高齢女子、バリキャリ娘からの唐突のメールに驚く
朝活中、バリキャリ娘から唐突にメールがきた。
時刻は朝5時前。Twitterに励む高齢女子は、この頃毎日4時起き。まだお日様も顔を出しておらず、外は薄暗い。
少々冷え込む秋の朝は体に堪えるが、それでもと眠い目をこすりながら携帯を開く。
画面に写る娘の名前。
「あら?珍しい」
社会人になり実家から出た娘は、毎日忙しそうにしている。家に帰ってくるのは1か月に1度あるかないか。
メールが来るのは決まって用事があるときばかりで、いつもはそっけないバリキャリ娘。
大抵は2か月に1度のジジさまの血液検査の結果を見て「ジジさま、今回この数値悪かったわね!食べ物に注意して欲しいわ!」「もっと気をつけないとよくならないわよ」と丁寧なお小言をくださるのみ。
それでも、おばあさんは「そこはね。気を付けてはいるのだけれど、ジジさまが一口多く頂いちゃうのよね」などと、暢気にお返事。
すると、バリキャリさんは「そこが甘いから結果が良くないのをもう少し考えて欲しいのですよ!」と厳しくご指導下さる。
離れて暮らす老令の両親を精一杯に気遣ってくれている。
あの日、ジジさまが倒れたことが娘にとってトラウマになって居るのを一年を過ぎてヒシヒシと折に触れて感じている。検査結果に『神経質』なのもそのせいだろうと思っている。
「娘がこんな朝方にメール?」
体調でも悪いのかと心配になった。今まで自立してから早朝のメールは1回もなかったからだ。
何事かと恐る恐るメールを開いてみるとそこには
「生きてるかい?」
の文字。
こちらも「?」と返すと
「おばあさんが死んだ夢でうなされて起きた。生きているならよい。以上」
と娘。夢を見てうなされ、早朝だからメールをしてきたのだろう。
もし「朝活」をしていないときだったら8時までは携帯に触ることは無い日常である。早朝から3時間以上を「ヤキモキ」しながら返信を待たなくてはならないのに…。
昔から、臆病な所のある娘だった。本当に、おばあさんが夢の通りだったらと思うと「電話」出来なかったのだろう。大人になり自立し、社会で働く娘。
心配しながらメールを打っていただろう娘の顔を思い浮かべると、3歳の頃に私が発熱した枕もとで涙を流していたあの頃の顔が目に浮かんだ。いつまで経っても親にとって子どもは小さい時のままである。
そんなことを考え、体が冷える秋の朝に心がほっこりと温かくなった。
あなたの母は未だお迎えと一緒に旅立つ事は出来ない。生きる目標を果たしていないのだ。
私は携帯を握りしめ「死ねないわよ!中村倫也に会うまでは」と言い、再び朝活に戻った。
一言「ありがとう。気を付けます」と返信をした。
そんな秋の朝の出来事です。
※この記事は過去のツイートをもとに作成いたしました。