ひと手間
私は、面倒くさいことが苦手だと思っている。
コツコツより、効率。
繰り返しより、前進。
たびたびより、まとめて。
時短、大好き。
お得、大好き。
一石二鳥、大好物。
しかし、子どもが産まれてから、
少し変わってきた。
丁寧にご飯を作ったり、
ゆったりと抱っこしてあやしたり、
穏やかな気持ちが湧いてきた。
でも!
時短でやりたくても、
効率よくやりたくても、
今、というタイミングがゆるされない赤ちゃんとの暮らしに
自分が自分らしくいられないイライラも感じるようになった。
長く病院に通って、やっと授かった命なのに、
子どもが育てたくて、産んだのに。
自分が嫌になることもあった。
母性がないと落ち込んだことも。
そんなときに心を落ち着けてくれたのは、
手間を楽しむということだった。
思うようにならないとあきらめたりイライラしたりするのではなく、
効率よく「こなす」のではなく、手間を楽しめる自分であること。
ちょっとした手間を家族や仲間と分かち合うこと。
に目を向けられるようになった。
子どもと遊びに行った先で、拾った葉っぱや木の実を飾ってみる。
季節の行事を味わってみる。
こんぶやいりこから出汁を取るようになったのもこのころ。
調味料を手作りしてみる。
外食ではなく、お弁当にしてみる。
スタイを縫ってみる。
コースターをちくちくしてみる。
これは、ローリエ。月桂樹。
津田晴美さんにいただいて、スープに入れたらびっくりするほど美味しくなった。
調べているうちに、ベイリーフとローリエは違うとか、葉脈で見分けるんだと知った。
面倒に思っていたことを楽しめている自分を発見!
見える世界が変わってきた。
梅干しだって漬けちゃうぞ!(梅をたくさんいただいただけ)
お味噌だって仕込んじゃうぞ!(手前味噌って?という疑問から作ってみたくなっただけ)
手間を楽しんでいるうちに、
ひと手間と思っていたものが、当たり前になっていく。
それが愛だ!なんて大それたことではないけど、
ちょっとしたことを重ねることが、
人と人とのつながりを温かくしていく。
面倒くさがりは、相変わらずだけど、
これはやりたい!
を大切にした「ひと手間」の先に大切なものが見えた気がする。
子育てしてると、おんぶもそうだなと思う。
背負うというちょっとした手間。
でも、その手間をコミュニケーションとして楽しんでいるうちに、
手間の先に子どもとの絆・そしてその子との関係の未来が見えてくる。
高い位置でおんぶして、同じ目線で同じものをみたり、感じたりしたこと。
ぬくもりを感じられる距離で語りかけたこと。
それは、確かな土台となって、私たちの間に芽生えている。
反抗期だって怖くない!
そうか!これが愛なのかしら。