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【歌詞考察】 Cody Lee (李) - 我愛你 ~タイトルからは読み取れないズレた愛 ~

@a_un_aと申します。

趣味で歌詞考察をしているので, ここに形として残せたらなと思い, 載せています。

文才がないため, 大変拙い文章になっているとは思いますが, 読んでいただく際は, 温かい目で見ていただければ幸いです。


1.曲の概要


今回考察させていただいたのはCody Lee (李)さんの「我愛你」という曲です。中国語で「愛している」の意味を表すこの言葉ですが, MVのサムネイルから中華風全開といった具合で, その情緒にあった雰囲気を持ちつつ, 上手くJ-POPに落とし込んだ, とてもかっこいい曲であり, 素晴らしいMVです。(何度リピートしてもよい....)

それでは, いよいよ考察に移っていきたいと思います。



2.考察

Ⅰ. 主人公Aの紹介

雑踏、ホームから街を眺めてた

:『雑踏』というワードから, 人の行き交いがとても激しく, 多くの人がいる駅のホームが舞台であることがわかります。では, 街を眺めている人物をAとしましょう。まずAはこの時点で, 大都市圏にある駅のホームにいることと, 『眺める』という表現から, 遠くの街を見ているということがわかります。なぜこのAがとある街を眺めていたかは以降で明らかにしていきます。


そしたら「あっ」と早々電車が通り過ぎ

:Aはつい街を見るのに集中しすぎていたのか, Aの前を電車が不意の内に通り過ぎていきます。しかしながら, このホームは先にも述べたように, 人の行き交いの多い駅という印象を受けるため, 回転率の速い駅であることは明白です。だったら, 目の前を電車が何本も通り過ぎるのはAにとっては当たり前のはずです。しかし, 今回の電車に対しは, 『「あっ」』と反応している点から, 彼が何か気にかけていた, もしかしたらAが乗る予定だったかもしれない電車が通り過ぎてしまったことがうかがえます。


行先表示器の光の残像が嫌に目に残って夜の匂いがした

:MVでは矢印(→)と簡略化されていたものの, この行き先表示器とは電車の上部にある行き先が記してあるもののことです。(図) 

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 また, 電車を見逃した直後にこの事象が起こっているということは,ここで言う行き先表示器とは先程通り過ぎていった電車のものであるとわかり, これの放つ光が『嫌に目に残る』とはこの行き先表示器に記されていた地名が頭から離れないことを指していることが分かります。というのも, 冒頭でAが眺めていた街とはこの行き先表示器に移っている地名なのであり, それ故に否が応でも頭に残ってしまうのです。恐らく, Aはこの場所に行くことを楽しみにしていたのでしょう。けれども, 電車を逃してしまったことで, 次に往復して帰ってくる電車はそれなりに後になってしまいます。それを受けてか『夜のにおいがした』と, これではその場所に行く時間が夜に近くなってしまうのではないかという予感がする, これを「におい」という概念で表しているのです。


Ⅱ.Aを待つ相手B

駅前喫茶店のブラックコーヒーを一丁前に飲んで君の事待った

:ここで, 突然場面は駅前の喫茶店場所に移ります。この時, 先程のAの時間軸と同じ時間軸であるとしたとき, 喫茶店にいる人物をBとします。まず, 『ブラックコーヒーを一丁前に飲んで君の事待った』というところから, このBはブラックコーヒーを飲むことを一丁前と捉えており, 普段からブラックコーヒーを飲みなれていないことがわかります。

 また, 普段から飲み慣れていない人がコーヒーを人を待つ時にわざわざ飲む意図として, 「飲み物に手を付ける回数を少なくするため」ということがあったことが考えられます。
これは喫茶店を使う受験生が稀にする(と私が聞いたことのある)行為で, わざと自身の苦手なブラックコーヒーを注文することで, 注文したものがそれ1つであってもあまり手を付けないので,  安価で長時間を乗り切ることができるというものです。

