カンフー映画『少林寺対武当』解説:ウータン・クランのインスピレーションの源 RZAのインタビューから読み解く
カンフー映画の『少林寺対武当』は、1983年に公開された香港の武術映画です。この映画は、ウータン・クランのメンバーであるRZAに大きな影響を与え、彼の音楽に多大な影響を及ぼしました。
あらすじ
『少林寺対武当』は、ゴードン・リューが監督し、主演も務める作品で、少林寺と武当派という二つの武術学校のライバル関係を描いています。物語は、少林寺の武術家と武当派の剣術家である二人の親友が、権力を握ろうとする野心的な清朝の皇帝により引き裂かれる様子を描いています。
物語の中心には、少林寺と武当派のトップの弟子であるチャオ・フォンウ(アダム・チェン)とホン・ジュンキット(ゴードン・リュー)がいます。彼らは親友ですが、武術のスタイルが異なるために競争心を抱いています。ある日、二人の戦いを目撃した清朝の皇帝は、両派の武術が自分の権力にとって脅威であると感じ、二つの流派を潰そうと企みます。
魅力と映像美
この映画の魅力は、その見事なアクションシーンにあります。少林寺の拳法と武当派の剣術が交錯する戦闘シーンは、緻密に振り付けられており、観る者を圧倒します。特に、ゴードン・リューの武術とアダム・チェンの剣術は見応えがあります。
映像美もこの映画の大きな魅力の一つです。監督であるゴードン・リューは、光と影の使い方、カメラアングルの選定に非常にこだわりを持ち、映画全体に一貫したビジュアルスタイルを提供しています。
主なキャスト
ゴードン・リュー(ホン・ジュンキット/タッキ):少林寺のトップ弟子であり、映画の主人公。後にタッキという名で知られるようになる。
アダム・チェン(チャオ・フォンウ/ミンカイ):武当派のトップ弟子であり、ジュンキットの親友。後にミンカイという名で知られるようになる。
イドゥ・チャン(ヤンリン):ジュンキットの妹であり、フォンウに恋心を抱く女性。
ジョニー・ワン(清朝の皇帝):両派の武術を潰そうと企む陰謀家。
映画のレガシー
『少林寺対武当』は、カンフー映画のクラシックとして評価されるだけでなく、東海岸のヒップホップグループ、ウータン・クランにも大きな影響を与えました。ウータン・クランの創設者であるRZAは、この映画をお気に入りの作品の一つとして挙げています。映画のタイトルとテーマは、ウータン・クランの音楽やイメージに多大な影響を与え、彼らのアルバムや曲にそのエッセンスが取り入れられています。
これはRZAの『少林寺対武当』に対するコメントが書かれている記事です。
RZAは、カンフー映画が持つ哲学と戦術に深く感銘を受けたらしいです。RZAは「良いカンフー映画には本物の武術の技術が取り入れられている」と述べており、特に『少林寺対武当』のような映画が武術の真髄を見事に表現しているとコメントしています。
RZAは、ウータン・クランの音楽において、カンフー映画のセリフやシーンをサンプリングし、物語を音楽に取り入れることを重視しました。例えば、ウータン・クランのデビューアルバム『Enter the Wu-Tang (36 Chambers)』では、『少林寺対武当』のセリフがサンプリングされています。
RZAは「ヒップホップはただの音楽ではなく、生き方だ」と述べており、カンフー映画から得た哲学を音楽に取り入れることで、ウータン・クランの独特なスタイルを確立しました。
RZAは、現在でも頻繁にカンフー映画を鑑賞しており、その影響は今も続いているらしいです。RZAは「週に少なくとも4回はカンフー映画を観る」と語り、その愛情は音楽制作や映画制作にも活かされています。例えば、『キル・ビル』や『ゴースト・ドッグ』の音楽制作においても、カンフー映画のサウンドトラックからインスピレーションを得ています。
この『少林寺対武当』はウータン・クランの誕生したところを描いたドラマ『ウータン・クラン:アメリカン・サーガ』でたびたび登場します。そのドラマではRZAだけではなく他のメンバーもこの映画に親しみを持っているシーンが描かれています。この『少林寺対武当』はレコード屋で格安で売られており、それをサンプリングに使うためにRZAが買っていくというシーンもあります。まああくまでドラマなので創作されているとは思いますが、ウータン・クラン好きな方はぜひディズニープラスに加入してみてみて下さい。他のサブスクでは配信されていません。
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