退職所得控除とiDeCo
記事の背景
先日、ネットニュースで退職所得控除とiDeCoの受け取りについての記事がありました。
今後、退職所得控除の金額を減らすという動きがあり、それによってどのような影響を及ぼすのかが話題になっています。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6519733
iDeCoを受け取るときもこの対象となります。
どのように影響が出るのか気になるところですね!
本記事では、その内容をわかりやすく見ていきましょう。
退職所得とは
退職所得とは、定年退職や早期退職のときに受け取る退職金のことです。
これは、長い間働いて得た成果として、税金を少なくする優遇措置が取られています。
例えば、勤続年数が30年の人が退職金を受け取ると、普通の所得税よりもずっと少ない税金で済むので、手元に残るお金が多くなります。
退職金は、普段の給料とは違い、税金の控除が受けやすい仕組みになっています。
退職所得控除の計算方法
退職所得にかかる税金を計算するときは、まず「退職所得控除額」を差し引いてから課税されます。
この退職所得控除額は、勤続年数に応じて次のように計算されます。
勤続年数が20年以下の場合:40万円 × 勤続年数
勤続年数が20年を超える場合:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
勤続38年の例
例えば、勤続年数が38年の場合、次のように計算されます。
800万円 + 70万円 × (38年 - 20年)
800万円 + 70万円 × 18年 = 800万円 + 1260万円 = 2060万円
このように、勤続年数が長いほど控除額も大きくなります。
計算される控除額を適用することで、退職所得にかかる税金が大きく減ります。
でも、今後の税制改正で控除額が減るかもしれないので、その影響を考えておくことが必要です。
iDeCoと退職所得控除の関係性
iDeCo(個人型確定拠出年金)も、退職金と同じように一時金として受け取る場合は退職所得として扱われます。
iDeCoは、毎月一定額を積み立て、自分で運用先を選びながら老後のための資産を作る制度です。
掛金が全額所得控除になるため、働いているときの税負担を減らせるのが大きな魅力です。
このため、iDeCoを一時金として受け取るときにも退職所得控除が適用されて、税金を軽くすることができます。
ただし、会社の退職金と同じ年にiDeCoを受け取ると、控除額を両方で分け合うことになります。
その結果、控除額が減ってしまい、予想外に税金が増える可能性があります。
また、退職所得控除が減ると、こうした影響がもっと大きくなることが予想されます。
iDeCoの一括受け取りにおいて考えられる影響
iDeCoを一括で受け取る場合、長い間積み立ててきたお金が大きいため、退職所得としての課税対象額も高くなる可能性があり、払わなくてよかった税金を払わないといけなくなるかもしれません。
例えば、退職金が1000万円でiDeCoの一括受け取りが1000万円の場合を考えましょう。
現行の退職所得控除の場合
勤続年数が38年の場合、退職所得控除額は800万円 + 70万円 × (38年 - 20年)になります。
800万円 + 70万円 × 18年 = 800万円 + 1260万円 = 2060万円。
退職金とiDeCoの合計2000万円から退職所得控除の2060万円を引くと、課税対象額は0円となり、税金はかかりません。
仮に20年目以降の優遇がなくなった場合
もし退職所得控除が20年目以降も40万円 × 勤続年数のままだと、控除額は1520万円(40万円 × 38年)になります。
退職金とiDeCoの合計2000万円から控除額1520万円を引いた480万円が課税対象となります。
退職所得にかかる税金は、課税対象額の1/2が課税所得となりますので、480万円 ÷ 2 = 240万円が課税所得になります。
仮に税率を20%とすると、240万円 × 20% = 48万円の税金を支払うことになります。
特に今後、退職所得控除が減ると、iDeCoの一括受け取りにかかる税金がさらに増えるかもしれません。
このような影響を避けるためには、iDeCoの受け取り方をよく考えることが大切です。
「一時金として受け取る」「年金として受け取る」「一部を一時金で受け取り残りを年金で受け取る」など、自分のライフプランに合った受け取り方を選びましょう。
また、積み立てた資産の額に応じて、どのように受け取るのが最も税金が少なくなるか計画を立てることも重要です。
まとめ
退職所得控除は、長年働いてきた成果を守るための優遇措置で、iDeCoの一時金受け取りにも適用されます。
でも今後、この控除額が減ることで、受け取り時にかかる税金が増える可能性があります。
特に大きな資産を積み立てていると、その課税額が大きくなるかもしれません。
これによって、多くの人にとって予想以上に税金がかかり、老後の資産形成に影響が出るリスクがあるのです。
ですから、iDeCoの受け取り方法やタイミングを慎重に考えることが必要です。
受け取り金額や他の退職金とのバランスを考えながら、計画的に進めましょう。
自分に最適な選択をするために、専門家のアドバイスを受けるのも良い方法です。
まずは、この議論の行方をしっかり見守りましょう!
そして、今後の退職金とiDeCoの受け取りをしっかり計画することで、税負担を減らせる可能性があります。
常に最新の情報をチェックしながら、計画的に資産運用をしていきましょう。一緒に賢く未来を準備していきましょう!