この歌詞の部分はこの事象のメタファーであると捉えたとき, 今からくる相手はなかなか来ずに, Bは長時間待つことが推察されます。

 ところで, ここで注目してほしいのは冒頭に出てきたAです。Aは何かしらの目的があったために目的地へ行こうとしたのだから, 何かしらの動機づけが必要なはずです。そこで, この人物Bを設けたことで, この時点で, AはBと駅前の喫茶店で待ち合わせをしているという構図が作ることが可能です。(以下の歌詞の流れから, それが自然であることが分かると思います。) 

 Aは予定通りにつくことが難しくなったため, 長い時間そこでBは待っていなければなくなる。そのため, Bは苦手なブラックコーヒーを頼んだのでした。

Ⅲ.Aの期待

改札を抜けたならなにを話そう
ダンダンダンダのリズムで胸が高鳴ってる

:ここからは, 先程のA,Bの構図がある前提で話を進めます。
今度は, 『改札を抜けたならなにを話そう』というところから, 改札口を出ていない人物, つまりAに戻ります。Aは改札を抜けた駅前の喫茶店にいるBと何を話そうかと思索に耽っている様子です。

 さらに『ダンダンダンダのリズムで胸が高鳴ってる』と, 一瞬理解不能ともとれるこの「ダンダンダンダ」ですが, 彼が電車に乗れたと仮定すると合点がいきます。この音とは, 電車の走行時に出る音。つまり電車に揺られながら, Bに会うことに対して, 胸の高鳴りと電車の振動音が重なって聞こえてしまうほどに思いがこみ上げたということです。


Ⅳ.すれ違う2人の気持ち(サビ)

ロンドン、香港、タリン、アスマラ
ウィーン、ドーハ、リヴァプール
海を越え君とふたりで行きたいね Oh yeah

:サビからはまた状況が変わります。これもA,Bに関連する事項であると考慮するならば, サビ全体を一場面と捉えたとき, AとBはすでに合流しています。そして, AかBのどちらかが, 二人で海外旅行へ行くことへの期待を語っている場面と捉えることができます。


高円寺、中野、吉祥寺、下北
欲張らず君とならどこへでも
バイトなんかもうしてらんない

 サビの後半では, サビの前半の海外の地名に対して, 対を成すかのように東京の地名を挙げられています。ここで, A・Bの性格を再度振り返ってほしいと思います。Aはとてもおっちょこちょいな一面はありますが, Bと会えることをとても楽しみにしています。Bはそれに対し, 長時間を安価で忍ぶところから, とても理知的ではあるものの, ブラックコーヒーが苦手という少しかわいらしいところもあります。ここで, 彼らの性格的な部分に着目すれば, 自然とAとBは対称的であることがわかると思います。

 この点から, サビ前半を一方が語っているものだとしたら, この後半部分は対照的な性格を持つもう一方, さらに, 都会からさほど離れていなく, 財布から出るお金も多くならなそうな東京のスポットを挙げている点から, これはBであることがわかり, 前半部分の海外旅行の夢を語っていたのはAであったことが分かります。

 ここで, BはAといることが何よりもよく, 一緒にいる先がどこであろうと関係ないという思いを『欲張らず君とならどこへでも』とAをなだめる口調で言います。また, 海外旅行の旅費を貯めるためでしょうか, Bはアルバイトをしていますが, 取り敢えずAと一緒に居たいというBは『バイトなんかもうしてらんない』と言います。

Ⅴ.夜の東京で散歩デート

東京の街のネオンライトは
まるでミラーボールみたいでしょ?

