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4/22ジエメイ1周年記念ワンマン「BRILLIANT」LIVEレポ

嗚呼 嗚呼 黙って見てろ
全て僕が決めた道なんだ
後ろ指 差されても なあ
笑えたモン勝ちだろ?
自分信じられるなら
己の鎖を解き放て
愛がなきゃ視えないから
信じたモノ 貫き通せ な?

ジエメイ「な?」



こんにちは!灰色です。

本日は名古屋にて、ジエメイの1st anniversaryワンマンLIVEに参戦してまいりました!

アイドル関係のLIVEで遠征するのは、Finally以外だと今回が初めて。

しかし、そうさせるだけの圧倒的な魅力と引力がジエメイにはあります。

私を突き動かしたのは、「新参者だけど見逃したら絶対に後悔する」という衝動でした。



ちなみにLIVE初見時のインパクトはこちらの記事に叩きつけています。初回からだいぶ気持ち悪いです。



そういうわけで、片道3200円の夜行バス4列シートに乗って名古屋へやってきました。ちなみに夜行バスに乗ったのはおよそ9年ぶりです。身体死ぬかと思ったのですが、アキバで風呂+飲酒してから乗ったら寝足りないくらいぐっすり爆睡でした。SAのたびに起こされても何ら問題なし。大阪くらいまでなら余裕で乗れるかもしれません。身体バキバキになるかと思ったのですが、すでに限界まで凝っているので何も変わりませんでした。クソどうでもいい日記パート終わり。





本日の会場は名古屋Electric Lady Land、通称ELL。初めてのハコです。なんでも移転前は1977年?にできたのだとか。なかなかにすごい老舗です。

今日に至るまでジエメイグッズを何も持っていなかったこともあり、事前物販から行ってしばらく並んでいたところ、なんと私の2人前でランチェキ300枚が完売、残りは終演後物販で同数出すとのこと。ジエメイファン=ハオメイの購買パワーとんでもねえ。

とりあえずロンTやらタオルやらを買ってまた尺調整へ。



そして16時半頃に入場したのですが……人が多い!!寿司詰め一歩手前くらいの観客がELLを埋め尽くしています。

また、ジエメイのLIVEで印象的なことの一つにハオメイの構成層があるのですが、明らかに他のアイドル現場よりも年齢層が若く、大変に活気があります。

バンドファンのようなカラーの人たち、推しカラーを身につけた女性陣、あるいは元気な学生オタクグループまで、かなり多様な人種の方々が、しかし一様にお喋りに花を咲かせながら開演を心待ちにしています。その話題もメンバーのかわいさ、セトリ予想、回収したい曲……と、実に楽しそう。

事前物販では推しのランチェキを交換し合っては「これかわいい!」と目をハートにする姿も多く見られ、結成1年目にしてハオメイコミュニティの多様性と力強さを感じたような気がしました。これもきっと、ジエメイの4人がハオメイを愛してやまない理由の一つなのでしょう。




そうして会場のテンションが膨らみきったところで、いよいよ開演!おなじみのSE……ではなく、ステージを覆い隠すスクリーンに特別なOP映像が投影されます。

4人のメンバー紹介に続いては、グループの1年を振り返りながらのカウントダウン。日付を示すデジタル数字が23.04.22へと刻まれてくる演出に、新参者の私でも感慨深さを覚えてしまいました。

そうして文字通り幕が上がり、SE「AURORA」に乗ってメンバー4人が登場!気合いの入りっぷりがこちらにも伝わってきます。



記念すべき1曲目は……「な?」!ジエメイ始まりの曲にして、泣く子も踊る無敵のダンスナンバーです。最初か最後に来そうだとは思っていたのですが、開幕でロケットスタートを切るのに配置してきましたね。

余談ですが、こちらはアイドルソングのサブスクランダム再生の際に突如耳を征服してきて私がジエメイにハマるきっかけになった曲でもありますので、ご存じない方は是非聴いてみてください。

これ一つでも一気に上り詰められるだろうと思わされるほどのインパクトを持つ「な?」ですが、ステージパフォーマンスではジエメイ最大のストロングポイントの一つである、音源からLIVEへのワープ進化を味わうことができます。

