棒と玉の話

今日は先輩方とバイト終わりにビリヤードに連れて行ってもらった。もう何回も連れて行ってもらっていてとても楽しみである。しかしその反面不安もあった。

それはみんなの気持ちである。先輩達は「バイブス」と呼んでいる。なんそれめちゃ陽キャですやん

「バイブス」はコントロールが不可能である。この無形の概念のせいで私達の計画は何度も崩されてきた。

この「バイブス」とは簡単に言うと、やる気である。例としては、ビリヤードに行きたい気持ち、この行きたい気持ちが高まると「バイブスが上がってきた」などと使えば間違いはない。本当の意味はよく知らないが多分こんな感じだと思う。誰かググって。

私達のバイトは19時〜24時という5時間ある。この5時間のどのタイミングでビリヤードに誘うとみんなの行きたい気持ちを持続させつつ、ビリヤードに行くというところまで持っていけるか、これがとても重要なのである。

この前は21時くらいにビリヤードに誘い、その時はみんなとてもバイブスが上がっていたが、23時30頃には1人を除いてバイブスは急降下していた。その日は何か良くない空気のままビリヤードには行かず普通に解散した。

そんなことはもう繰り返したくない。それどころか普通に今日はもうビリヤードをするバイブスだ。なんとしてもみんなで行くしかない。そうM先輩と誓った。

今日のバイトの人数は私と先輩3人だ。4人全員のバイブスをいい感じに上げないとオールでビリヤードは叶わない。今のところ私とM先輩の2人はいい感じにバイブスが右肩上がりである。残りは2人だ。

まずはJ先輩に提案した。「ええよ。」二つ返事でオッケーをもらうことができた。「持ち方を変えたから今日の俺は強い」などと言っている。バイブスを自分で上げてくれている、素晴らしい。この調子ならバイト後まで下がることはないだろう。

問題はI先輩だ。基本的に乗り気なのに急に乗らなくなることがある。これは誘うタイミングが大事だ。1人でも欠けようもんなら行くことは叶わない。慎重に行かねば。

結局、誰がいつ誘ったのか、I先輩もとても乗り気で行くことが決まった。一方で、J先輩はバイト後の夜ご飯がすき家であることに不満を漏らしていた。なんでも前日も食べたらしく、2日連続ですき家になるらしい。

いやそんなこと知らん。車を出してくれるJ先輩だが、優しさを向ける人は誰もいなかった。そんなことでJ先輩のバイブスが下がらないことを皆知っていたからだろう。J先輩のバイブスはとても安定感がある。オードリーが壊したIKEAの椅子くらいなかなか壊れない。バイブス低下の不安もなくみんなで意見を無視してすき家に行った。ところでIKEAのあの椅子を逆に壊れないことの例に使うの我ながらセンス良いな(うるせえ)。

J先輩はすき家では確か鰻丼を食べていたと思う。ささやかな抵抗を感じた。

結局、オールでビリヤードとダーツをした。ネカフェの番人みたいなおっさんに騒ぎすぎて舌打ちをされたりもした。賭けでは私の一人勝ちだった。そのおかげで、お金は飛ばなかったが、その日の1限と2限は飛んだ。

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