、必然的にまずナウドラのメンバーを思い浮かべてしまいます。
この日に金髪にしてサイドを編み込んだユリアも、先日の舞台でスマートな着こなしを見せてくれたキャプテンも、まさに「異彩を放った大和撫子」でしたね。
しかし、こうして謳われている無邪気な「君」ですが、実は別の曲にもこれに近しい人物像を見出すことができます。
それは、「グッバイフレンド」で去っていった「君」です。その類似点は、たとえばこれらのパートに見て取れます。
もちろん、この2曲に直接のつながりがあるとは公式で言及はされていませんので、あくまで私の妄想解釈ですし、この日のLIVEは曲順も逆でした。ですが、折角の素晴らしいナウドラ楽曲たちですから、時にはこのように複数の作品を一連のストーリーとして読み解いてみるのも面白いのではないでしょうか。
余談ですが、「生まれた時から変わっていないんだ ずっとこうなんです」というキャプテンのパートで、ちいかわのこいつを思い出したのは内緒です。
大変失礼しました。
いよいよ観客側のスタミナも限界に近づいてきましたが、ステージが速度を緩めることはありません。ここでマーヴェリックのひとつ前の新曲「DAYDREAM」へ。これまた転調が印象的な曲で、加えて行進曲のように腕を揃えて振る独特の動きが面白い趣向です。
これも音源が手元にないため(いい加減にCD再生環境を整えないと……)、詳しい歌割りなどの分析はできないのですが、楽しいとカッコいいのバランスが取れた曲に仕上がっています。特に存在感があるのがリンリンの落ちサビパートで、さながらフロアの子供たちに振りを教えながらパレードを率いているようにも見えます。彼女のファンは「白石学級」と呼ばれているそうですが、それも納得の「先生」ぶりでした。
続いては「衝撃讃歌」。この他にもいくつかある、スローでしっとりとしたイントロからアップテンポなサビへ転調するタイプの曲です。
歌詞は「嫌なことは全部忘れて」「落ち込んでいたって始まらないよ」と聴き手を朗らかに元気づけますが、決して能天気ではなく、優しく寄り添うような言葉の数々が印象的でもあります。中でも特に好きなのは、キャプテンの「辛い時は辛いって言わないと いつか心壊れてしまうって」と、それに続くなーたんの(違ったらごめんなさい)「弱音を吐いたっていい年頃 恥ずかしくないよ」のところです。青春をテーマに掲げていながらも、弱さや過去の傷ともちゃんと向き合うというスタンスが心地よく刺さります。
それでいて、「もしもいつか終わりが来たって 胸を張ってやりきったって言って」と最後に歌うのも特筆ポイント。常に目の前のステージに力を尽くす彼女たちだからこそ説得力のある、眩しいほどに潔い在り方です。
そしてまた、ここのメッセージもワンマン全体にとって大きな意味を持ってきます。
本編も残りわずかとなってきたところで、「フラストレーション」へ。その名の通り、現実のままならなさや葛藤を綴っています。
アルバムが傑作揃いなのは何度も述べてきましたが、後半に位置しているのと他があまりにもキャッチーなため、相対的に聴く機会の少なかったフラストレーション。しかし、ワンマンの日は格段に違い、大いに胸へ響きました。
その理由は、この曲がLIVEのステージ上で歌われること自体が強い意味を帯びていたからでしょう。6人がそれぞれ別々のグループから集められたことはこれまでも度々語られていましたが、そんな紆余曲折を経てきた面々にしか出せない重みを、今回は強く感じました。
足掻き、もがきながら暗中模索する姿には、やはりタッキーの声と歌い方が最高にマッチします。加えて、ラストをカポネが「ここで生きるって決めたなら」と締めるのがまた凄い!これまでの曲で十二分にその愛くるしさを堪能してきたからこそ、覚悟を持って踏みとどまる意思の強さが際立って聴こえました。
残り2曲。ここで「LAST LETTER」の時間です。ナウドラのエモーショナルロックの集大成とも言うべき、イントロとアウトロでメンバーが宙に手紙を書く可愛らしい振り付けが忘れられない曲です。
「諦めることに慣れてたんだ もう大丈夫 君と会って僕は変わった」。歌割りが連続するシーンでの熱唱が印象的なところから、私はユリアとなーたんを勝手に名バディだと思っているのですが、そんな2人がこの箇所を担当しているのも◎です。
両名とも、この日は髪型をガラリと変えて我々を驚かせてくれました。そんな彼女らの歌は、ここまでのアイドル活動で経てきた様々な変化、その全てを肯定して胸を張っているようにも感じられます。決して「王道アイドル」の典型とは言えないナウドラだからこそ、まっすぐな芯の通った言葉です。
