【ネタバレ有】May'n ホールツアー2019 「chord G/D」初日 神奈川県民ホールに行ってきた。
May'nさんのライブに行くのも、実は4年前くらいの武道館以来。音源は追っかけていたけども、フェスなども通じて彼女の歌声を生で食らったのは久しぶり。
アニソン連載 #8 『May'n 10th Anniversary Special Concert at Budokan "POWERS OF VOICE"』に行ってきた - 音楽だいすきクラブ http://ongakudaisukiclub.hateblo.jp/entry/2015/09/04/230612
その前に、一旦ここ1年ほどの彼女を振り返るべきだろう。
まず特記すべきは、May’n ASIA TOUR 2019 「KICK IT UP!!」と題して、韓国と台湾を含めた全22箇所のライブハウスツアーを行ったことである。
福島郡山にあるHIP SHOT JAPANが500人規模、横浜ベイホールや大阪BIG CATは1000人から800人規模ということ考えると、彼女の知名度や実力からすればかなり意外なツアーに思える人も多いだろう。今回のような神奈川県民ホールや中野サンプラザといったホールツアーを中心に、数万人レベルのアリーナをグルグルと回っているような・・・そんなイメージを持っている人も多いと思う。
実は彼女は初期の頃から、一貫として500人から1000人規模のライブハウスを回るツアーを欠かしていない。10年前に行なったツアー『SUMMER TOUR 2009 "LOVE&JOY"』はすべてZepp系列のライブハウスで通しているし、2014年~2015年の間に行なった「Road to 10th Anniversary Japan & World Tour 2014-2015 "dots and lines"」を見てみると、奈良県にある奈良ネバーランドを出演場所に選んでいる。実はこのライブハウス、300人ほどが入れるかどうかのフロアだ。そんなライブハウスを選び、彼女は歌ってきた。
相対的に、数万人レベルでのアリーナ公演は数年に一度程度にとどまっている、それこそ、上に記した『May'n 10th Anniversary Special Concert at Budokan "POWERS OF VOICE"』で武道館公演を行なったあと、フェス出演時以外の単独公演では、アリーナ公演を行なっていないのだ。
アニソンシンガーの歴史を紐解いても、有数であろう伸びやかな歌声を武器にして、ロック譲りではないR&B~ポップス系統のシンガーとしての才覚を持っているのがMay'nである。そういった人間が、小さなライブハウスを使ってでもライブハウスツアーにあえて(と書かせてもらいます)こだわるのか。
それは、自身のファンを本当に大事かつ大切に感じているからだろう。身の丈に合わなすぎるほどに増えすぎたファンを抱えることよりも、自身の記憶のなかにファンの顔をしっかりと刻み、大切にしようとするシンガー、それがMay'nなのだ。この例えでしっかりと伝わるかはわからないが、『THE IDOLM@STER Cinderella Girls』でいうならば、高垣楓のよう、ファンとの距離感を保ち、彼女とファンとの距離感で生まれる雰囲気を含めて楽しませるのが彼女なのだ。
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とはいえこの日のライブ、3000人レベルで客席アリの神奈川県民ホールなのに、異常なまでに距離感が近かったと思う。これはライブ終了直前にも、May'n本人が言葉にしていた、「なんか今日はライブハウスみたいに近かったよね!」と。歓声で返答する観客、満場一致だろう。
だって、舞台を降りて客席通路を歩きながら、目の前で歌ったのだから。
誰がって、May'nが、だよ。