ジエメイの生歌は全員がほぼ別人レベルに声量が跳ね上がりますが、中でも黎鮫ワナはもはや黒髪から超サイヤ人くらいのパワーアップぶり。

「ほら嗤って……ほら嗤って……さあァッッ!」「諦めた自分をォッ!まだァァッ!赦せんのかよォォォッ!?」といったドスを利かせるパートは、こうしてバキかジョジョ風の語尾を勝手に付けずには表せません。同時に彼女は煽り担当でもあるため、「踊れェ!」「まだまだ行くよ!」と歌っていない間も燃料をばらまきまくります。

それでいて、サビはみんなでジャンプ&振りコピができるという全部盛りメガマックス状態。こうした踊れる系のサビではメンバーの笑顔が最高に愛くるしく、満面のスマイルに親指を立ててハオメイのダンスにはなまるを付けてあげるワナ先生の姿は、先程までの最凶噛みつきシャークとはまるで別人です。

音源だけでも傑作のところ、LIVEでは桁違いのエネルギーとノリで無双のモンスターチューンと化す「な?」。私がジエメイと出会ったきっかけであり、そして彼女たちのLIVEの異次元っぷりを焼きつけてくれた曲は、この日の大成功を早くも確信させました。




続いては「Overdrive」!こちらもブチ上がり系ですが、音源を聴いただけでも「これ生で歌えんの……?」と思わされるほどの疾走ソングです。

しかし、ジエメイには心配御無用。さも当然のように、録音時よりはるかに上の歌唱を見せてきます。「喉から音源」という褒め言葉でさえも、最高速を更新し続けるジエメイに向けて使うことはありません。

それにしても、スタートからこの2連打は狂っています。まさしく決死のOverdrive。「これがジエメイだ!」というのを、最高の形で示してくれました。




3曲目は同じく疾走系……ではなく、「ツンからデレまだ5秒前」!

LIVE版では世界一美しい陰の者神代ロゼ20年前からタイムスリップしてきたオタクみたいな台詞から始まる、20年前からタイムスリップしてきた電波ソングみたいなタイトルと歌詞の曲です。

「愛」を全面に出す熱いメッセージ性が持ち味のジエメイにあって、最も頭空っぽ系なリリックで香ばしくも甘々な清涼剤の役割を果たしている「ツンデレ」。と言いつつ、ワナはここでも「拝啓夢見るユゥメェコちゃァァんンン!」とか激辛スパイスを注入してきたりしますが……(※音源だと甘くて透明な声です)

何はともあれ、ジエメイはビジュアルも超強くて脳が溶けるほどのスイートボイスも出せるので、殴り合いキャラなのに回復魔法も使えるみたいな反則状態と化しています。特に、姫と勇者をその身に同居させる眠目り汰の歌声スイッチは言葉を失うほどの絶技。彼女の変幻自在っぷりもまた、絶対に生で見るべきです。

サビの振りもまた狂ったように可愛く、歌ってないときも「腕まわせっ!」「みんなで跳ぶよ〜っ!」と殺傷力しかない煽りが飛んできて気を狂わされます。30年アニソンに浸ってきた私が人生で初めて&唯一ハマった電波メロメロソング、これを超える曲には当分出会えないでしょう。




続いては「ワタシスタイル」!

り汰の透き通った水のような歌い出しが印象的で、王道アイドルらしいキュートさとジエメイならではのストレートな言葉選びが両立しています。

LIVE版は先週初めて聴けたのですが、驚かされたのはラストサビ後のワナのフェイク!「奇跡だなんて大げさじゃない?」というリリックの後に続くのですが、表情・仕草までを含めたその美しさには目を見張りました。




一息に4曲を駆け抜けると、ここで最初のMC。ワナの口から、ジエメイ=「姉妹」という名前への強い想いが語られます。そして、そこから自分たちの名乗りのごとく「シスターイグジスター」へ