:はたまた場所は移り, 東京の街が舞台となります。また, ここでもA,Bの設定を持つと, 二人は無事に待ち合わせをすませ, Aが海外旅行への期待を膨らませ, それに対し, Bは対照的に東京の地名を列挙し, 場所よりも2人でいることの重要さを暗に伝えた後に, 東京の街で散歩をしていることになります。また, 調子が語り調なところから, A,Bのどちらかがこの部分は述べていることが分かります。

 ここで, 一つこの部分の考察を始める前に考えたいのですが, まず「一度意見が対立しても, そのままの状態で二人で散歩とすんなりなるのか」 ということです。この点を鑑みると, サビの後半部分はBの心の中でつぶやく独り言であった場合, 納得がいく展開となると思います。

 このように捉えることで, BのAとは一緒にいることには嫌ではないものの, 上手く自分の思っていることを言えないという新たな人物像ができます。

 さて, 本題ですが, 『東京の街のネオンライトは』からわかることは, 主に2つです。まず, 使われている街という漢字から, ここはAが冒頭で目指していた目的地, 眺めていた場所であることが分かります。2つ目に, ネオンライトがもうこの時すでに使われている時間帯なのであるから, Aの予感が当たり, 夜になってしまっていたことがわかります。さらに, このネオンライトの様子を『ミラーボール』の煌びやかさに例えているところは, 多くの人が踊り狂うバブル期のクラブ・ディスコを彷彿とさせます。

Ⅵ.商店街での妄想

ダンス・ダンス・ダンス  ダンダランランラン
 鼠も踊る
弧を描くエル・オー・ディーで商店街は僕らのものになる

:ここからは, ミラーボールという言葉を受けての, AまたはBの妄想の世界になります。まず, ここで踊っているダンスとは, 社交ダンスであり, その根拠として, 『弧を描くエル・オー・ディー』がある。ここでいう『エル・オー・ディー』とは, 通称ライン・オブ・ダンスという, 踊る時の方向のことを表す社交ダンス用語の一つとして知られています。これは, フロアを時計と反対方向に踊り進む社交ダンスの一種であり, 『弧を描く』とは文字通り, 反時計回りに踊り進むことを表しています。このように捉えるうと, 『ダンダランランラン』もフロアで鳴っている音楽の音と解釈できます。

 つまり, 彼らが中心となり, ネオンライトというミラーボールの光を受けて, 東京の路地裏の鼠さえ踊ってしまうほどに煌びやかなダンスを二人で踊る様子を想像しているのです。

Ⅶ.商店街で再び旅行の話に(ラスサビ)

トロント、バンコク、チュニス、ワルシャワ
北京、パリ、マドリード
海を越え君とふたりで行きたいね Oh yeah
笹塚、三茶、阿佐ヶ谷、新代田
欲張らず君とならどこへでも
今夜、君を抱きしめたい

:散歩をしているうちに喫茶店でも話していた旅行の話に再びなります。ここでもAは夢の海外旅行に多くの期待を寄せている様子が分かります。
対して, Bはやはり場所を厭わず二人でいることが重要であることを心に思い, 海外旅行に行く時ではなく, もう今夜にでも君を抱きしめたいと, Aの夢に耳を傾けながら, 悶々と心に抱えるのです。そしてA,Bの世代ではトレンドとなっている海外旅行に執着する必要はない, 関係ないのだ。と心の中でBはつぶやきます。


3.タイトル考察

 さて, ここまでを振り返りなぜ曲のタイトルが愛しているを意味する中国語の『我愛你』(I love you)なのかについてです。私が考えるに これは中国語の「愛している」のニュアンスに起因するのではないかと分析します。
 中国語において, 「愛している」の意を持つ『我愛你』は単に愛している人へだけではなく, 交際する前の人から家族などと, 対称の幅がとても広いのです。
 今回のA,Bの関係を仮にカップルと置いてみると, その二人の気持ちは確かに「愛している」です。しかし, 彼らの「愛している」にはどこか差があり, とても日本語の「愛している」で一括りにできないほどである。そのため, 日本語よりも幅広い意味を持つ中国語の『我愛你』を用いて, 同じ愛で愛し合うということの難しさを表現しているのではないかと感じました。


4.後記

 もし最後まで読んでくださったのなら, 本当にありがとうございます。

あくまでも私なりの解釈ですので, これが正解というわけではございません。ですが, 皆さんの音楽の楽しみの幅を広げられることが出来たら幸いです。

ありがとうございました。  @a_un_a

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