4/19 イクリプス前日
寒くて目が覚めて外に出たら琢磨に朝焼け散歩に誘われ、リョー君みずほちゃん、琢磨、モモちゃんとビーチまで歩いて行った。相変わらずの美しいグラデーションの中、限りなく薄い月が浮かんでいた。いよいよ明日のイクリプスに向け姿を消そうとしている。通常見ることのできない新月の姿をはっきりと見れるのはイクリプスの時だけ。明日その姿を見せてくれることを期待してじょじょに肉眼で捉えるのに限界になった細い月に別れを告げた。
テントサイトに戻ると太一君は貫徹でプログラミング設定をしていた。そして明日の11:28に起きるイクリプスに向け、同じ時刻にリハをする準備をしていた。日差しが真夏のようにジリジリと暑く、タープの影から出ることができない。その炎天下、太一君とモモちゃんは10時くらいからリハのセッティングをし始めた。赤道儀の設定がかなりシビアらしいく調整に時間がかかるようだ。自分は望遠はスチルのみなので、手動で追いかけて撮るので特にリハの必要はない。
オージーの言い回しで「Still nice」という言葉が使い勝手がよく、「まだいい感じよ」「Take it easy」タイ語だと「マイペンライ」的なニュアンスか。ポジティブでゆるい良い言葉だ。Still nice~so nice~too nice のような段階的nice活用を旅中に交わしていた。
準備している最中に、地元のテレビ局が取材にやって来た。こんな僻地に日本人が何人もいて、望遠鏡のようなカメラを何台もセッティングしているのでインタビューしに来た。その場にいた琢磨が取材対応をして、ここまでイクリプスの撮影をしに来た経緯やらを笑い取りつつ受け応えた。今夜九時のニュースでオンエアされるとのこと。
昼過ぎにテント、タープを撤収して一人50ドルを払って基地を後にした。
スーパーで買い物してまたロケハンに出た。
途中のビーチで太一君とリョー君みずほちゃんが波に乗ると言うのでビーチからその姿を撮影した。地元の若者達の憩いの場のようで10代くらいのサーファー達が青春を謳歌していた。
その後いくつかの場所をロケハンし、最終的に道を挟むように2体の巨大蟻塚が構える広大なエリアで600mくらい先には高さ100mほどの赤茶けた岩山が連なっている場所に決めた。
広角の動画を撮るにあたって何を入れて太陽を撮るかが悩ましく、カメラ片手に岩山に向かって歩き出した。所々にぬぼーっと立っているカンガルーがいるが、夜あれだけいるのに昼は滅多に見ない。この何もない荒野のどこに隠れているんだろうか。
岩山に近付き、ファインダーを覗きつつ構図を考えてみるが、何せほぼ真上に近い位置でのイクリプスなので20mmのレンズでもギリギリ。
岩山を登って平らな頂に立った。あまりにも静かで怖いくらいだ。1km近く離れた車の横にいるリョー君たちの会話の内容まで聞こえた。そのずっと先には海が見え、太陽の光を反射させキラキラと輝いている。果てしなく広い大地を眺めあらためてオーストラリアの僻地まで来たことを妙に実感した。
基地まで戻りやはり広角で狙うのはこの場を象徴する蟻塚を入れて撮ることにした。
夕方にはまた真っ赤に染まる夕焼けが現れる。東京に住んでると年に一回見れるかどうかの見事な夕焼け朝焼けが毎夕毎朝見れる。夕焼けのピークが過ぎても西の空には1時間くらい赤みが残る中、出番が待てない星空が現れ始める。なんとも美しい夕焼けと天の川の共演。
夜は満天の星空を眺めながらワイン飲みつつ旅話。最後は車内で寝かせてもらった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?