あまりLIVEでは披露されないと小耳に挟んだのですが、この日は思い入れの強さを観客と共有してくれたことで、ひとことずつを噛みしめるように聴くことができました。

「幻想なら時代遅れ」「新世代の反逆」といった言葉からは、旧い慣習やアイドルにまつわる固定観念を破壊するというジエメイ流の宣戦布告も感じられます。

一方で「exister」=存在する者、という単語はあまり馴染みがありません。ここであえて踏み込んで解釈をするのならば、この曲が強調しているのはジエメイの「生身性」でしょうか。

その英雄的で慈愛に満ちた姿勢とパフォーマンスのハイレベルさゆえに、ジエメイにはどこか「完璧なアイドル」としてのイメージを持ってしまいます。少なくとも、未熟さや幼さをアピールポイントにしたり、殊更に「等身大」感を出すスタイルのグループではありません。

それは言い換えれば、崇拝対象にさえなりうる無欠の偶像。

キャリアを超越する本物の才能たちに、私自身もそうした印象を持っていました。

しかし、「シスター」はそんな偶像を否定します。

代わりに紡がれるのは、「これが僕の正体さ」「残像なら排除して」「どこにいようと僕は 必ずキミを見つけ出す」といった言葉。

ジエメイも、キミたちと同じ人間なんだ。

私たち4人は、ここに確かに存在しているんだ。

この姉妹と一緒なら、と語ったワナの姿を重ね合わせたとき、私が受け取ったのはこんなメッセージでした。




6曲目は「IRIS」!「な?」で一本釣りされたあと、本格的にジエメイに惚れ込ませてくれた曲です。どこまでも美しさと力強さを突きつめていく、本物のボーカル4人組。その印象を決定づけてくれたIRISは、この日も最高の一言でした。規格外の歌声を持ったこの4人が同時にサビを歌うだけで、言葉にできないほどの無敵感と特別感が会場を満たしていきます。特にロゼの落ちサビは表情も歌声も筆舌に尽くし難い美しさで、歴戦のオタクとして様々な物語のインプットを経てきた彼女ならではの卓越した表現力を垣間見ることができます。

仮に一つ前の「シスター」がジエメイの生身性を表したとするなら、IRISではそんな彼女たちがハオメイのひとりひとりへと語りかける意味を持ちます。

「ありのまま 君が君で居られたら良いんだ」

そして「僕らしく その先で辿り着けるから 僕ら何度でも」

私たちジエメイはジエメイらしく、そしてハオメイの君は他の誰でもない君らしく。

彼女たちはSNS上でも常日頃からファンへの愛と感謝を自分たちの言葉で伝えていますが、そのときにはどうしてもハオメイという不特定多数を指す代名詞を用いざるを得ません。

だけど、それだけじゃないよ。

今日この時LIVEに足を運んでくれた、会いに来てくれた君のことを、私たちはちゃんと見ているよ。

私たち4人だけじゃない。

ハオメイを加えて、「僕ら」なんだ。

「シスター」の「どこにいようと僕は 必ずキミを見つけ出す」という歌詞と併せて考えたとき、そして特典会で初めて話したときの彼女たち4人のことを思うにつれ、こうしたメッセージを感じずにはいられません。「シスター」からの「IRIS」は、我々の心に熱くも優しく寄り添ってくれる組み合わせでした。




ここでさらに畳み掛けのもう一曲!「Mew」が続きます。

自身初となるフル撮り下ろしのMVと、一度見たらすぐに真似できるサビの振りが特徴のこの曲。Mewだけに限りませんが、ジエメイはダンスも非常に個性的です。アイドルソングで定番のムーブは少なく、またスキルフルな部分もさほど多くはありません。(もちろん、このことは彼女たち自身のレベル自体を意味はしません)

代わりにジエメイは、その激情やメッセージを伝える表現手段としてのダンスに特化しています。

ボーカルにしがみつくような動きであったり、葛藤や渇望に苦しむ様であったりと、鬼気迫る表情で苦しみや痛みを具現化する4人。その集中力は並はずれており、待機中のメンバーに目を向ければ、そこで俯いているのは日本刀のように研ぎ澄まされた顔つき。一瞬たりとも途切れない、張り詰めた緊張感が伝わってきます。

