(元・美深町地域おこし隊員)”kusuda design and café”の久須田さんにインタビュー!
この記事について
美深町地域おこし協力隊員(元・現役)に美深町地域おこしインターンの橋本がインタビュー。地域おこしになるまでの経緯や、地域おこし協力隊員としての活動、また移住について聞いていきます。美深町での地域おこしに興味がある方、地域おこし全般に興味がある方、他の地域で地域おこしをされている現役協力隊員の方、必読です!
インタビュワー:橋本(美深町地域おこしインターン)& 佐久間(美深町地域おこし隊員)
久須田さんについて
北海道遠軽町出身。約2年間半、美深町地域おこし協力隊員として観光協会で従事。任期終了後はカフェを兼ねたデザイン事務所”kusuda design and café”を町内に立ち上げ、町内や近隣市町村を中心にロゴ、パンフレット、チラシ、名刺などを制作している。
Q. 久須田さんは、ご出身はどちらなんですか?
久須田さん:実家は遠軽にある酪農家です。地元の学校は1クラス12人くらいで、「都会って何?」みたいな環境で高校まで育ちました。高校卒業後は札幌にある大学の美術学部に入学して、草木染をしたり、卒業制作ではステンシルをしたりしていましたね。
Q. 大学卒業後は、どういう経緯で美深町の地域おこし協力隊員になられたんですか?
久須田さん:大学卒業後、デザインの仕事をしようとはあまり思わなかったんですよね。周りほどデザインに打ち込むことができなくて。それで、大学卒業後は札幌にあるデパートで洋服販売の仕事をしていました。一緒に働いている人達も良い人ばかりで、上司にも気に入られて気づけば副店長になっていたんですけど、この仕事をずっと続けたいとは思えなくて。それで、「辞めたいな~」と考えていた時、周りで結婚する人がポツポツと出始めたんですよ。それで、「やばい、このままじゃ店長になってしまう!そうしたら辞められない!」と焦りはじめました。でも、ネガティブなことを言うと励まされて辞められないというのは知っていたので、「次に新しい前向きな目標みたいなものがあったら辞められるんだけどな、」と考えていたんです。それで、10年くらい前だったと思うんですけど、美深で働いていた大学の同級生にそのことについて話した時、地域おこし協力隊っていう制度があることを教えてもらったんです。転職するなら30歳前となんとなく思っていたので、「じゃあ、行こうかな!」となりました。なので、地域おこし協力隊になった理由は、地域おこしをしたいというより、「転職したかった」からですね。
移住について
Q.札幌から美深に移住する不安は無かったんですか?
久須田さん:無かったですね。もともと田舎育ちっていうこともあり、美深に来ても違和感はなかったです。逆に札幌での生活が自分には合ってなかったですね。電車よりもやっぱり車の方が良いし。あと、友達がいたのは大きいです。地域おこしを紹介してくれた友達がいたので、美深には引っ越す前に2回くらい遊びに来たことがあって。その時に玉入れクラブの忘年会に飛び入り参加したり(笑)。
橋本:その経験もあり、ここではやっていけるみたいに思ったんですね。
久須田さん:そんな感じですね。
Q.それから、かれこれ10年ほど美深に住んでいるわけですが、移住した後は町に上手く馴染むことができましたか?
久須田さん:そうですね。私はあまり我が強くなくて、(良い意味で)大きな信念とかもないので、何でも受け入れることができたと思います。あと、信頼できる友達がいたのはとても大きいです。その友達に迷惑かけたくないから、町の人に感じよく接するし、ちゃんと挨拶もするということをしていました(笑)。
橋本:移住って、結構ハードル高いイメージがあったのですが、そうでもないんですかね?
久須田さん:そんなことないと思いますよ。まずは自分が過ごしやすい環境を作ること。そのために地域の色々な人と仲よくなる。ちゃんと挨拶をする。小学生と同じですよ。
橋本:なるほど、小学校の転校生みたいな感じですか!
久須田さん:そうですね。自分は違うところから来たからみんなと遊ばないとか、みんな短パンなのに自分だけ長ズボン穿いたりとか、そういうことをしない。ちゃんと人と元気に挨拶できれば、大丈夫だと思いますよ。
Q.それでも、10年も住み続けられるってすごいですね。その理由・秘訣みたいなものってあるんですか?