一曲目「全部大丈夫」二曲目「ViViD」と速いテンポの楽曲が続く。ダンサー2人を横にしながらめちゃくちゃ煽って、その時点で彼女汗だく、髪の毛から汗が飛び散るのすらも見えるほどに。だが、持ち前のパワフルな歌声はキーとメロディを一切外さないし、ダンサーやバンド陣の演奏も、本当に今日が初日の序盤なのか?ってくらいに迷いがない。直前までライブハウスツアーをしていた影響だろうか?いや違うだろう。この日を含めた3公演ですべてをぶつけるために、相当な練習を積んだんだろう。
三曲目は「サマー・スライダー」だったのだが、ここでMay'nが舞台の下手から降り、客席通路を歌いながら、ファンと目を合わせ、手を振ってみせ、おどけてみたり、嬉々とした姿で歌い、歩く歩く歩く。サビパートは通路の角角で歌うって流れになっていたが、May'nとファンの間には、安全のためにとヒモを引くこともなく、スタッフ数名は通路にいるが、彼女の近くにはほとんどいない。
彼女と僕らファンとの間に、妨げる存在はなく、手を伸ばせば彼女にすぐ触れられる距離で歌っている。そして観客はだれも彼女に触ろうともせず、写真をとろうともしない、歌い続ける彼女に向けて、手拍子しながら温かく見守る。
ああ、なんて温かい空気なんだろうか、ぼくは心の底からそう思った。
まさか3曲目でMay'nが目の前までやってきて、目を合わせて歌って見せ、歌い終わっあら口回りについてたよだれを右袖口で拭って、「ッッッシャァアア」とかボロっと声に出てしまう、そんなハイな彼女を見れるとは思っていなかった。むちゃくちゃ笑ってしまった。まるでライブハウスの様相だ。
自分からすこし左のほうで見ていた女性数人のグループは、May'nさんの顔を近づけられたらしく、後ろにある自分の席へとぶっ飛んでいたが、そりゃそうなるわ。
推しに顔を近づけられたら、誰だってぶっ飛ぶわ。
「昨日は誕生日。今日からは三十路の自分、初めてのライブです。楽しんでいってください!」から始まったのは、「Disco☆Galaxxxy」「MOONWALKER」のディスコチックでエレクトロポップな2曲で、続くは新作ミニアルバム『YELL!!』から歌モノEDMの「stair」と「Happiness」だ。舞台には細いタワー型LEDライトが5本あり、映像や歌詞がときおり流れてくるという流れだ。
「ちょっと話すからさ、席に座ろう?」と声をかけ、長めのMCタイムを取った。
「雨大丈夫?え?晴れたの?良かった。誕生日翌日が雨とかやだなーとかおもったし、直前で雨止んでるとか・・・あたしそういうところあるよね?」という話で一笑い起こし、
「昨日の夕飯なに食べたと思う?(肉ーーー!の声)そう思うじゃない?スーパーに行って、いいわね秋の味覚って思って買ったの、サンマを。焼き魚にして食べ終わったときに気づいたの、あれ!?アタシが20代最後に食べるのがサンマなの!?ってね(笑)」と二笑いを起こしたあとに、彼女はこのようなことを語った。
「これから三十路になるけど、これから変わっていこうと感じていて。でも、変わらないものもある。これから変わっていこうとしてるもの、それでも変わらないもの、今じゃないこれから変わっていくだろうもの、全部大切にしたいと感じてます」
一つの宣言だろう。同時に彼女は続けた。
「もう長いあいだ歌い続けてきて、若い頃と今とでは、感情の伝え方も伝わり方も違うと思います。次はバラードを歌わせてください」
というMCから、「鏡」「ダイアモンドクレバス」と続け、伸びやかで力強い歌声で、ファンの胸を打つ。特に「鏡」は自身の歌声とエレピとアコースティックギターのみ、音数を限りなく絞ったことで、彼女の歌声のみが響くようなアレンジメントで、もしかすれば鬼気迫るほどに熱量を帯びていたように感じたひともいただろう。
マクロスFから「ダイアモンドクレバス」「オベリスク」「ライオン」を披露したが、これは確か劇場版『マクロスF』でこの流れで披露したような覚えがある。そういった過去の代表曲から、盟友ともいえるLiSAと共作した「マイヒロイン」へと繋いだことに、この日一番のハイライトを見た。
LiSAがMay'nに対しての感謝と応援を込めたこの曲を、彼女がファンへと届けていくというシーンを見たとき、『マクロスF』の楽曲だけではなく、多くの活動を通して得てきた繋がりが、いまの彼女を奮い立たせ、ファンの心を掴んで離さないのだと感じさせてくれたのだ。