そんな表現手段としてのダンスの精髄は、腕の動きに集約されます。拳を振り上げるモーションも含め、肘から先の表情は雄弁そのもの。光を求めてもがくのも、希望の手を差し伸べるのも、指先まで神経を尖らせて、それでいて同時に美しくしなやかに、ジエメイの腕はその物語をありありと映し出します。

Mewのダンスを見返し、サビでハオメイと共にその手のひらを煌めかせる姿に惚れ惚れとしながら、そんなことを思いました。




ここで再びMCが入ります。そして「今日だけの特別なこと」としてなんとアコースティックのピアノアレンジ版が披露されることに!LIVEではバラードを聴きたい派の私は狂喜乱舞です。

YouTubeでおなじみのピアノバージョンIRISがいよいよ生で聴ける……と思いきや、選ばれたのはまさかの「オートフィリア」!

よりによってそれを!?と思ってしまうほど、ジエメイの中でも特に激しくロックテイストの濃い曲です。しかしこの変化球が大当たりも大当たり!

特に「死にたがってまだ生きてくのか?」「こんな僕でも好きで居たいから」といった鮮烈なリリックが、無防備だった心へ突き刺さります。

4人それぞれがその真の実力を解き放ったアコースティックパートでしたが、まず驚愕したのは八乙女ニアの絶唱。真紅のメンバーカラーが似合う最強火力のフロントとして、大地を震わせるほどの迫力で歌う彼女ですが、この時は抜群の声量と技術を儚げなピアノサウンドへ見事に融合させていました。

その身ひとつに留めておけない、心の底から湧き出した激情を歌ったニアの姿は、この先も絶対に忘れられません。




そして、豪華にもアコースティックでもう一曲。無論、満を持しての「IRIS」です。こちらはやはり歌ってきた回数が多いのか、はたまたピアノアレンジのしっとりとした空気感が馴染んだのか、メンバーたちがそれぞれの個性をより強く織り込んでいきます。

先述したニアはもちろんのこと、表現力が際立って優れたロゼも、あらゆる歌唱法をマスターしているのではないかと思わされるワナも、まるでこのスタイルを何年も続けてきたかのような見事さ。

何よりも、透明感と雄々しさを自在にコントロールするり汰のこのパートにおける説得力は白眉!どんな歌い方でどんな声を用いれば、最も強く想いを伝えられるのか。それを彼女が考え抜いていることがはっきりと分かるパフォーマンスでした。




これら特別な2曲を通じて、特に印象深かった点が二つあります。一つ目はなんといっても全員の絶対的な歌唱力の高さ。元よりロックナンバーへの適性は間違いがありませんでしたが、ここまでハイレベルなバラードを歌ってくれるとは思っていませんでした。

その上驚かされたのが、各々がフェイクを入れたり、音程や歌い方にアクセントをつけてアレンジをするなど、実に多彩な声を響かせてくれたことです。「もっと自由に、もっと楽しい歌を」とはロゼのキャッチコピーですが、その言葉が誰よりも似合うジエメイは、特別な演奏を伴って情感たっぷりに世界を描き上げながらも、どこか自由に遊んでいるような印象さえ抱かせてくれました。

ですが、恐らくはこれも彼女たちの真の実力の一端に過ぎないのでしょう。4人のアーティストは、普段から研鑽を続けているロックシンガーとしてのハイレベルさだけでなく、可能性に満ちたポテンシャルと奥深い魅力を見せつけてくれました。




そしてもう一つ注目したい点が、今回アコースティックパートを挟むことで実現した世界観の幅広さです。

的外れを承知で言うならば、私はジエメイの唯一の弱点は「強すぎる」ことだと考えていました。

パワフルで、ヒロイックで、ストレートで、熱く燃えさせてくれる。そんな最高の楽曲群を伴っているジエメイですが、それ故にまだ全体のカラーとしてはそこまでの多様性を持ち合わせているわけではありません。

