1年経った今でも新章ヘルヴォル編のクソみたいな結末に苛まれている【閲覧注意】

 ※ラスバレのストーリー「新章ヘルヴォル編」の不満について延々と書きなぐる記事です。まず間違いなく読んで楽しいものではありません。
 ここから冗長な文章が続くので、要点だけ知りたい方は「おわりに」だけ読むことを推奨します。

新章ヘルヴォルとは

 本稿でいう「新章ヘルヴォル」は、2022年2月~2023年7月の期間に配信されていた「慟哭のクリューサーオール」「悪蝕のナイトメア」「灼炎のエニグマ」「竜楯のコンフリクト」「竜のシャナと楯の乙女」「深炎のスキャルドメール / 覚醒のスキャルドメール」のイベント群のことです。

 これらのストーリーはすべて繋がっていて、公式からも長編シナリオ第一弾という表記がされています。

 それまでイベントは一話完結のシナリオでしたが、ヘルヴォルの箱としては初となる長編ということもあり、「慟哭」がリリースされた時は、新キャラの登場も相まってそれはそれは盛り上がったものです。

 そんな期待のイベントが、まさかラスバレどころか人生でもトップクラスに不快なストーリーになるなんて夢にも思わなかった。

問題点1 ヘイト管理

 新章ヘルヴォル編のキーパーソンであるLGクエレブレ。その隊長である松村優珂は「慟哭」で初登場したけれど、彼女に対する第一印象は最悪と断言できるほど酷かった。

 悪評の原因である初代ヘルヴォルと同じような戦い方をすることに躊躇いを見せない。一般市民の命を軽んじるようなエゴイズム。不必要な煽りでヘルヴォル&画面の前のユーザーの神経を逆撫でる、などなど。

 極めつけはこの発言。瑤の身内はまさに逃げ遅れたことで命を落としていて、ノンデリとかいうレベルを超えています。

 「灼炎のエニグマ」でも同様です。突っかかってきては罵倒、果てはcharmを向ける蛮行にすら走る始末。一方の一葉はあくまで分かり合いたいという姿勢で、同士にcharmを向けることも拒む。

 ここまで読んでみれば、客観的に見てどっちが「悪」かは一目瞭然です。のべつまくなしにヘルヴォルをコケにしてヘイトを溜めまくった松村優珂が、何かしらの目に遭ってユーザーをスカッとさせることは誰もが期待したはずです。

 しかし、ヘルヴォル新章を読んだみなさんならご存知の通り、クエレブレがこれまでの行いを悔い改める描写なんて一つもない。逆境に直面して挫折するなんてこともなし。互いとを認め合うこともしない。
   これまでのシナリオで松村優珂に溜まっていたヘイトが消化されるイベントは、何ひとつとして用意されていませんでした。

 別にクエレブレが、松村優珂が極悪人ではないことぐらい最初から予想できたことです。リリィである時点でクエレブレが味方サイドにつくであろうことは「慟哭」の時点で容易に想像できました。

 それでも、松村優珂へ読者のヘイトを仕向けるようなシナリオが長きに渡って続いてきたのに最後まで断罪されることがないというのは、あまりにもユーザーの気持ちを考えていない。

 悪役じゃなければ、主人公を見下し馬鹿にすることも許されるの? とシナリオライターに問い詰めてみたいですね…。

問題点2 後付けの多さ

 伏線が存在しない急展開はただの後付けです。ヘルヴォル新章の後半は、辻褄合わせや「残酷な真実」を作りたいがための後付けが多いと感じました。

瑤と千香瑠は強化リリィ

 「深炎」で明かされた残酷な真実。実は藍と一葉だけでなく2人もブーステッドリリィでした。なんと瑤様に至っては中等部の頃から強化リリィだったのだ!

 この設定が本当に必要だったのか、そもそもリリース初期から存在する設定だったのか、甚だ疑問です。

 中等部からということは、瑤様はヘルヴォル最初のイベストである「叛逆」時点からずーっと強化リリィだったということですが、実は強化リリィじゃないか? と考察できるような描写は全編を通してひとつもありません。千香瑠様も同様です。

 OPや色々なイベストで匂わせが用意されていた一葉は、初期からブーステッドリリィである設定だったのでしょう。しかし、瑤様と千香瑠様はついでって感じで強化リリィにされてるとしか思えないのです。

 伏線もなければ、深掘りをして設定に向き合う気概もないんじゃ、とりあえず残酷な展開作ったろ! という作り手の投げやりな思考が透けて見えるような気がします。

クエレブレの戦い方

 なぜクエレブレは世間から反感を買っていたかというと、周囲の建物の被害を顧みない戦い方をしていたからです。
 そんなぁ、巻き込まれる住民がいる可能性を度外視して派手な戦い方をしているLGが実は良いレギオンなんてことはあるのか? 当時は真剣に考察していたものです。

 何も問題ありませんでした。何故ならクエレブレのハチャメチャな戦いはすべてゲヘナの研究施設を破壊するためだから。施設が存在しない区域では無闇矢鱈な戦いは控えていたのです!

