クロノ・トリガーをクリアした感想
神ゲー愛好家にとっての登竜門。このゲームの存在なくして神ゲーは語れない!伝説として名高い『クロノ・トリガー』をクリアいたしました。
『FF』の坂口、『DQ』の堀井、そして鳥山明が手を組むというクロスギルドもびっくりなドリームプロジェクトによって作られた本作。これが神ゲーでなければ何を神ゲーと言う!
今回はプレイ日記の形式でいこうかな、と思ってはいました。初見プレイ時の情動や衝動をキーボードに叩きつけることは絶対面白い。ただ、時間がよりかかってしまうし、写真もいちいち撮らなきゃいけないしで、結局いつものクリア後に記憶を掘り起こしながら書いたまとめ記事でございます。ネタバレ満載なので気をつけてね!
すっげぇヌルヌル動くぞ!
まず一番に度肝を抜かれた部分です。ムービーではまじで普通のアニメのようにキャラが動く。毛ほども作画崩壊していない。主人公クロノは『DQ』を無口主人公タイプですが、ムービーではとても生き生きとしていたのがかなり印象的。
そしてドット絵の動きも末恐ろしい。戦闘アニメーションの完成度は言わずもがな、地上マップのキャラ達もとにかく表情豊富。笑う、悲しむ、驚くといった感情表現も完璧なんです。ドラクエを優に超えている。
『DQ』と『FE』の良いとこ取りな戦闘
私は『FF』を遊んだことがありません(家にあったFF5の攻略本をひたすら読んでいたので魔法やボスを少し知っている程度)。そんな根っからのドラクエ育ちの私は、FFのリアルタイムで進行する戦闘が少々ハードル高ぇと思っています。逆裁でじっくり考えることに慣れてしまい、ロンパの学級裁判に苦戦したように、戦闘とは熟考するものだという考えが当たり前になっています。
今作の戦闘は『FF』寄りではあるのですが…「ウェイトモード」というまさに私のようなプレイヤーを見越しているような補助機能があるんです。それは「技」や「アイテム」欄を選択しているときは時間が流れない、というユースフルなもの。これのおかげでボス戦で「最大の敵はシステム」という事態に陥ることもなく、お気楽に『FF』の戦闘を体験することができました。
ドラクエの戦闘に欠点があるとすれば、それは単調気味という点です。今作は戦闘画面に移行するというよりか、マップ上の地形がそのまま戦闘の舞台になるので、例え同じダンジョンでも戦闘ごとに違った感覚を味わうことができるんです。飽きねぇー。
総じて、戦闘に関してはこれ以上ない出来だというのが私の感想です。なんやかんやゲームで最重視している点は戦闘なので、これには高評価の嵐を巻き起こさざるを得ない。
時空を交えたシナリオ
このゲームは「過去改変」が大きな要素の一つです。「中世では強欲な家庭に無償で施しをすると感激して、その子孫は現代では無欲な人格者に変わっている」「事故で足を失った母親を救うために、成長したキャラが過去に戻って事故を防ぐ。その結果、母親は歩けるようになる」といった具合に、本編を進めるために、または仲間の悲しい過去を変えるために過去と未来を行き来する物語は、ただ言われるがままキャラを動かすだけにとどまらずプレイヤーに頭を使わせる仕上がりになっていて、新感覚でした。
ちなみにタイムパラドックスに関しては作中で殆ど触れてこないので、矛盾がどうのこうのと気を揉むのは意味ないです(笑)割り切るのも必要よ!