あまりにも破格のパフォーマンスのために、そうしたことを意識して寄り道をせずとも突っ走っていけると確信させるのがこのグループですが、それだけにもっと色んな顔を見たいと思うこともありました。

もちろん、結成一年目に満たないグループにそこまでのことを求めるのはお門違いもいいところで、理不尽な感想です。そうした奥行きや幅広さは、何年も活動を続けていく中で可能性を模索し、試行錯誤の中で生まれていくものだからです。



しかし彼女たちは、1周年を祝うこの日に、見事にその物語の拡張性を見せてくれました。

率直に言えば、バンド編成でジエメイを観られるというだけで、十分にこの日の満足度は約束されていました。恐らくはほぼ全曲を聴けるというだけで、あるいはその場に立ち会えるだけでも、それ以上の幸せはないと感じられるはずでした。

その一方で、活動歴の短さからくる曲数の少なさだけは否定できない事実です。そのため、現時点での全曲披露+バンドサウンド、どう転んでもLIVEの形態自体はこれしか有り得ないと思っていました。それ以上の特別感を望むのはおかしな話だし、そもそも想像もつかないと。



しかし、その想像をジエメイは超えてくれました。

100%の見込みだった満足度を、200%にしてくれました。


このことは、単に1日限定で既存曲の別バージョンを歌ったというだけではありません。



ジエメイはこんな戦い方もできるのか。

もっともっと、色んなジエメイを見てみたい。

目を離せない。期待が止まらない。

胸が躍って止まらない。

もっともっと楽しませてくれるのか。夢中にさせてくれるのか。

既に最強の彼女たちは、更なる高みを見せてくれるのか。

リスペクトと嬉しさに、胸が一杯になりました。





ここで、本編最後のMCが入ります。まずは改めて観客とバンドメンバー、そしてサポートをしてくれた関係者へ感謝を述べると、マイクは順番にメンバーへ。

詳細をここで語ることは省きますが、今の私の率直な想いだけは記させてください。


「正体不明の天才が集った、天下無敵のヒーローチーム」。

私は、昨日までジエメイのことをそう思っていました。

何もかもが規格外にパワフルで、カッコいい背中を無条件に信じさせてくれて、熱く愛を語ってくれる。

神々しささえ感じる、絶対的に大きくて強いヒーローたち。

彼女たちは栄光の階段を破竹の数段飛ばしで駆け上がり、足踏みなんてせずにどこまでも最強のままで大舞台に立つのだろう。

そう思っていました。




しかし、ワナは静かに語りました。



「ジエメイの4人は全員、一度夢を諦めかけた」。

「本気で打ち込んで、それでもダメで、折れかけた」。



腕組みをして知ったようなことを考えていた横っ面を、思いきり殴られました。

その想いを何も知らず、勝手に神格化していた厚かましさに、苦しかった過去を振り返る彼女の言葉が突き刺さりました。

ジエメイも、生身の人間でした。

こんな馬鹿みたいな言い方をしてしまうほど、絶対的なオーラをまとう4人は、しかし決して無傷の超人ではありませんでした。

彼女たちの才能は疑いようもありません。けれども、それだけでは音楽の道を生き抜くことは困難だったのでしょう。あるいは、才能があるからこそ苦悩に次ぐ苦悩の日々だったのかもしれません。

アイドルとして見ても異様な熱量のある、ジエメイが日々ハオメイへ伝える愛と感謝。

その背景にあるものを、私は初めて知りました。

それは彼女たちがパーフェクトな人格者だからではなく、誰かに想ってもらうこと、支えてもらうことがいかに人間にとっての救いになるかを、彼女たち自身が誰よりも理解しているからでした。




そして、私がこのことを理屈でなく心で理解したとき、ワナが再び叫びました。



「私たちは一人じゃ何もできない弱い人間だけれど、4人一緒なら、みんなと一緒なら、ヒーローになれる。『泥だらけヒーロー』!!」



心底、魂が震えました。

事ここに至っては、もはや知ったような分析を書きつらねることはできません。

フィナーレにもふさわしい、サビでの振り。メンバーも、晴れ晴れとした笑顔で手を振ってくれています。

そして大サビの「涙流しきって 再開だストーリー」という歌い出しと共に、銀テープが空中に向かって盛大に放たれます。今日のジエメイを歌っているとしか思えない歌詞と相まって、感情はマックスを遥かに超えていきます。