久須田さん:うーん、なんだろうな、、、。難しいですね。でも多分、自分が必要とされているからじゃないですかね?今色々と地域の役員を引き受けているんですけど、それが大変でもあるけど、頼られるから頑張れる。自分がしたことにお礼をいってもらえると素直に嬉しい。そういうことなんじゃないんですかね。大変な時は愚痴を吐ける友達もいるので。
美深町について
Q. 久須田さんから見て、美深はどんな町ですか?
久須田さん:美深は丁度良い規模感の町だと思いますね。大体のことは町内で用を済ませられるし、飲食店も多い。名寄にも車で20分位で行ける。あと、田舎だけど閉鎖感があまり無いのが良いですね。あまりかまわないけど、でもかわいがってくれる、みたいな丁度良い距離感ですね。例えば、換気口が壊れたと少し話しただけですぐに近所の人が直しに来てくれたり。美深は、人が良いですね。
橋本:たしかに、私も美深は人がとても優しいというのが第一印象でした。住んだことがあるからこそ分かる美深の良さは、「人」なのかもしれませんね。
地域おこし協力隊について
Q. 地域おこし協力隊員の時は何をされていたんですか?
久須田さん:美深の観光協会に所属していて、そこで2年半くらい働きました。観光協会なので、色々な会議もあるし、飲み会もあったりして、そこで地域の色々な人に繋げてもらって顔も覚えてもらいましたね。仕事内容的には、総会の資料作成を手伝ったり、イベントの準備をしたり、ポップを作ったりと色々していました。大学ではあまりパソコンをいじったことはなかったんですけど、色々調べながらポスターを作ったりして、「どうですか?」「いいじゃん」みたいな感じで段々上手になってきました。
橋本:なるほど。それで現在のデザイン事務所に至るわけですね!
佐久間:久須田さんのデザインは、美深で見ないデザインですよね。まさに新しい風!ですね。
橋本:私も美深町に来て色々と資料をもらった時、デザインにすごく統一感があると思ったんですよ。それで、後でそれのほとんど久須田さんが手がけたものだったと知りました。
Q.元地域おこし協力隊員である久須田さんの思う、協力隊員の役割って何だと思いますか?
久須田さん:私の個人的な意見ですけど、実際「地域をおこそうと思わない」くらいが丁度良いのではないかと思います。例えば最近仕事で地域で販売されている卵のパッケージデザインを新しくしているんですけど、生産者の方とデザインを一緒に考える時、「ここのデザインどうしますか?」って聞いたら、「そういえばこれ何なんでしょうね?っていう反応が返ってくるんですよ。「本当だ。この文言何故か2か所ありますね!一個消しちゃってください!」みたいな(笑)。なので、私は地域おこしってそういう作業なんじゃないかと思うんです。整理整頓というか。風通しをよくすることなんじゃないですかね。
佐久間:同じ人が同じ方法でずーっとやってきたから、悪気がないけど誰も言い出せなかったっていうのは地方の典型的なパターンですよね。そこに外部から来た人が新しい風を入れる。「空気が読めない新しい風」くらいがちょうどよいのかもしれないですね。
久須田さん:そうですね。なので、自分が何かを発見したら、「一回変えていいですか?私やってみたくて。ダメだったら直しますね。」みたいに提案していく。「気になるからやりたい」という本当の好奇心がそこにはあると思いますね。さっきの転校生の例を使うなら、ぐちゃぐちゃになった掲示板を転校生が見つけて、「私、A型の血が騒ぎましたっ!この掲示板、私ちょっと変えてみてもいいですか?変だったら変えていいので!」と提案してみる感じです。
佐久間:一回形にして見せていくってことが大事ですね。
久須田さん:そうですね。そうやって一回形にしていくと、後から色々な意見が出てきたりして、「何にも意見は無いって言ってたけど、何にも無いことないじゃん!笑」みたいになります。
橋本:最終決定を相手側に委ねるのもポイントですね。
久須田さん:そうそう。提案はするけど、決定は相手がする。服の販売をしていた時も、こちらは提案するけど結局決めるのはお客様。それと似ていますね。
Q. 地域おこし協力隊員に興味がある人に、メッセージはありますか?
久須田さん:あまり我をもたず、理想を持たず。その場を受け入れて楽しむ。楽しめるかどうかだと思いますよ。目的があるよりもないほうが良かったりもする。友達作りに来た!みたいな感覚で一回来てみたらよいと思いますね。3年って期間は短いので。まずは地域の人と仲よくすること。そうしたらみんな協力してくれる。
佐久間:実際そうですよね。それでデザインができるっていうことで、頼りにされて、自分の事務所も設立して。
久須田さん:そうですね。そう考えると、地域おこしの時よりも今のほうが地域を起こしている気がします。
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