U-NEXT 『Somebody Somewhere シーズン3』鑑賞中。
タイトルどおり「どこかの誰か」の物語。特別な誰かではなく、どこにでもいそうな中年女性の日常を描いたドラマ。コメディの分類になっていたけど、笑える場面だけでなく、泣ける場面もあるし、とにかく心が温まるドラマ。
主人公のサムはメンタルをこじらせた、かなりふくよかな白人の中年女性。面倒くさいタイプだけど、どこかいじらしく、観てるこちらはだんだんと彼女の幸せを祈る気持ちになる。
母親は施設に入っており、父親も仕事か何かで不在、離婚したばかりの妹とも別々に暮らしている。少し前に仲の良い姉をなくし、心の傷を抱えているけど、何とか日々を生きている。
1人暮らし、40代のサムは定職もなく、妹のビジネスを手伝い、実家を人に貸して、何とか食べられるくらいの日々。時にはどうしようもない孤独に襲われて、大泣きしたりする。なぜこんなやっかいな人が愛おしく見えてくるのかは不思議だが、多分自分の感情にとことん正直だからなのかな。家族や友人達にも自分のマイナスの感情を隠さない、人間らしいところが妙にかわいくて面白い。
周りを取り巻く友人達もなかなかの変わり者揃いだが、ゲイの親友のジョエルとのやり取りが本当に微笑ましくて、2人の間には恋愛ではない何かしらの大きな愛を感じて嬉しくなる。
妹のトリシアともシーズン1ではギスギスしていたけど、シーズン2でトリシアが離婚した辺りから、2人の関係が少しずつ変化して、今回のシーズンでお互いを思い合う姉妹の様子が描かれ、まさにシスター・フッド!とこちらもほっこりする。
「どこかの誰か」を描いたこの作品では、どの人も持つ心の動きの複雑さや、人間関係の面倒な部分や素晴らしい部分がきめ細かく描かれている。そして、何かしらつらいことを抱えていても、人と支え合って生きることで、何とか前を向こうと頑張る主人公サムに共感する。
みっともない自分のありのままを受け入れてくれる友人や家族がいることは本当にありがたい。そして何より、この普段は冴えないサムが実は歌がめっちゃ上手くて、たまに出てくる歌のシーンの時のサムの歌声や生き生きとした表情が本当に素晴らしいこと。それがこのドラマのアクセントになっている。
シーズン3で終わりらしいから、毎回噛み締めるように鑑賞している。何気ない日常に沢山のドラマがあり、人生はやはり素晴らしいと思える。そして、私もサムみたいに心に沁みる歌が歌える日が来ますように。