そうして感傷が限界の悲鳴を上げているところへ、最後のサビでメンバーが肩を組むのだからもう本当にこいつらは!当然フロアも同じく、面識があろうがなかろうが自然に肩を組んで声を揃えます。
隣の人も後ろの人も、みんなが間違いなくステージ上と同じかそれを上回る笑顔でいることが、振り向かずとも伝わってくる素敵な空間でした。
ここで本編ラストのMCへ。先程とは違い、真剣なトーンで一人ずつが自分の気持ちを語っていきます。メンバーたちは最初から既に感極まりつつありましたが、膨らんだ感情の風船はユリアのところでついに弾けました。
「歌っているときが一番、生きていると感じる」。
普段最もクールに決めている彼女が、10年間ステージに立ち続けてきたひとりの人間・成瀬ゆりあとして堰が切れたように思いの丈を吐き出していくにつれて、全員の涙腺が決壊。
単なる1stワンマンというだけではない、NOW DRAMATiCの旗に全人生を懸けている彼女たちの気持ちの強さを、いちドラマチストの身でも痛いほどに感じました。
本編最後の曲は「Colorful」。
後述する2曲が残っていたため、私にはとても意外に感じられました。しっとりしたバラードではなく、パワーチューンで締めると思い込んでいたからです。しかし振り返ってみると、これほどに相応しいチョイスはありませんでした。
多彩なメンバーカラーを持つナウドラらしい曲で、リンリンの優しくあたたかい歌い出しからタッキーの「僕は一人じゃ何もできない」という吐露へとつながる一番Aメロ。
二番Bメロではキャプテンが涙でくしゃくしゃになりながらも、「僕らが大空に蒔いた種は 吹き抜けるこの風に乗って どこまでも遠くまで」と未来への希望を紡ぎ、カポネが可憐な自身のイメージとも重なる「色褪せた季節また巡って 荒れ果てた大地に咲く」と続けます。
サビでは、「一緒に……!」というユリアの祈りにも似た掛け声によって、シャングリラの全員が花を咲かせるモーションを取り、「明日を信じて」というなーたんのまっすぐな声が響き渡ります。
6人の魅力が最大限に発揮されるこの曲のラストを飾るキャプテンパートは、「混ざり合ってカラフルな僕らの色になる 僕らは今ここから走り出す」。
ステージとフロアに光る6色の光は混ざり合い、メンバーとドラマチストの道は「僕ら」のものとして、一つに重なりました。
最後は、アウトロのコーラスが何倍にも延長された特別仕様。声よ枯れろと歌い続けながら、メンバーがステージの上を左右に行き来しては、万感のこもった視線と拳を観客の一人一人へと投げかけていきます。
最高にナウドラらしい、まっすぐ立っていられなくなるほどの感動は、完璧としか言いようがないフィナーレでした。
解散LIVEもかくやというほどの熱い本編パフォーマンスも、これにて終了。しかし当然のように、わずかな時間をおいてアンコールがかかります。
帰還早々に流れるのは超アッパーチューン「Re:Birth」のイントロ!もうマジで、この人らのスタミナは無尽蔵か?と思わずにいられません。
涙と笑顔のどちらもを溢れさせたキャプテンが掛ける「さあ走れ 走れ」という号令は、「Colorful」のラストからつながる見事な流れ。ラストはユリアとなーたんの誰もが惚れるバディがソリッドに決めてくれます。
前後しますが、この曲を初めて聴いたとき最も鮮烈だったのが、「誰もが一生消えない傷を背負って 満身創痍で生きているんだ」という、一切隠し立てをしない激しい生の叫びです。あるいは全曲を通じても、一番好きな歌詞かもしれません。
ナウドラは青春ロックを掲げ、これだけたくさんの曲を持っていながら、ラブソングがほぼ一つもないという異端のアイドルです。
では、甘酸っぱさやセピア色の写真に背を向けて彼女たちが突っ走る青春とは何か。
それは「傷だらけの過去を抱えたまま、今生きているこの瞬間に全力を出しきること」です。
たとえ大昔に思春期を通過していても、日々の仕事に忙殺されていても、色恋沙汰には気乗りがしなくても、目の前の何かに全力を出すことはできます。
年齢も、属性も問いません。
誰だって、ナウドラと一緒に青春できるし、していいのです。
楽曲も、ステージングも、全てがこの核を持っており、「倒れるときも前のめり」という文句がどこよりも似合う6人組。
リバースの落ちサビで満を持して全員とフロアが合唱する場面に立ち会い、自分も潰れた声を張り上げながら、このグループに出会えてよかったと心から感じました。
さあ、いよいよ残すはあと1曲。本当に最後の最後、20曲目はもちろん「NOW」!!