敵キャラをもう少し丁寧に
アザーラのような見事な散り際で敵ながらも深い印象を与えるキャラもいますが、終盤に出てくるダルトンとジールに関しては、倒しはしたんだろうけどなんか釈然としない、という感想です。
ダルトンは今作で初となる負けイベの敵であり、プレイヤーは何としてでもぶっ倒したいと思ったはずです。しかし、再戦するにつれて…ここに書くのさえアホらしい間抜けな言動を繰り返していき、なんか気勢を削がれてしまいました。それでいて幾度も主人公サイドを邪魔する人物なので、打倒心だけは募っていくんです。
しかし、ギャグキャラである以上、偽大臣のように倒して胸スカで終わる訳はなく…馬鹿みたいなことをして勝手に退場(しかも、死んだような描写はない)という、決着もつけられずモヤモヤしたままストーリーが進行してしまいます。ギャグ全振りなら良かったんだよ、ただこいつは割とウザいことを繰り返してきたからこの手でブチ殺さないと気が済まないというのに…。
もっと酷いのはジールです。滅びを呼ぶ存在ラヴォスに魅了され、家族の言葉にも耳を貸さないまま不老不死を望む邪悪な人間へとなってしまいます。
心優しい娘であるサラを無理やり酷使させ続け、良識人の三賢者やサラの弟ジャキを時の彼方へ左遷する暴挙を続け、ふつふつとプレイヤーのヘイトは高まっていきます。
『火の鳥』の卑弥呼を彷彿とさせる造形ですが、なんと卑弥呼のような因果応報な末路が描かれることはありません。最終的にラヴォスと同化?した形態を倒すと、断末魔も懺悔の言葉も命乞いもなく無言でフェードアウトしていきます。最早死んだのかすらわからないレベル。ヘイト管理がお世辞にも上手いとは言えないですねぇ。
・娘のサラ、息子のジャキにも劣る魔力
・昔は心優しい人間だった
・苛め抜かれてもなおサラは母を想っていた
こんだけ要素がばらまかれていたんだから、嫉妬心からラヴォスに手を出した、最期に今までの行いを償い家族を想って逝く、という小話を入れる余地はあったんじゃないかなぁ。このゲームはマルチエンドなので、ほかのエンドでこういう展開があるのかもしれませんが。全部は回収しきれてないのよ…。
終盤のサブイベントで気になった点
仲間が増えてくるごとに、一人一人の出番が減ってくるのは当然だけど、少し寂しいとも感じてしまう。しかし、終盤は仲間一人一人に焦点を置いたサブイベントが用意されていて、キャラの魅力を追体験することができます。
ボリューム抜群のマールイベから、クロノ・トリガーで最も有名ともいえる"あの"ルッカイベなど、どれも面白いのですが、「魔王」のイベントに個人的に気になるところがありました。
魔王イベントは、中世時代に手下だった魔王三大将軍のことが気になった魔王が、逃げ延びたビネガーの拠点へ行くというもの。
この時点でなんか違和感が。家来の目的は人間界制圧ですが、魔王の最終目的はラヴォス討伐。つまり魔王は手下を体よく利用していたという裏切り者です。そんな彼が何故いまさら手下のことが気になるのだろう…。
ビネガーの館で待つ将軍たちは剣を向けます。自身を慕っていたマヨネーからも罵倒され、戦闘が始まります。
一体どんなエピソードが始まるのかと思いきや、なんと将軍たちを倒すだけで終わりというあまりにも拍子抜けな内容。魔王はまじで一切喋らないので、まじで何しに行ったのか理解不能で、存在意義が不明すぎるイベントのように感じました。
各キャラへの所感
主人公
シャイニング。相手は死ぬ。
悟空ではありません。クロノです。無口型主人公だけど、戦闘後のガッツポーズやシルバードを見た際のワクワクっぷりを見るに熱血タイプなのでしょう。
「主人公が死ぬ作品」でクロノ・トリガーの名前が挙がっているのを見たことはあるのですが、まさかああいう形だとは。ネタバレを受けたようで受けてなかった。
さすが主人公、戦闘では物理も魔法も蘇生もこなせる超万能キャラとして活躍します。仲間と連携するもよし、一人でガンガン攻めるもよし。雷属性ではなく天属性です。
マール
全体魔法も覚えてください
クロノたちが暮らす国の王女でありメインヒロイン。ルッカと同じく魔法タイプですが、彼女と違って回復もできるので、パーティには必須のキャラ…とはならなかった。
回復力はすさまじいものがあるけど、単体効果のものしか覚えない。連携技で全体回復を使うくらいなら一人で全体回復が可能なカエルやロボを起用する。
攻撃魔法も、いわゆるメラゾーマ枠であるアイスガ止まりで火力が出ない。主人公やルッカ、魔王はメラガイアー枠まで覚えるのに。仲間の中では一番使いにくいキャラかなぁ…。
ルッカ
大器晩成型幼なじみ
クロノの幼なじみで、クロノより二つ年上の眼鏡っ娘。発明の天才であり、彼女の作品が旅のきっかけです。
