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本当に給与上がってない?その②


総支給額から必ず控除される項目

  • 社会保険料(介護保険料含む)・・・都道府県ごとに徴収金額が異なり、労使折半で支払う。

  • 厚生年金保険料・・・現在、上限の18.3%の徴収になっているため徴収額は据え置き状態であり、労使折半で支払う。

  • 雇用保険料・・・業種によって料率が異なるが、従業員負担分は0.6%~0.7%。

  • 所得税・・・毎月の所得税は、原則その年の見込み年収に基づいて決まり、毎月の給与額や控除に基づいて、源泉徴収税額表に従って計算され予定納付される。

  • 住民税・・・住民税の徴収額は、前年度の所得に基づいて決まり、12等分されて毎月支払う。市町村によって若干の変動がある。

以上が、必ず総支給額より控除をして、お国に納めないといけないものになります。そして、控除されて残った金額が可処分所得(差引支給額、別名手取り額)となり、皆様の指定された給与口座に振り込まれたりします。

なんとなく、控除されているこれらのものですが、この理屈を知るか知らないかでは大違いになります。

社会保険料厚生年金保険料は、毎年4月~6月の総支給額(立替金等本来会社が払うべき金額を従業員が立替て、給与振り込みで支払われたものや臨時に支払われたもの等は除く)に対して等級が決定します。これを定時決定と言います。9月度分から変更されます。
これとは別に、この時期以外で、固定的賃金に変動が見られた場合、その変動が見られた月の総支給額が3カ月連続で等級の2段階以上であれば、等級変更がなされて徴収される額が変わります。このことを随時改定と言います。変動があった4か月目から変更されます。

雇用保険料は、立替金や役員報酬等を除いた総支給額に、雇用保険料率を掛けた金額が毎月徴収されます。

所得税は、総支給額から上記の3つの保険料徴収額を差し引いたものを課税支給額と言い、その支給額を基にして源泉徴収税額表に従って毎月の予定納付の所得税を控除しています。

住民税は、前年の所得に応じて、原則10%が翌年1年間の控除額になり、それを12で割ったものが毎月控除されています。毎年6月に変更が行われます。

シミュレーション例

年度別可処分所得の推移表

いかがでしょうか?
あくまで独身若手を参考として、仮定の給与で計算をしましたが、
基本給がR4年度とR7年10月を比較して、25,000円増えているにも関わらず、
手取りが15,582円の増加ですよね。

これはまだ良いとしても、R5年度とR7年10月を比較すると、
基本給が20,000円上がっているにも関わらず、
手取りは1,556円しか増えていないですよね!

R6年9月とR7年10月の比較は悲惨ですよね。
基本給が10,000円増えているにも関わらず、
手取りは18,495円減少していますよね!

時間外手当が減って、総支給額が減っているからじゃんと言いたいでしょうね。
しかし、時間外手当は時間外労働した分に対して支給される手当なので、
それがなければ、または、少なければ当然下がったり支給されなかったりします。
そこは企業努力とは別のお話しになります。

まして、働き方改革で時間外労働を減らすように国からお達しがでているので、時間外労働で稼ぐということもできないですよね。

可処分所得が増えない大きな要因の一つに、社会保険料徴収の仕組みにあると考えています。

たまたま4月~6月の給与が、時間外手当が多かったために総支給額が増えてしまった場合、その後、時間外手当が減って総支給額が減少したとしても、徴収される社会保険料は、この例の場合翌年の10月まで変わらないですよね。

あと、あまり気にしていないかもしれませんが、住民税が結構響くんですよね。しかも、前年の収入に応じての徴収になるので、今年の収入が減ったとしても、原則、容赦なく徴収されるんですよね。

もう一度聞きますが、本当に給与は上がっていないですか?

急遽決まった衆議院の解散総選挙。
どこの政党も「可処分所得を増やすためには・・・」ということに言及していません。

しょうもないばら撒きをしているのは、どんなに悪く言われても現制度を変更するつもりはない、つまり、総支給額が増えれば増えるほど、徴収される社会保険料や税金が理不尽に高くなるシステムを変えるつもりはない!という政治家たちの意思の表れです。

「物価高に負けない給与の引き上げを!」と、ずっとオウムのように繰り返していますが、企業は努力をしていませんか?

企業が頑張って給与を引き上げて、「ごっつぁんです!」「納税乙!」って国がほくそ笑んでいる場面しか想像できないんですよね。

で、インタビュー等で、給与が上がらないというコメントの場面ばっかり使って、印象操作をしているとしか思えないんですよね。

自分たちの意思表示のために選挙に行きましょう!

政治家なんて結局、票が欲しいだけなので、選挙に行く層には甘い言葉を吐き、そうでない層は見向きもしないでう。

少子化対策という名のもと、子育て世代に色々手厚いことをしているのは、最終的にそれが国の利益となって返ってくることを見込んでいるからです。

本当の意味で給与(可処分所得)が増えて欲しいなら、しっかり選挙に行って投票という形で民意を伝えるべきだと思います。

最後になりますが、可処分所得が増えないのは、国の制度の問題であり企業の問題ではないということです。

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