イントロでのタッキーの語りかけが、いつも以上に気持ちを昂らせてくれます。
「積み上げた思い出は色褪せない」。
「忘れないから青春の日々 隣にいつも君がいたこと」。
この記事で何度かわざとらしく言及してきた、この日のワンマンを通して私が受け取ったメッセージ。
それは、キャプテンが語ってくれた言葉に集約されます。
「永遠なんてものはないけど」。
かの名作「HiGH&LOW」シリーズが「永遠じゃねえ、ムゲンだよ」という名言を残したように、近年は「永遠の否定と超克」が多くの物語に共通して見られる一大テーマになっています。
翻って、このLIVEのタイトルは「Now and forever」でした。
キャプテンはリーダーの立場から、この先もずっと私たちは変わらないよ、永遠に一緒だよと言うこともできたでしょう。それは決して劣ってもいなければ、否定されるべき考えでもありません。そしてある意味、非常にアイドルらしい思想です。
ですが、彼女はそれを否定しました。
結成半年のグループとしては、あまりにも壮絶すぎる言葉です。
終わりを覚悟しているからこそ美しいその姿は、桜や花火にも似た切なさも感じさせます。
ですが、そんな物悲しさを乗り越える言葉を、ナウドラは既に伝えてくれていました。
ダイレクトな表現で印象に残った部分だけを挙げても、ここに載せきれないほどです。
ナウドラがこの日に見せてくれた、「永遠」を超えるひとつの答え。
私が受け取ったそれは、「忘れないこと」。
そして、「全力で、最高の今を創り続けること」でた。
永遠なんて、ないけれど。
けれど、みんなで共有している「最高の今」を、忘れずにいることはできる。
そして、私たちとドラマチストのみんなで、これからも全身全霊を懸けて、「最高の今」を更新していこう。
いつか終わりが来たときに、「やりきった。最高だった」と言って、その熱を残せるように。
ありがとう。
ずっと言いたかったその一言を、この曲がコーラスという形でステージに投げかける機会をくれたことにも、心からの感謝を贈ります。
終盤には、来年2月に恵比寿LIQUIDROOMで2ndワンマンLIVEを開催することが発表されました。
公式キャパ1000人。かつては「リキッドアイドル」という言葉もあったらしいですが、数多のグループにとっても今なお目標の一つとなっている、有名な会場です。
この日のシャングリラが500人キャパだったことを考えても、大きな挑戦になることは間違いないでしょう。9ヶ月先とはいえ、余裕ぶっていることは決してできないはずです。
しかし、ことナウドラに関しては、野暮な心配は無用でしょう。
彼女たちが「最高の今」を創り続けるということは、常に限界の天井を砕き続けることに他ならならないのですから。
まだ早い。
無謀だ、蛮勇だ。
そんな言葉は、ナウドラの全力の青春ドラマの前には、軽々と吹き飛んでいくことでしょう。
永遠なんてないけれど、だからこそ。
NOW DRAMATiCは、頂へ向かって加速し続けます。
願わくば、この女傑たちの歩みをひとときでも長く「忘れない」ために。
走り出した最高の6人へ、僭越ながら本稿を捧げて、今回のレポートを締めくくりとします。
物語は、続く。
ナウドラ楽曲が好きすぎるあまりに約13千字の狂気長文となりましたが、お読みくださり誠にありがとうございました!!
またお会いしましょう!
以上、灰色でした!!!