新曲の「涙の海を東へ」(ライブ映えするロックソングだった)「Belief」「AMICITIA」最後は最新曲でアズレンOPに起用された「graphite/diamond」で本編を締めた。「私自身がこれからもまた前にずっと進んでいくという気持ち、それも込めて全力でgraphite/diamondを作りました」と語ったMay'nによるパフォーマンスを見て、ここから彼女の新しいディケイドが始まっていく期待と予感を抱かせるライブだった。
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初っぱなから飛ばしすぎたせいか、途中からサビのとこでちょくちょく音をはずしていたけども、そんなことがまったく関係ないくらいにパフォーマンスが良い。バンド陣とダンサーがキレキレで見いってしまう。これが全3公演(残りは大阪と名古屋)なのが惜しいくらいだし、もっとこの流れでライブがみたいと思えた。
ボーカルにも、本当に少しだけ変化あったように思える。最新作を聴いていて気づくのが、ハイトーン部分の音程を、何度も連呼するような曲や歌詞がなくなってること、逆に伸びやかに歌い上げる曲が増えたことである。同時に、今日のセットリストは声を張り上げないような曲が少しだけ増えていたと思う。こういった部分が、彼女が口にしていた「これから変わっていく部分」なのかもしれない。
この辺の小さな変化を受けてか、これまで以上にボーカルに輪郭をハッキリとさせた音響になっていて、バックバンドの音が少し小さめになってた気がする(気がするレベル)いつもよりも歌詞が聞き取りやすく感じたのは僕だけだろうか。歌詞がちゃんと聴けるような音響は、やはりホールだからこそできる醍醐味だとおもう。
歌声が少しずつ若い頃のそれとは違くなり始めている、それだけではなく、人は老いには勝てないものだ。最新作とライブハウスツアーがあって、きょうのようなホールライブがあるならば、もうアリーナクラスはやらずに、着座スタイルのリサイタルライブでもアリな気がする。年齢が50歳代とお見受けする人もいるのがMay'nさんのライブなのだから、今後そういった方向性にいくのも、もしかしたらアリかもしれない。
先にも書いたように、このライブは10月22日に催され、10月21日はMay'nの誕生日。30歳を迎えた彼女の最初のライブだった。アンコール1曲目、ラスサビで突然演奏が止まった瞬間、ライブ開始前に配られていた紙を掲げてみると、ステージからは「30」と見えるサプライズ。
正直、May'nはこのときに一番でかくて高い声を出したよ
いやこんな高いキー、曲で出したことないだろ!!!!!!??????ってくらいの声ですね。
めちゃくちゃ可愛かったです。
このあと、客席に向かってマクロスから応援してくれてる人ーー?あたしと同世代30歳の人ーーー?とか声かけていたけど、それオレだわ!って思ってでかい声あげました。
ファンを大事にして、距離感を大事に保ちつつも、一緒に音楽で楽しんでいこうとするMay'nと、その空気と雰囲気を暖かく生み出すファンとスタッフ。10年というキャリアが生んだ、最高の空間だったと感じました。
またいつか行けたらいいな。
<セットリスト>
1.全部大丈夫
2.ViViD
3.サマースライダー
4.ナンバーワン!
5.Disco☆Galaxxxy
6.MOONWALKER
7.stair
8.Happiness
9.鏡
10.ダイアモンド クレバス
11.オベリスク
12.ライオン
13.マイヒロイン
14.涙の海を東へ
15.Belief
16.AMICITIA
17.graphite/diamond
AC
18.バースデイ!~PEACE of SMILE
19.Shine A Light
20.Phonic Nation
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