魔法が彼女の真骨頂ですが、序盤はMPが惜しいため回復のマール、物理のロボで編成を組む場合がほとんどです。しかし、MP軽減装備を入手し、最強火炎魔法フレアを覚えると、雑魚戦でもボス戦でも大活躍の超優秀なアタッカーと化します。
筆者が一番好きなキャラでもあります。天才であり、自分の能力に絶対の自信を持つお転婆ツンデレ。しかし、科学の道に進んだ理由は「自身が機械に疎かったせいで母が足を失うことになったため、二度とそのような惨劇を繰り返さないように」というとてつもなくシビアなもの。彼女のサブイベントでは母を救うことが可能だけど、この動機を尊重したプレイヤーは二周目ではあえて救わないんだとか。
幼なじみのクロノは大事に思っており、クロノが刑務所に収監された際は衛兵を殴り倒したり発砲したりして助けに向かったり、クロノが蘇生した際は抱きついて泣きじゃくったりもする。グハァ。
普段はオホホ笑いがよく似合う天才発明家だが、実は壮絶な過去を持っていたり仲間重いの一面も見せたりする、ギャップ萌えが服着て歩いてるようなキャラクター。マジで好き。
ロボ
ドットの動きが可愛い
世界が滅んだ後の未来で生まれ、故障している状態でクロノたちと出会う。ロボの目的は人間の抹殺だが、クロノたちと関わって情が芽生えたロボは同じ工場で生産されたロボットたちと決別することとなる。
鈍足物理アタッカーといったところか。全体回復がなければエイラの下位互換だったかもしれない。
工場の仲間からリンチされる、兄妹的存在を自らの手で鎮める、母をこの手で破壊する、400年間砂漠地帯を耕す、など色々とんでもない目に遭ってる苦労ロボ。
カエル
世界一かっこいいカエル
序盤から中盤にかけてのキーマン。魔王(と、部下のビネガー)によって相棒のサイラスを殺され、自身もカエルの姿にされてしまった本名グレンが妥当魔王に向けてクロノたちと共に旅をする、というのが前半のシナリオ。
肝のステータスである素早さも高く、優秀な専用武器に専用アクセ、全体回復も攻撃魔法も可能な万能カエル。終盤もルッカとの連携技などで高火力を出せるので存在感がなくなることはない。クロノが死んだときはカエルを先頭に置いていたので、私の中では準主人公という立ち位置。
エイラ
ずっと強い
原始人であり、運動性能は半端じゃない。初めて仲間になったとき、その火力の高さに驚いたことでしょう。しかも「お助けキャラとしての強さ」ではなく終始ほかとは一線を画す攻撃力。そして「色仕掛け」というスキルは敵から確率でアイテムを頂戴するという優れもの。特定のボスから強奪することでのみ入手可能なアイテムもあるとのこと。終始出ずっぱりになること請け合いの強キャラです。
魔王(ジャキ)
黒い風が泣いてる…
表ボス、というよりかラスボスのカモフラージュ的ポジション。ラヴォスを呼び出して世界征服、ではなくラヴォスを滅ぼすために呼び出したがっていたという真実。
彼は古代の人間であり、母であるジールがラヴォスの力に取り憑かれ、反抗した三賢者と共に左遷されてしまいました。ジャキが飛ばされた先は中世であり、そこでビネガーなどを従えつつラヴォスを呼び出す機会を待ち望んでいたのです。
辛い境遇かつ、彼の過去改変は中々難しいね。正規ルートクリア後も姉であるサラの行方は分からずじまい。なぁ、別エンドでは死んだか生きてるかぐらい判明するんだろうな…?
終盤、仲間にするか倒すか選択できるのには驚きました。クロノトリガーの自由性を高める要因の一つですね。戦闘力もやはり魔王を名乗るだけあり高い。全属性の魔法を使えるうえに物理火力も十分で即死魔法まで所持。
仲間になる高性能魔王…。PS版ドラクエ4がクロノトリガーの影響を受けたことは言うまでもないですね(笑)
まとめ
正直、プレイ当初は「発売当時の基準だと神ゲーだったんだろうけど、さすがに30年弱も昔のゲームは今じゃどうなんだろ」と考えてました。
なんとも恐れ多いことを考えてたなぁ、と今では反省しています。現代基準でもずば抜けた完成度であり、きっと何年たっても神ゲーであり続けることでしょう。もはやゲームそのものが時空を超えている。
まぁ、キャラデザは鳥山節がガッツリだし、随所で挟まれるギャグが寒いって感じる人もいるだろうし、多少は人を選ぶ作品だと思うと同時に全方面に勧めたい作品ではないです。しかし、自らこのゲームを手に取った人は間違いなくゲームクリアまで楽しんでプレイできることでしょう。そして、そういう人たちとこのゲームのすばらしさを分かち合えれば十分だと思っているのです。
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