 …この描写を完結編の前に挿入することはできなかったんですかね。

 今までクエレブレを推理するピースには悪事しかなかったというのに、クエレブレ=善を証明するターンで「実はこうでした」と説明されても、強引すぎる辻褄合わせでしかないでしょう。

問題点3 すべてを赦されたクエレブレ

 前述した通り、悪人として振舞っていたクエレブレは裁きを受けることはなく、ヘルヴォルの面々もそれを受け入れています。
 なぜかというと、クエレブレの行動には真意があるから。初代ヘルヴォルのような傲慢だけで構成されたレギオンではないから。独自の正義を貫く良い人たちだったから。

 という風にイベストでは扱われていますが、彼女らを赦すには到底納得できない点がこれでもかというほど存在する。「どう落とし前をつけるんだろう」と思っていた箇所が補完、弁明されることなんてなかったのです。

研究施設の破壊による被害

 クエレブレの目的はゲヘナの実験に苦しむ強化リリィやマディックの救済です。公に研究所を破壊したら怪しまれるので、戦闘に紛れてぶっ壊すことが校長&クエレブレの目標ということになります。

 …この説明だけで「そうなんだ! クエレブレすごい!」となるような人間にとっては、ヘルヴォル新章は紛れもない神イベなんでしょうね。

破壊工作による一般市民の被害は?
人々の住処も目的のためなら犠牲にするのか?
研究職員は殺しているのか?

 不可思議な点だらけなのに、ストーリー中ではまるで説明が放棄されていることが片腹痛い。

 公式が不親切なので、今までのストーリーから考察していきます。

 市民の避難は考慮しているようですが、逃げ遅れた奴のことなんて知らないのだと。やはり正当な行いとしてカウントすることはできません。
 まぁこの返答も悪役を演じるためといえばそれまでなんですが…。

 ヒールを演じるため、施設の破壊が狙いだと気づかれないため。この2つの目的のためにクエレブレは余計な破壊を生む戦いをしています。
 いくら市民の避難が完了したとして、人々の暮らしを奪っていることは紛れもない事実として描写されています。この時点で、クエレブレの行いが100%の善行ではないことは明らかです。

 最後は人命についてですが、これは明確な答えが描かれていました。

 ゲヘナの人間が巻き込まれても知ったことではないという方針であり、実際に「エニグマ」ではヘルヴォルが乗り込んでいなければ命を落としていたであろう職員が描かれています。

 もう結論が出ましたね。クエレブレの破壊活動は、目的を遂行できる一方で市民の暮らしと(敵対しているとはいえ)人間の命を奪う可能性がある、功罪相半ばする行動なのです。
 だのに、悪い側面があるということに誰も向き合わないし指摘もされない。葛藤や苦悩や批難が何も描かれないのはいかがなものか。都合の悪いことには目を瞑っている時点でクエレブレを普通の善として見ることなんてできません。

瑤を見殺しにした校長と松村優珂

 ガーディアンスーツがヤバい代物だということを松村優珂は知っていました。命を落とすものだと知っていながら観察を決め込んでいました。報告に対して校長は心配する素振りを見せません。

 こんなのクエレブレと校長は崇高な目的のためなら、同じ学園のリリィだって見殺しにする奴らだという描写以外の何物でもありません。
 しかし、この場面の弁明もなければ裁きも皆無です。有り得ない。クエレブレのファンがこの場面に対してどう思っているかが気になるところです…。

まさかここで助言をしているから無実だなんて言う人はいないでしょう…。

ヘルヴォルに対する態度

 ヘルヴォルが崩壊した理由は教頭による細工が第一ですが、クエレブレ&校長に対する疑心が増幅したことも大きな要因だと思っています。

 一葉たちは平和主義であり、クエレブレ側の行動に否定的でありつつも話し合って分かり合いたいと思っていました。

 相互理解の姿勢に黙秘で応えたのも、対話を拒んで刃を振るうのも全部クエレブレの方です。こちらは敵対することを良しとしないのに、クエレブレは目的遂行のための一点張りで、どこまでも不遜な態度をやめません。

 秘匿せねばならない目的だから? いやいや、なぜ何もかもクエレブレ中心なんですか? リリィ同士で不和を生成しているのも、秘密主義で疑心を生んでいるのもクエレブレが悪いのに、彼女らの意思ばかりが尊重されるのはなぜですか?

