グランマの心の残る旅 アルザス編3
コルマールから約10キロにあるリクヴィールはフランスの「美しい村」に選ばれた小さな村です。村からの通勤通学時間帯に合わせて運行していると思われるバスに乗りリクヴィールに到着。昼間はアルザス一可愛いこの村に、世界中から観光客が押し寄せるとのこと。観光客が去った後にゆっくりこの村を味わいたいと、村の真ん中にある元ワイン農家のホテルを予約しました。ホテルの前で不安げに私たちを待っていたオーナーの女性は、私たちを見つけると満面の笑顔で迎えてくれました。ホテルは、ワイン農家の歴史を残す大きな梁をはじめ、随所に中世の面影が残されていて、私たちは大満足でした。
翌日最初に訪れたのがアンジ美術館。ドイツの占領時代にも決して屈せず、愛するアルザスの民族衣装を着た子供たちの絵を描き続けることで抵抗し続けたアンジ。後に彼を慕う有志によって、この小さな美術館は建てられたと聞きました。100点を超えるアンジの絵を鑑賞した後、美術館の売店でアンジの絵のカレンダーを購入しました。
メインストリートで絵を描いていた日本の青年に出会いました。愛知県から来ていた彼は、絵を描きながらフランス中を旅しているとのこと。旅は1か月を超え、エヴィアンでは野宿したと笑っていました。たくましい素敵な青年との出会いも良い思い出です。
夕食は、メインストリートから少し入ったレストランへ。外のテーブル席を選びました。おかげで、迫りくる夕闇の中を静かに流れる気配に包まれ、私たちはゆったりと食事を楽しむことが出来ました。
翌朝、人影がまばらな村を散策。昼間、大勢の観光客で隠れていた村本来の姿が現れ、まるで中世にタイムスリップしたかのようでした。そして村を囲むように広がる葡萄畑。1泊してよかったと、しみじみ思う光景でした。
村の入り口の郵便局で両替を済ませ、バスを待っていました。すると私たちの予想と反対の方向からバスは来て、合図したにもかかわらず通り過ぎてしまいました。只でさえ本数が少ないのにと、大慌て。近所の人に尋ねると、方向転換してバスは戻ってくるとのこと。やれやれ。こんな調子でハラハラすることもしばしばの親子旅。その後、コルマール、ストラスブールと電車を乗り継ぎ、無事パリ行きの急行列車に乗ることが出来ました。