「土を踏み生きてきた"ボク"を信じて」。

ジエメイは、人間だから強い。

ジエメイは、泥にまみれて傷を負って生きてきた、我々と同じ生身の人間だからこそ、誰よりも勇気をくれる。



この瞬間、私にとってのジエメイは、本物のヒーローになりました。




炸裂させた感情をそのままに、本編はラストスパートへ。ここは多くのハオメイの期待通りに、通常版の「オートフィリア」!

とはいえ、通常版というのもおかしな話です。なぜならこの日は特別な生バンド編成。音源でもフロアを沸騰させるオートフィリアがさらに何倍にも先鋭化し、先ほどまで流していた涙を焔に変えていきます。




そして、ラストは最高に熱くなる名曲「レアリゼ」!

ラップバトルの殴り合いのようなメンバー同士の掛け合いパートもあり、ここまでのデスマーチを超えてきてなおも消えないジエメイの烈火が、最大出力を叩き出していきます。

「レアリゼ」という曲名は、「realize」=「現実にする」をカタカナ読みしたものです。

現実の苦しさと、その残酷に打ち勝つ強さを謳っているこの曲。そのメッセージはジエメイ自身を奮い立たせると同時に、ハオメイにも最大限の愛をもって伝えられます。



「抱きしめて 思いきり 一人で泣かないで いつだって僕ら ここにあるから」

「愛していて希望を まだ歌っていたいんだ 熱い音 エントロピー叫んで」



ジエメイは、先にも述べた通り「愛」という言葉をたびたび口にします。しかし、私はこれほど「愛」に重く厚い質量があるグループを他に知りません。繰り返すと嘘っぽくなるだの、ありがたみが薄れるだの、そんなくだらない常套句はジエメイには通用しません。

愛を語るアイドルも、「いつもそばにいる」と語るアイドルも、日本には無数にいるでしょう。

けれど、その言葉を真に信じさせてくれる人たちは、決して多くはありません。

だから私たちはいつも斜に構え、愛という言葉を鼻で笑っては話半分に聞き流してしまいます。




ジエメイは、違います。

何があっても、ジエメイがいる。

ジエメイについてきて。

彼女たちは同じ言葉こそ使ってはいませんが、その姿勢から私が感じるのは「ハオメイになってくれた君を、一人たりとも置いていかない」という決意です。

人間的な器の大きさだとか、言葉の説得力というだけではありません。

全存在をかけて音楽に向き合い、ハオメイに向き合い、音楽を愛し、ハオメイを愛し、愛して愛して愛し抜く。

そして、どんなに強く愛されても、全て受け止める。

その一点も曇りのない覚悟は、並大抵ではありません。

この日本編ラストを飾った「レアリゼ」は、そんな愛の歌でした。




realize=現実にする。

ジエメイという生身のヒーローは、その愛を以て、自らとハオメイの世界を歌の中だけの幻想ではなく、揺らぐことのない現実にします。

この日もまた、ジエメイは輝く憧憬を熱い現実にしてくれました。そして彼女たちはこれから先も、そこがどれほど大きなステージであっても、眼前に何が立ちはだかっていても、あらゆる夢を現実にしてくれることでしょう。

それもまた、ジエメイだからこそ信じられることです。


最高温度のフロアを残したまま、これにて本編は終了。「以上!ジエメイでした!」という普段通りの潔すぎる締めの挨拶と共に4人はステージを去りました。

が、もちろん即座にアンコールがかかります。

登場したジエメイは、早速立て続けに嬉しいニュースを発表。ファッションブランドとのコラボ&一日店長もさることながら、待望のアルバムリリースの報はひときわ嬉しいものでした。既に全ての曲が神話級のインパクトと物語性を持っているジエメイですが、アルバムとなれば否が応でも新曲に期待がかかります。




そう、新曲。

アンコールにはなんと、新曲が用意されていました!