 トドメに、実験が進んだ段階での出来事です。一葉の疑心が頂点に達するわ再び幻覚に襲われるわという絶望的な場面。

 それまでの困難を絆の力で乗り越えたヘルヴォルが抗おうとするも…。

 クソ女共が余計に割り込んできたがために、この後は知っての通りでした。
 散々見てきた「クエレブレ(松村優珂)ムカつくー」の描写は、鳴りを潜めるどころか蒔菜と結爾の参戦によって3倍アイスクリーム。ガチでどこを読んでもヘルヴォルを見下す場面しかなくてとんでもなく不快。

 画像を散りばめすぎましたが、敵対する気など毛頭なかったヘルヴォルに対して突っかかってきたのはクエレブレの方です。
 魂胆を明かさないくせに、煽りとともに介入を続けてきたクエレブレはヘルヴォルの邪魔ばかりしているといえるでしょう。

   悪いことをしたら成敗されるべきだって、幼稚園児でも知っていることがなぜできない?

エレンスゲの評判を下げ続けている

 クエレブレの思考回路としては「名誉なんてどうでもいい。クエレブレの評判が地に落ちようが正義を貫くまで」というものです。想像通りリリィから反感を買っても、正義執行の為ならば嫌われても…という気概です。大変かっこいいですね。

   ただ残念なことに、評判が悪くなるのは学園そのものなんですよね。私たちが汚名を被るだけで済むなら…! と揚々でいながら無自覚でエレンスゲに後足で砂をかけているのが現状だと判断できます。 

 ヘルヴォルは利己主義な学園のやり方と、初代ヘルヴォルの評判を変えるべく立ち上がったということは「叛逆」で描かれています。

 一葉たちの戦いが徒労に終わることは明らかですね。クエレブレがいる限り、エレンスゲの評判が回復することはないのです。

問題点4 ヘルヴォルの尊厳破壊

 鬱展開が許されるのは、最後に希望を見出す展開が用意されているからです。キャラクターをひたすらに苦しめてエクスタシーを感じるのはただの二次創作です。

 ではここで、「慟哭」から「覚醒」まででヘルヴォルが受けた仕打ちや明かされた真実を列挙してみましょう。

  • スーツの効果により精神破壊されかける瑤様

  • 投薬により精神破壊されかける千香瑠様

  • 松村優珂からcharmを振るわれる一葉

  • 協力者と思っていた教頭に裏切られる

  • 一葉は教頭の実験により作られたゲヘナの傀儡

  • 「叛逆」でヘルヴォルを指名した人選もゲヘナに仕組まれていた

  • 瑤様と千香瑠様が強化リリィにされていた

  • 日の出町の惨劇で本物の一葉を巻き込んでいた恋花様

  • 「精神崩壊を引き起こす」実験に巻き込まれた恋花様

  • 壊れていく仲間を止めることができずに絶望する藍

いくらなんでも酷すぎる。ここまで来ると悪趣味の領域です。

   最悪なのは、一葉の思考もゲヘナによって都合の良いものであり、一葉によって集められたヘルヴォルはすべて仕組まれたものでしたという、後付け&過去の名話を茶番にする悪魔の所業です。

 なんていうかさ、「深炎」のライターは暗いものを書きたかったんだろうけど、別のライターが手掛けたストーリーを改変するのは人としてどうなんだろうって思っちゃう。「叛逆」のライターがどんな気持ちであの場面を作ったのかも知らないで、自分本位の展開の材料にするとか失礼千万も甚だしい。

 鬱展開は「反撃の狼煙を上げるための薪」だからこそ消化できるのです。だから「慟哭」と「ナイトメア」のような地獄のイベストも当時は黙って読むことができたのです。いつかは逆境を乗り越えると信じて。

 けれど、立ち直る展開も既視感満載の予定調和なもので、正直言って全く物足りない。実は強化リリィだった、実はLG結成も仕組まれていたなど過去の感動が無に帰した絶望しか残されなかったです、今も昔も。

問題点5 担当ライターを分けたこと

 ヘイトをバラ撒いておいて解消もさせない管理のおかしさ、理解に苦しむ後付けなどはヘルヴォル新章が複数のライターによって制作されていることも影響していると思います。

 問題なのは松村優珂の言動です。個人的に「慟哭」と「エニグマ」、そして「竜のシャナ」以降の松村優珂は全員別人だとすら感じています。

これが本当に弱きを救うLGリーダーの姿ですか?

