全体思考で視野が広がる!思考法のアップグレード
些細なことでいつも悩んでいた。
仕事で小さなミスをするだけでも、かなり落ち込んでしまっていた。ミスを連発しようものなら、「自分は仕事ができない人間」「周りから無能だと思われている」と何をするにも怖くなった。いつのまにか、ミスをしないことが仕事の最優先事項になっていた。
私がミスを必要以上に恐れていたのは、全体を考えずに、部分を過大評価していたからです。1つのミスを自分の全体の能力と結びつけて、自分にとって大切なことが見えなくなっていました。「ミスしない」が目的になり、本当の目的の達成を妨げていました。
仕事の目的を冷静に考えてみれば、ミスしないよりも、良い成果を出して自らを成長させるほうが重要です。そもそも、失敗をなくすのは不可能ですし、自己成長の機会になるという視点も抜けています。
今回は「部分思考ではなく、全体思考で考えるべき理由と活用法」を紹介します。
私は全体思考を身に付けることで、大切な目的を見失うことなく、自らの成長に集中できるようになり、ストレスや不安が減りました。常に正しい方向に進んでいるという感覚があるので、努力や試行錯誤などの行動も積極的になり、以前よりも楽しく過ごせています。
部分思考でマイナスを増幅させてない?
部分思考は個別的な観点から物事を捉えるので、悪いことが起きるとネガティブが増幅します。
部分思考は個々の出来事から全体を評価するので、短期的で狭い視野に陥りやすくなります。個々の物事に対する解釈をルーペで拡大するようなものなので、感情の激しい波に悩まされます。
部分思考の具体例を見ていきましょう。
仕事:1つのミスで自分には能力がない、周囲からの評価が下がったと思い込む。
恋愛:恋人にフラれたときに、自分は恋愛が上手くいかない、もう良い人は現れないと考える。
人間関係:結婚相手や友達と喧嘩すると、二人の関係は終わりだと思う。
部分思考では小さなことでも重大に感じられるため、悩みや心配を抱え込んでしまいます。
全体は常に部分に勝る
全体思考を実践する際に必ず覚えてほしいのが、「全体は常に部分に勝る」ということです。全体がなければ、部分は意味をなさなくなります。
全体を優先的に考えるべき理由は以下のとおりです。
全体の生存が一番大事:全体は部分よりも重要です。部分は全体のために存在しているからです。人の体(生命)を全体、体の構成器官を部分として考えたときに、一番重要なのは「人の体」です。全体のために部分を犠牲することはあっても、部分のために全体を犠牲にできません。全体から見ると、部分は全体のためのパーツであり、全体の生存が最優先です。
全体は部分の総和以上である:全体は1+1=2といった部分の総和ではなく、全体が完成した途端に1+1が100にも200にも跳ね上がります。全体は部分から構成されていますが、部分を集めただけではほとんど無価値です。なぜなら、全体が機能するために、部分同士がネットワークを形成したときに強力な効果を発揮するからです。スマホはとてもなく有用ですが、スマホの部品自体は役に立ちません。スマホが機能しなければ、最高級の部品でもガラクタになります。
何事にも波がある:すべての物事にはアップダウンがあります。人生における出来事もアップダウンの繰り返しであり、アップだけを選んだり、マイナスだけを避けたりできません。何事にもトレードオフがあるように、失敗から学ぶことで自分の成長というプラスに繋げられます。物事をアップダウンを受け入れたうえで、人生をより良くするために行動しましょう。
全体最適で考えるほうが、様々な物事のバランスを取れ、大切なものを見失うことも少なくなります。
全体思考で大切なことに集中できる
全体思考は自分だけでなく、問題解決、知識、学習、人間関係などの様々なことに使えます。日常の問題について、全体思考で考えられないかを試してみましょう。
全体思考のメリットは以下になります。
一番大切なことを忘れない:一番大切なことを優先できるので、正しい方向に進みます。自分の進む方向が分かっているので、仕事で家族をほったらかしたり、優越感のためにお金を欲しがったりしなくなります。
問題解決能力が磨かれる:全体を意識することで、個々の相互関係やパターンを理解できるため、根本的な問題を特定して解決しやすくなります。優先順位を把握できるので、正確な判断ができ、意思決定スピードも早くなります。
不安やストレスが減る:日常の細かいことに一喜一憂しなくなります。物事には波があり、全体が長期的な視点で良くなればいいと思えるので、細部に執着しなくなります。考え方に柔軟性が生まれ、不安やストレスが軽減します。
成長速度が上がる:新しいことや難しいことに挑戦できるので、成長速度が上がります。認知科学者のウェイン・グレイ氏らの研究によると、テトリスからゴルフ、暗記などの様々な分野で、新しい挑戦をすることでパフォーマンスを一時的に悪化させて、さらなる進歩を引き起こしていたことが分かっています。
日常での活用方法
全体思考では、全体的な観点から物事を捉えます。全体思考の実践で大切なことは、全体をより良くしていく意思と行動です。人生であれば、楽しかったり、成長できたりしていればいいと考えることですね。
全体のために、余計な部分をそぎ落とす必要があります。時には、無駄なプライド、不幸な人間関係などを切り捨てるなどの決断をしなければなりません。
全体を重視すると言っても、部分を軽視する訳ではありません。部分を良くするときには、全体も良くなるのかを考えたうえで、行動しましょうということです。全体を常に念頭に置いていれば、道に迷うこともありません。
全体思考を実践する3つのポイントを紹介します。
全体の目的を明確にする:全体の目的を意識して、「これはなぜ行うのか?」を自問して判断や行動をします。全体の目的を振り返る時間を設けて、適宜修正することで、どうでもいいような細部に囚われなくなります。自分の価値観や思ったことを書くという「ジャーナリング」がおすすめです。
まず全体から考える:全体⇨部分の順番で考えるようにしましょう。全体を最優先させることで、目的を見失いません。全体と部分を行ったり来たりして考えることで両方のバランスを取れます。物事を俯瞰的に見るために、文章の階層化、マインドマップ、フローチャートを使うといいでしょう。
一歩引いて考える習慣をつける:取り乱して感情的になったり、焦ったりしているときほど、部分に執着してしまいます。そのような時は、一旦立ち止まって「全体を見る」練習をしましょう。自分や他人の意見、全体の目的を考えたうえで、自分が取る行動を書いて、客観的に考える能力を磨くことができます。
全体思考は生きがいをもたらす
全体思考は、悲劇を喜劇に変えることができます。毎日が悲劇の繰り返しよりも喜劇に感じられる方が人生楽しいですよね。
人生に上り下りはつきものであり、辛い体験も一時的なものと考えるだけでも生きるのがラクになります。そして、その体験が自分を成長させると考えると、モチベーションの源泉に変わります。
私は毎日の生活、仕事、人間関係などでは、全体を意識して行動するようにしています。全体の目的を決めておくと、正しい方向が見えているので、自信を持って行動できます。様々な分野において、自分の価値観の軸で判断できるので、モチベーションが上がるんですよね。