この後に及んでなおも起爆剤を用意しているとは、ジエメイのエンターテイメント精神は留まるところを知りません。

そしてELLの全員にとって初めての曲となる「DigDigDig」(正式名称不明)が披露!ジエメイを知って以来初パフォーマンスの場に生で立ち会うのは初めてなので、否が応でもテンションが上がります。

曲調はというと、これまでとは一風変わった軽快なサウンド!この日はバンド編成だったこともあり、通常音源がどうなるかは分かりませんが、とにかくダンサブルで盛り上がる曲なのは間違いありません。り汰はこのワンマンをスタート地点だと語っていましたが、新章の幕開けにふさわしい楽しさのナンバーでした。




そして、アンコールの締めに歌われたのは「愛する」。現状音源リリースはされておらず、LIVEでだけ聴くことのできる特別な曲です。かくいう私も初見でしたが、レア曲とは知りつつも必ずまたステージで観たいと思わされました。最後に「愛」を持ってくるのも、これ以上ないほどのジエメイ流です。





今度こそ全ての演目が終わり、物販に向けて照明が明るく……なったのですが、なんとここでプロデューサーの「やっさん」から謎のアナウンスが。

「皆さん、ロゼが先日間違って『95分尺LIVE』とツイートしていたのを覚えていますでしょうか」

えー、存じ上げませんが……

「あと少しで95分になります。皆さん、ロゼの伏線を現実にしませんか?」

あ、なるほどね?

「皆さん、大きな声でジエメイちゃんを呼んであげてください!ジエメイ!ジエメイ!」

「「「「やーっさん!!やーーっさん!!!」」」

「俺じゃねえよ!」

……なんかよく分からないまま、楽しい感じでダブルアンコールが決まりました。




り汰姫が出てくるや否や「みんなジエメイよりやっさんが好きなの?それじゃあ歌わないよ?」と小悪魔的に煽ると、さしものハオメイもたまらず素直に。

そして「最後にもう一回踊ろうか!」という合図と共に、再びの「な?」へ!

わずか1時間半前のことが、まるで数年前のようにも感じられます。それほど、この日のワンマンは濃密極まりない時間でした。ジエメイは進化しながら様々な表情を見せてくれ、その唯一無二の怪物っぷりを胸に焼きつけてくれました。

そんなジエメイには、最後の最後まで驚かされることになります。

ラストの「な?」は、同じ曲であるはずが、一曲目の時よりもぐっと自由奔放で爽快な響きを持っていました。

緊張が彼女たちのパフォーマンスを阻害したとは一切感じませんでしたが、それでもやはりこの日の大任を無事に(ほぼ)終えたことで安堵と解放感を覚えたのでしょう。晴れやかな笑顔でのびのびと歌い踊るジエメイは、明らかにそのパワーを増していました

疲れを感じさせないどころか、次のステージへの扉を開けたことの高揚感が全身から溢れ出す姿。最後の最後まで楽しく終わるだけでなく、この先への期待をいっそう高めてくれる、最高のエンディングでした。




「信じたもの貫き通せ な?」

ジエメイだからこそ、全力で信じられる。

だからジエメイは、自分たちの夢を自分たちらしく叶える、その道を貫き通してほしい。

これがきっと、あの場にいた全てのハオメイの気持ちです。



これにて、ジエメイ1st anniversary ワンマンLIVE「BRILLIANT」レポ終了です!

結成わずか一年のグループの初ワンマンとは到底信じられない、充実極まる集大成にして、英雄譚の新たなるスタート。その場に立ち会えたこと、こうしてレポートを残せることを光栄に思います。

正真正銘、最高のLIVEでした!



しかし、今回はこれだけでは終わりません。終われません!

今回のワンマンで改めて思い知った、ジエメイ4人の魅力。

それをわずかばかり語るため、本体のライブレポに加えてこの日に感じたメンバー個別の印象をEX編として後日追加することにいたしました!

というわけで、予定は未定ですが次回の記事に続きます。もう少しだけお付き合いください。

以上、灰色でした!



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