 「慟哭」産の松村優珂は、どう贔屓目に見ても「いずれ成敗される小悪党」の言動にしか感じられませんよね。「悪役を演じている」という真意を知ってても、正直カバーしきれないというか…。

 松村優珂がなぜ今までヘルヴォルに突っかかってきたのか。それは彼女が初代ヘルヴォルのマディック消耗品作戦の弊害を受けたので、代目が違えどヘルヴォルというレギオンを許せなかったから。ということになっています。いるのですが…。

 「エニグマ」産の松村優珂は、ヘルヴォルというより2代目ヘルヴォルの「すべてを守る楯」の思想そのものを嫌悪しています。
初代ヘルヴォルが脳裏をチラつくから嫌い、というなら同じく初代を否定する一葉たちが真逆の行いをすることに反吐が出るわけないのです。

 ↑で挙げた伏線や性格は現在ではなかったことになっています。そりゃ初期設定というのは往々にしてガバいものですが、隅々のセリフまで考察の材料にしていたことが馬鹿みたいです。

問題点6 過剰なクエレブレ持ち上げ

 今までの問題点を凝縮して、一言で表せというなら「クエレブレ贔屓がすぎる」です。

 擁護のためなら後付けも辞さない姿勢、一生崩さない余裕ぶった態度、グレーゾーンをすべて見逃してくれる都合が良い世界、対照的に不憫な扱いのヘルヴォル。

 ここの恋花様のセリフは全読者の気持ちを代弁していると思います。あんな見下してくる連中の方が正しいなんて、とはヘルヴォルはもちろん我々も嫌というほど感じていたことでした。

 ここまでヘルヴォルを無下に書いていた割に、こういう心情は理解しているんだなってライターを少し見直したことをよく覚えています。
 だって悔しいなら、多少は報われる展開を書くはずだよなぁ!? さすればヘルヴォルも読み手も多少はスッキリするからなぁ!

間違いなく新章ヘルヴォル最鬱シーン

   そんなことがあるはずもなく、むしろヘルヴォルはクエレブレにまるで媚びへつらうような事までし出してもう意味分からない。

 「ブーステッドやマディックを守るため」この目的があるからクエレブレは正義なんだと、あろうことかライター自身が盲目的になっている気がします。だから一貫して神様クエレブレ様って扱いだった。

ラスバレに限らず「旧キャラが新キャラの踏み台やかませになる」なんてこと、嫌に決まっているでしょう。

おわりに

・挑発ばかりかつ実害も出しているクエレブレが、一切のお咎めがなく赦されたこと。
・「真の目的」にも看過できない点が多いのに、作中で一切触れられないこと。
・杜撰な後付けが多いこと。
・悪趣味としか感じないヘルヴォルへの仕打ち。
・クエレブレのことはひたすらに贔屓。

 以上の問題点から、私はとてもじゃないけどヘルヴォル新章を面白いと思って読むことはできなかったです。

    四面楚歌の状況で現状を変えようと、誰もが認める正しい行いを貫くも困難に直面するヘルヴォルに対して、正しい権力者によって導かれるまま守られるがまま、功罪相半ばする行動に葛藤することも挫けることもないクエレブレ。

 これだけ恵まれた環境で茨の道なんて、ヘルヴォルを見てきた我々からすると鼻で笑いたくなること必至です。敷かれたレッドカーペットを歩むだけのお姫さま集団がダークヒーローだなんて笑わせるな。

 ではどうするべきだったのか、どうあってほしかったのか?

ヘルヴォルと同じ土台に立てば良かったのです。同じ気高い信念を掲げるLG同士、クエレブレも「叛逆」みたいに理想と現実のギャップに苦しめば良かったのです。
 「マディックや強化リリィを救うけど市民や人命は二の次」であることに、人並みに葛藤し苦悩してほしかった。リリィの本分から外れた茨の道を歩むとかいうなら、それ相応の試練を課すべきだったのです。
 彼女たちが直面している“苦悩”は「他の生徒やガーデンから白い目で見られるよ(T_T)」だけであり、切迫感が全く見受けられない。

 別にいいんですよ。市民の生活を軽んじたって。ゲヘナ職員を殺したって。
 ただ、そのような負の側面をまるで無視して誰からも指摘されないまま、すべての覚悟を決めているかのような振る舞いをされては、何もかもクエレブレを良く映したいがためのご都合展開としか思えないのです。

 ライバルLG的なポジションで登場したクエレブレ。けれど、ヘルヴォルの正義とのぶつかり合いなんてものは最初からなくて、ヘルヴォルは哀れな操り人形でしかなくクエレブレと同じラインに立つことすらできていなかった。

こんな代物を「ヘルヴォル編」として提供されて、スゴイ面白い感動した激アツ! なんて言える人いるのですかね。


おまけ

 ヘルヴォル新章を読み終えた当時はすべてを失った気分でした。信じていたもの、期待していたものが消え失せて絶望し、ヘルヴォルという箱を推していたことを後悔すらしていました。

 そこで救いを求めた先が二次創作でした。クエレブレにどうあってほしかったのか、どうあるべきだったのかという理想像を余すことなく書いた作品がこちらです。

 ヘルヴォル新章が大嫌いな人間によるクエレブレの小説を、どうか一読してやってください(*'ω'*)

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